2014.12.11
新たな保育の可能性12 進化するシングルマザー向けシェアハウス
離婚の増加と未婚率の上昇にともない、全国のシングルマザーは増加の一途をたどっています。総務省統計研修所の調査によれば、2010年のシングルマザーの数は108万人。こうした1人親世帯では、さまざまな困難に直面しながら、仕事と育児の両立を目指して孤軍奮闘しているのが実情です。
これだけシングルマザーが増加している要因として、シングルマザーへの支援制度の充実や仕事をしている女性が増えたことなどが挙げられますが、実際シングルで仕事と家事、そして育児をこなしていくのは至難の業です。
最近では、子供のケアの必要性と同様に、疲弊しきった親へのケアも必要視されています。そんなシングルマザーを支援するために、最近注目を浴びているのが助け合い型シェアハウスです。本ブログではシングルマザー向けシェアハウスと単身シニアとシングルマザーで構成する助け合い型シェアハウスについて紹介します。
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事例1 ペアレンティングホーム高津
2012年上期に川崎市高津区にオープンしたペアレンティングホーム高津は、シングルマザーの子育てを支援するシェアハウスとして、保育園経営者、建築家、シェアハウスプロデューサー、不動産コーディネーターなど各分野のプロフェッショナルによって、つくられたシェアハウスです。
設立者の一人である一級建築士の秋山氏は 「日本では、仕事と育児の両立は大変困難な状況にあります。このため、出産後にキャリアアップをあきらめたり、キャリアアップのために出産をあきらめたりする女性も少なくない。仕事と育児の両立が可能な社会を作るために、設計事務所として何かできないか?」というのが設立した動機だと話しています。
同シェアハウスは、部屋数が8つあり、入居できるのはシングルマザーとその子供(18未満)に限られます。家賃は6万5,000円~7万円で、この他に月々共益費が2万5,000円かかります。共益費に含まれるのは水道光熱費やインタネット接続料、そしてチャイルドケアの費用です。ペアレンティングホーム最大の目玉として
ペアレンティングホーム最大の目玉は、チャイルドケアサービスです。毎週2回、夕方5時から夜9時までの4時間チャイルドケア・シッターが来訪し、子供の保育や、夕食作り、育児相談などを行っています。
仕事と育児に追われるシングルマザーも、チャイルドケアの時間だけは、自分の時間を作ることができます。その時間を利用して、残っている家事や持ち帰った仕事をこなす方もいるそうです。
他にも、同じ立場の母親同士が、協力しながら子育てをしていくという点も魅力です。例えば、残業で遅くなりそうなときは、他の居住者に頼んでかわりに保育園に子供を迎えに行ってもらったり、他のお母さんに子供を預けて買い物に行ったりと、同じ悩みを持つシングルマザー同士、ギブ・アンド・テイクで支え合うことができます。
一方で問題も。。。
生活習慣も教育方針も違う他人同士、長く一緒に生活していれば、行き違いや摩擦が起こるなど問題が起こることも多々あります。そこで同シェアハウスでは、運営スタッフが入居者からのメール相談や座談会を通してヒアリングを行い、問題解決を図っていきます。座談会を開いてしっかりと話し合い、皆が気持ちよく長期的に共同生活を行えるような仕組みづくりを行っています。
なぜ今シェアハウスが注目されているのか?
秋山氏はシェアハウスが注目されている背景について、 「個人があまりにも社会から隔絶されてしまったことへの反動があるように思います。人類の歴史の中でも、ここまで個人が孤立している時代はなかったのではないか、それに対する揺り戻しが、シェアハウスへの関心につながっているように感じます」と、社会が再びグループリビング(共同居住)や共同保育などの共同生活に戻っていると指摘しています。 また、同氏は今後共同保育におけるシェアハウスの需要の拡大が見込まれると予想し、今後は家族型、多世代型など、子育てをコンセプトとしたシェアハウスなども増やしていきたいと話しています。
事例2 IGHシェアハウス
株式会社ナウいは、単身シニアとシングルマザーで構成する助け合い型シェアハウス「IGHシェアハウス」を推進しています。IGHとは、Inter-Generation Houseという造語の略で、ナウいが推奨する単身シニア1世帯、シングルマザー世帯2世帯で1つの居住空間をシェアする多世代交流をベースとした助け合い型シェアハウスモデルです。
一般のシェアハウスとの違いは、ナウいが高齢者とシングルマザーの双方に募集をかけ、合同説明会を実施します。そこで、クラフトワークや料理などの共同作業を行い、相性のいいパートナーを探します。そして、気に入った人が見つかれば共同生活をするための具体的なルールを設定します。
設定内容はパートナーによって全く違いますが、例えば食事や掃除はどちらがどのような頻度で行うかなど、日常のルールを細かく決めていきます。お互い生活スタイルは全く違うので、これを設定するのが一番難しいですが、長期的なパートナーになるわけですから、ナウいを通してしっかりと設定していきます。 また、もう一つ一般のシェアハウスと違うところは、専用のシェアハウスに住むのではなく、シニアの方の持ち家を有効活用して共同生活を送ることです。つまり、居住するのはシニアの方とシングルマザー世帯だけですから、パートナー選びはより重要になってくるということです。
また、希望するエリアに相性の良いパートナーがいるかどうかも非常に難しいところです。 ただ、もし良いパートナーがみつかれば、お互いにとって非常に頼りになる存在となります。シングルマザーにとっては、同居のシニアの方に子供を預かってもらえたりするので、祖父や祖母にみてもらうという感覚です。
一方、シニアの方にとっても一人でいる寂しさから開放されるだけではなく、賃料も得られるので有休建物の有効活用にもなります。 シニアとシングルマザー数、どちらも近年増加が顕著なっている中、こうした新しい助け合い型のシェアハウスはまさに時代の流れに合ったシェアハウスだといえるでしょう。
ただ、相性の良いパートナーを見つけるのが難しく、同社も爆発的に事業を拡大しているというわけではないようです。同社代表の桑山氏は、今は1組ずつをじっくりとフォローしていくことで、お互いうまくやっていけるような仕組みづくりを作りたいと話しています。
シェアハウスの課題
2013年8月末時点で、全国におけるシェアハウス事業者は598社にのぼり、シェアハウス物件は全国に2,744件に達しています。ただ、そのうち4分の3にあたる2057件が東京都内、次いで神奈川県内が244件、埼玉県が129件と都心に集中しています。
首都圏を中心に大都市のみで普及している理由としては、シェアハウス事業が利益重視型の投資事業とみなされているからで、採算の低い地方都市ではなかなか事業に手がだしにくいからです。 シェアハウス事業の参入の動機を探ったレポートによると、新規事業としての投資等の目的(52.4%)に加え、空物件の有効利用(36.6%)とほぼ投資による動機が高いことがわかります。
また、現在シェアハウス事業を展開しているのは中小の不動産関連企業やベンチャー企業が多く、大手は避けている市場です。つまり、資金に余裕があり社会的に貢献しようという目的でシェアハウスを運営しようとしている企業は少ないということです。 言い方を変えると、運営している企業が資金に乏しいため、もし事業が悪化し資金繰りが悪くなれば、そのシェアハウスが売却される可能性もあるということです。
本来なら、借地借家法で守られている入居者ですが、シェアハウスの位置づけがまだ不透明な現在では、この借地借家法が適用されるのかどうかは不明です。そういった意味でも現在の入居者の多くは、非常に不安定な立場にあるといえるでしょう。 本来ならもっと公的機関が参入し、法的整備に関する基板を固めていってほしいところですが、シェアハウス事業はまだまだ新しい領域の事業であるため、腰の重い公的機関としてはなかなか参入に踏み切れないようです。
当面の課題としては、シェアハウスに関する法の整備を進め、公的機関や大企業もシェアハウス事業に参入できるような体制を整えることです。そうすれば、全国的にもっとシェアハウスが普及し、共同保育もさらに進むことが予想されます。
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posted by hoiku at : 2014.12.11 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.12.09
新たな介護の可能性17 地域でのミニ事業の志と事業コンセプト その3
このシリーズもいよいよ事業構想に入っています。
今回は、これまで事業理念・コンセプトの検討を踏まえ、地域でのミニ事業の志と事業コンセプトをまとめます。
なぜ、今、地域でのミニ事業なのか?これからの社会をどう考えるか?という大きな視点から考えてみます。
よろしくお願いします。
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posted by yukitake at : 2014.12.09 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.12.07
新たな介護の可能性16 事業理念・コンセプトの検討 その2 ◆事業化の方向性◆
前回は、時代の意識潮流の先端として、高齢者は市場社会から解放されて、「命を守る→地域を守る→社会を守る」という『志』が顕在化している事を、「事業理念・コンセプト」として追求してみました。
その上で、どのような【事業化の方向性】が、求められているのでしょうか?
現代の福祉の問題点を分析する中からその切り口を考えてみたいと思います。
◆福祉問題をどう捉えるべきか<福祉制度の問題点・高齢者福祉の流れ>
「福祉」が語られるようになったのは、いつからでしょうか?
◎「修正資本主義」とは <ブリタニカ国際大百科事典より>
本来の資本主義経済の無計画性に基づくさまざまな弊害を国家が政策的に是正し,福祉国家を目指そうとする思想。資本主義における弊害としての所得の分配の不平等は,労使の協調と国家の所得再分配政策によって,また失業の増大は完全効用政策によって,恐慌の発生は経済計画によってそれぞれ是正され,克服されるとする。
資本主義体制は社会主義との勢力争いの中、経済格差や失業・貧困を阻止するという目的のためにケインズが修正資本主義を唱えて、現在の世界各国はこの制度を導入している。
◎[昔]資本主義 → 経済格差・貧困が増大 → 修正資本主義(国が再分配=福祉)
つまり、市場資本主義では資本・国家側がどんどん儲かってしまい、大衆は貧乏となってしまうので、国家が少し再分配して納得させる手法だ。
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2014.11.30
新たな介護の可能性15 事業理念・コンセプトの検討 その1
画像はこちらからお借りしました
皆さんこんにちは。
「新たな介護の可能性」と題してお話をしてきた本シリーズも15回目を迎えました。手探りで情報を集めてご紹介してきたシリーズでしたが、徐々にシニアの意識潮流や社会や地域との関係が見えてきたところです。
そこで、このあたりで、これまでの流れをまとめて、新しい高齢者事業について具体的に検討していきたいと思います。
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posted by hayabusa at : 2014.11.30 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.11.27
新たな保育の可能性11 高齢者と保育事業、子育て支援を担うおばあさん達
高齢者の仕事継続の仕組みとして、各自治体単位でシルバー人材センターがあります。そのシルバー人材センターは事業の中で、子育て支援を行なっています。主役は、おばあさん達です。
■シルバー人材センターとは
シルバー人材センターは、地域毎に1つずつ設置されている高年齢者の自主的な団体で、臨時的・短期的または軽易な業務を、請負・委任の形式で行う公益法人です。
その運営は、公益社団法人として、会員である地域の高年齢者が自主的に行っています。会の役員(理事等)は会員の互選により決まります。会員は、概ね60歳以上の定年退職者・家業の一線を退いた人等が対象です。
シルバー人材センターにおける就業は、定年退職以降の仕事であり、現役世代と同じ規模で働かない事が原則です。そのため、まとまった期間や量の仕事をする際には、会員同士仕事を分け合うワークシェアリングか行われています。
主な事業は以下の通りです。
技術・技能/経理、自動車運転、庭木の剪定、襖・障子張り、大工、塗装作業等
事 務/文書整理、伝票整理、軽事務、毛筆筆耕、宛名書き等
管 理/公共施設管理、駐車場管理、駐輪場管理等
軽作業/公園清掃、除草(草刈)、墓地清掃、農作業、屋内清掃、工場内部分作業等
サービス/家事、育児、介護等
上記の事業内容からも想像できるように、シルバー人材センターは、男子会員が約7割、女性会員が約3割です。(全国平均)
そして、女性会員(おばあさん)が行なう事業が、サービス/家事、育児、介護等です。
高齢者が自主的に事業に取り組んでいるシルバー人材センターのフレームが、子育て支援の枠組みとして活用されています。今回は、シルバー人材センターでの取り組みを見てみました。
子育て支援に取り組んでいる事例として、福井市シルバー人材センター、草加市、伊丹市を取り上げます。3つのシルバーセンターの概要は下表の通りです。 子育て支援や介護事業を積極的に行なっているシルバー人材センターほど、女性会員の比率が高くなり、福井市で41%、伊丹市で39%となります。子育て支援や介護事業の主役がおばあさん達だと確認できます。
■子育て支援を行なっているシルバー人材センターの事例
以下、福井市、草加市、伊丹市の事例紹介です。参考資料は、「各シルバー人材センターの取組事例 別添3」です。
1.福井市シルバー人材センターの取組
◆介護と子育て支援の拠点「ひだまりの家」
福井市シルバー人材センターでは、平成元年度から全国に先駆けて福祉・家事援助サービス事業を開始し、平成12年度には、全国のシルバー人材センターのトップを切って介護保険事業に参入。
以降、通所介護事業、小規模多機能型居宅介護事業、介護タクシー事業、指定介護居宅事業等を展開、介護にかかる事業に力点を置いた運営をしてきている。
介護事業の拠点の一つとなるのが、福井市内に所在する「ひだまりの家」である。元々、地元自治体へ物納された物件であったが、地元自治体の後押しもありこれを介護ができる施設に改良し、平成15年10月からこの施設において通所介護事業(「シルバーデイサービス事業」)を開始した。
約2,000坪の敷地に赴きのある日本家屋と広い庭があり、他では見られない落ちついた面持ちの施設となっており、利用者から好評を得ている。
また、同施設では、生後6ヶ月から就学前の幼児の一時預り事業(「シルバーママサービス」)としての保育施設を併設している。
シルバーママサービスの利用時間は月~土曜(祝日、お盆、年末年始を除く)まで8:30~17:30までで1時間350円、8時間を超える場合は700円となっている。
同施設では、看護師、ホームヘルパー、保育士などの資格を持つ会員約30人が、週2日程度の交代制で就業している。地域の介護と子育て支援、高齢者の就業機会の確保の両立を図る事業と言える。
写真は、左/介護と子育て支援の拠点「ひだまりの家」、右/シルバーママサービス
◆多彩な福井市シルバー人材センターの育児支援事業
ひだまりの家でのシルバーママサービス以外にも下記のような多数の子育て支援を行なっている。
子ども一時預りセンターの~び・のび/駅東さくらビル/火~日/生後6ヶ月~小学3年生の一時預り事業
まちなか保育えくぼシステム/大手ビル/月~土/生後6ヶ月~小学3年生の一時預り事業
ほのぼのプラザ/ワークプラザ/第2・4土曜、夏休み/伝えよう地域の文化と伝統・体験学習
宿題教室/ワークプラザ/夏・冬・春休み/ゆっくり、ていねい復習中心の学習教室
母子家庭等日常生活支援事業/事務局/月~金/母子家庭、父子家庭の生活援助、育児支援
つどいの広場/ワークプラザ/月水金/子育て親子の交流の場、つどいの広場の提供
すみずみ子育て/ひだまりの家等/月~土/既存の制度でカバーしきれない細かな子育てサービスの提供
ほ~っとチャレンジ教室/ワークプラザ/第1・3土曜/小学校低学年の不登校対策事業
2.草加市シルバー人材センターの取組
◆親子のひろば「のびーすく青柳」
平成19年度に地元自治体(草加市)の助成を受け、0~3歳児「親子のつどいのひろば のび~すく青柳」を草加市内(大型スーパーマーケット施設内)に開所。
育児に悩む母親などに母親同士の触れあいの場を提供する他、相談日を設け無料で保育士・助産士・栄養士による相談を実施。
「のび~すく青柳」の平成24年度の年間利用者は4,392人(月平均366人)となっており、約10名のシルバー人材センター会員が交替(月6~8日就業)で運営に当たっている(日々2~3人の会員が就業)。
開所時間は午前10時から午後4時迄(土・日・祝日も開所)、月の利用料金は1,200円(一日利用の場合は300円)となっている。 地域の子育て支援と高齢者の就業機会の確保の両立を図る事業として、評価されている。
◆就業する会員の声、利用者の声
公立保育園を退職後、この施設で就業させていただいていますが、大変やり甲斐がある。子供の成長を見守れるのが何より嬉しい。男性会員でも子供が懐いてくれる。また、不審者が覗き込むようなこともあり、男性会員がいると安心感がある。
夫婦ともに県外出身で近隣に知人がいない。家にいてもストレスが溜まるばかりであり、こうした施設が近くにあって大変助かっている。スタッフ(会員)からは便秘など子供の体調が不良の場合の対処方法など育児の上でのアドバイスを親身にしていただいている。
母親同士の触れあいができて助かっている。駐車場もあり、買い物にも便利な立地あり、こうした施設が増えると小さな子供を抱える母親には嬉しい。
写真は、左/「のびーすく青柳」外観、右/保育士の資格をもつスタッフ
3.伊丹市シルバー人材センター
◆保育園の運営
平成20年10月から認可外保育施設として、月極保育事業を開始。
元々は、市立病院勤務の職員向けの院内保育施設として開所され投資効率の悪さから閉鎖するに至った施設であるが、働く母親のための育児支援を通じて地域にも貢献できると判断し、運営を引き受けたもの。
現在は、病院職員のほか市内に在住または在勤者の0~5歳までの約50名の保育希望者を受け入れている。
同保育園では、職員としての保育士等14人のほかにシルバー会員25人が就業しており、保育の担当として12人、調理担当として4人、管理・事務・用務・清掃担当として9人の会員が活躍している。
写真は、左/保育所・みどりの保育園、右/保育園の教室と児童
◆就業する会員の声
市民病院で看護助手をし、60歳で退職後、この保育園で就業することになりました。子供と過ごすことができてとても楽しいし、やり甲斐があります。子供から教えられることも多く、続けていきたいと思います(女性会員)。
保育育園で管理などの仕事をしています。園児の父母でない見たことのない方がいきなり入ってくることもあり、気を遣います。様々な催しなどでは子供達とともに動き回りとても楽しく過ごしています(男性会員)。
◆女性会員の就業機会の拡大
女性会員比率は全国平均で32.3%と約3割の状況(全シ協統計年報 平成23年)にあるが、伊丹市シルバー人材センターでは、特に、女性会員の拡大に力を注いでおり、女性会員比率は38.8%となっている。
平成25年4月現在、女性会員数は1,133人となっているが、これまでに拡大してきた特徴のある就業先は、以下のとおりである。
清掃業務(会社・マンションの清掃):約200人
家事援助サービス(高齢者世帯の掃除、洗濯、料理作り、病院の付き添い):約130人
デイサービスセンター(民家を改装し平成17年から運営、7~8人の要介護者へのサービスを提供):約20人
保育園の運営(認可外保育施設を運営):25人
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シルバー人材センターによる子育て支援事業は、地域のおばあさんが係ってくれることで、母親にとって安心の基盤となっています。また、シルバー人材センターは、地域行政との信頼関係もあり、退職した専門家(保育士、看護師など)が中心となり、地域の施設を使うことで、子育て支援の事業が展開されています。
いつまでも社会の役に立ちたいと考えてい高齢者(おじいさん、おばあさん)は、沢山います。その潜在力を顕在化させる組織として、シルバー人材センターが注目されます。
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posted by hoiku at : 2014.11.27 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.11.25
新たな介護の可能性14 「地域を守る」「社会を守る」という志に集うシニア
類グループでは、新たな可能性を実現するべく高齢者対象の人材募集をはじめました!嬉しいことに、通常の人材募集では考えられない、とても多くの応募と、志・能力の高い方々に集まっていただけました☆まさに、当シリーズで探索していたような方々だったんです!
前回記事では、高齢者の方の社会参加意欲が高まってきていることが分かりました。その反面、
>取り組みたい意欲はあるが、既存の活動では満足できていないという実態 もみえてきました。 高齢者の方の社会人40年ほどの技術や経験を社会に活かせていないなんてもったいない。
そこで今回は、類グループで行われている人材募集を事例に、社会参加意欲の高い高齢者の方の受け皿についてみていきます。
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posted by meg at : 2014.11.25 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.11.20
新たな保育の可能性10~企業による事業所内保育の可能性2~
前回の当ブログ「企業による事業所内保育の可能性1」では、子育てという課題を働く場(職場)に取り入れて、企業活力につなげ成果を上げている企業をご紹介しました。今回の企業による事業所内保育の可能性2では、ひとつの企業だけにとどまらず、地域社会とのつながり、地域社会への貢献にまで昇華させた企業の取り組みについて紹介します。
それが会社内に学童保育を取り入れた、千葉県は大網にある「大里綜合管理株式会社」で、社員数35人、年商約6億円の会社です。同社は不動産業を営んでいますが、本業ではない社会貢献事業に中小企業とは思えないほど精力的に取り組んでいます。その数、なんと140ものプロジェクトにのぼります。なぜそんなにも多くの社会貢献活動に取り組んでいるのかというと、「一隅を照らす」という経営理念の存在によるところが大きいようです。「一隅を照らす」という理念について、同社のサイトではこのように説明をしています。
『生きていることに、めぐりあえたことに感謝し、お役に立ちます・・・。今こうしてこの時代に一緒にいられること、喜びや悲しみを分かち合えることに幸せを感じます。この幸せが無数の人々への感謝の気持ちに変わり、小さな力ですが、その限りを尽くしてお役に立ちたいと思うのです。感謝の気持ちに裏付けされた「お役に立つ」という一人一人の命の輝きこそが、「一隅を照らす」ことだと考えています。』
では、具体的に紹介していきます。
会社内学童保育、コミュニティダイニングおおさと(大里綜合管理株式会社)
大里綜合管理株式会社の野老(ところ)真理子社長には、会社とは“かくあらねばならない”という固定観念がないようです。自分たちにとって、いちばんいいかたちが会社なのだという極めて柔軟かつ自由な発想で、会社を運営されています。だから従来の会社という法人組織では考えられないような自在で闊達な会社経営を可能にしています。
その一つが学童保育です。親が共働きの子どもたちは、学校を終えると、“ただいま”と言って、この会社に帰ってきます。月曜から金曜まで、毎日午後7時までは、会社が保育園を兼ねており、社員の子どもたちだけではなく、地域の子どもたちを受け入れています。土曜日は別に土曜学校というクラスがあり、子どもたちは、社員の仕事の邪魔にならないように、上級生が小さな子どもたちの面倒を見ています。
この会社では、子連れの出勤も珍しくありません。普段は託児所に預けていても、子どもが風邪気味の時などは預かってもらえないこともしばしば。そういう時は子どもを職場に連れて来る社員もいます。職場では、手の空いている社員たちが交代で子どもの面倒を見ます。朝礼の時に、社員の周りで子どもがはしゃぎ回っている光景はほほ笑ましく、年中子どもの声が聞こえている会社なのです。
この会社は学童保育だけではない、韓国語や中国語の語学教室、コンサートや寄席、町の掃除など60種以上の地域貢献活動を実施しています。カルチャーセンターや公民館活動も顔負けの、多彩なプログラムを実施しているため、子どもたちだけではなく、地元住民のサロンにもなっているのです。
野老社長の下記の言葉をとても心に残ります。
「会社ですから、利益を上げなければ給料は払えません。でも、利益は地域貢献と一致させてこそ出るものと思っています」
不動産業は地域とのつながりがなくして成り立たないことを意識し、地域社会が元気にならなければ会社も成り立たないことを見通した野老社長の経営方針が、大里綜合管理(株)に発展をもたらしました。
以下の野老社長の言葉からは「利益は地域貢献と一致させてこそ」ということば実現されていることが伺えます。
「当初、地域活動を始めたころは経費を販売促進費という名目で決済していました。しかし、赤字では、地域貢献活動も長続きしませんので、昨年はすべてのプログラムをプラスマイナスゼロにしようとみんなで約束したんです。担当者の頑張りのおかげで、平成19年度は持ち出しはありません。講師の謝金や交通費やもろもろの経費を、参加された方たちからの参加費で賄うことができました。もちろん、これにかかわる社員の人件費のコストは計算には入ってはおりませんけれど」
どんな立派な活動も、赤字では続かない。60種以上に及ぶプログラムのすべてが採算が合っているというのは、脱帽するしかありません。
企業は地域の中のひとつと捉え、学童保育などの育児事業を含めた多彩なプログラムを新たな仕事として成立させている、野老社長の大里綜合管理株式会社は注目です。
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posted by hoiku at : 2014.11.20 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.11.13
新たな保育の可能性9~企業による事業所内保育の可能性1~
地域の待機児童解消の試みとして、民間企業が担い手となる保育所が増えています。
例えば、イオンは運営する全国の大型商業施設に保育所を設け、2015年春までに首都圏の1カ所で開き、18年春をめどに46都道府県でそれぞれ1カ所以上の商業施設に民間の認可保育所を導入する計画があるようです。また、JR東日本は駅ビルや駅近くの土地を活用し沿線への保育所の誘致を積極化させたり、保険業界では第一生命保険が16年ごろまでに全国で約30カ所の保育所を開く計画をしています。
これまで事業所内保育は様々な企業で取り入れられていますが、一時は社員の子供が増えて保育所を使う子供が一定数確保できても、続かないなどの悩みも多いようです。そんな中で、事業所内保育所を上手に運営されている企業もあります。今回は、そんな企業の取り組みを紹介します。
株式会社カミテは 秋田県鹿角郡小坂町にある金型およびプレス部品を製造している会社です。 資本金4,000万円、社員30名の典型的な中小企業です。 顧客企業に高い技術力が認められ、ソニーを始め、オリンパスやキヤノンなどの関連会社が名を連ねています。 平成13年10月、「ファミリー・フレンドリー企業」として厚生労働省から表彰を受けています。 育児休業制度、介護休業制度とも、法律を上回る制度を確立し、また工場敷地内に託児所を設置して保育士2名を常駐させ、働く女性が会社と家庭を両立できるようにしています。
康弘社長が掲げている経営理念を紹介しましょう。
一、少数精鋭主義により、お客様の成長発展に貢献することを第一とする。
一、社員と会社の双方の発展、幸福を追求し、明るく楽しい職場づくりを目指す。
一、堅実と誠意を持って、地域社会の発展のために貢献することを心がける。
中小企業とは思えないほど立派な経営理念を掲げ、しかも実践していることに対して敬意を払わずにはいられません。社員を大事にする会社だからこそ、顧客の信頼を得て発展成長し続けているのです。
経営理念の中に「少数精鋭主義」というキーワードが登場します。中小企業はピーク時を想定して人員を抱えることはできません。育児休暇、介護休暇を取る人がいる中で、いかにして少数精鋭を実現するのでしょうか。そのカギは徹底した「多能工」の育成にあります。 総務、経理などの事務部門の人も現場の作業のエキスパートに育成しているのです。事務の仕事を明日に延ばしても何とかなりますが顧客への納期は延ばせません。いつでも誰でも現場の仕事を肩代わりできるのです。 「多能工」として現場作業のエキスパートになった事務部門の人たちも現場のことに精通し、現場で働く人たちの気持ちもよく理解できるでしょう。「少数精鋭」のもう一つのカギは「非定員制」です。 金型、プレス、検査、梱包・出荷などたくさんの仕事がありますが、どの仕事の量も山あり谷ありで一定していません。しかし、余裕のある人が直ぐに忙しい職場に回って支援し、一気にこなしてしまいます。 カミテには「それは私の担当外」などと言う人は一人もいないのです。
上記の写真は、カミテチャイルドハウス(事業所内託児所)です。
「それは私の担当外」という人は一人もいないという会社風土を形成するのに一役買っているのがカミテチャイルドハウス(事業所内託児所)です。せっかく縁があって社員になってもらった人が結婚、育児、介護などのために退社してしまうのは会社にとっても大きなマイナスです。ならば働き続けもらえる制度を作ろうという考えを持てるかどうかは経営者次第です。結果としてもっとも大切な経営資源である人財の有効活用で、社員と会社の双方が幸せになれるのです。
カミテでは育児休業制度、介護休業制度を活用した人の復職率は100%です。また家族が戻ってくることを楽しみにしているかのように、その間「多能工」の人たちがカバーしあうのです。
創業時より仕事と家庭の両立支援に取り組み共働き夫婦をサポート(タカヤマ金属工業株式会社)
昭和30年に樋受け金具の製造を開始したタカヤマ金属工業株式会社は、今では雨樋受け金具や住宅などの床下を支える鋼製束の製品造りにおいては全国でも圧倒的なシェアを誇る建築部品製造メーカーです。
同社が誇るもう一つの事業は、創業時より始めた事業所内保育所の運営です。保育所は同社の本社ビル内に設けられており、資格を持った保育士が常駐し、パートを含む社員の乳幼児を預けることができます。
同社の総務部の担当者の方の話では
「子どもが1歳になるまで育児休業を取ることができますが、夫婦共働きの場合、生後6ヶ月から事業所内保育所が利用できます。このため、ほとんどの方が6ヶ月で育児休業を切り上げ、仕事に復帰されています。」
とのことです。保育料金も社員のために低料金に設定されている上、昼食時には子どもと一緒に過ごすこともできます。また近隣の幼稚園に通う子ども達は、幼稚園の送迎バスから同社前で下車し、事業所内保育所で親の迎えを待つこともできます。ひとり親や共働き家庭の子どもたちは、就学後も春・夏・冬休みなどの時期に一時的に利用することも可能です。親にとっても子どもにとっても、安心して一日が過ごせるよう柔軟な運営がなされているのです。こうして保育所設置から50年余りの間に、保育所から延べ500人を超える子どもが巣立っています。
「かつて保育所で育ったお子さんたちが、成人して当社に入社し、親子でがんばっている例も多いんですよ。」
とのことです。51年も前に事業所内に保育所を作ったのは先代社長の「働き続けるためには住居と保育施設は必要」との強い思いから始まったといいます。現在の活気あふれる社内をみても、事業所内保育所設置は先代社長の先見の明であり、その取組が会社に好循環をもたらしています。
同社では、建築部品製造メーカーという一般的には男性社員が多い印象の業界で、女性社員が平均年齢、平均勤続年数ともに上回っています。これは、事業所内保育所の利用が大きく影響していますが、社内の人間関係の良さも大きな要因であるといいます。事業所内保育所に子どもを預けることで、社員間でのコミュニケーションは仕事のことだけでなく、子育て、自身の仕事観にまでおよびます。長年の勤務が評価され、主任として活躍する女性社員の一人は
「子どもを保育所でみてもらい、安心して仕事に専念してきました。会社内では仕事のことや悩みを話せる同僚がいて、いつでも話を聞いてもらえる環境があったおかげで、仕事と子育ての両立で苦労をしたという記憶がありません。それだけでなく、さらに仕事を続けようという意欲につながりました。」
といいます。若手社員はそんな先輩社員を見ながら育っています。社員が働き続けられる環境づくりに地道に取り組んできた同社の努力が、今大きな成果をもたらしています。
今回の「企業による事業所内保育の事例1」では、子育てという課題を働く場(職場)に取り組んで、企業活力につなげ成果に結び付けている企業をご紹介しました。次回の「企業による事業所内保育の事例2」では、ひとつの企業という枠にとらわれず、ひとつの地域まで目を向けた企業の取り組みをご紹介したいと思います。
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posted by hoiku at : 2014.11.13 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.11.11
新たな介護の可能性13 シニアの志の顕現と追求気運の高まり
前回記事まで、数回にわたり、町内会の動向を見てきましたが、やはり町内会という組織体(だけ)では継続的な取り組みは難しく、NPOなどを設立する事例が増加しつつあるようです。
事業の実現に向けては、「想い」だけではなく、その先の事業性や社会的な位置づけなどの追求が不可欠です。また、事業を考える前提となる社会は複雑化しており、正確な社会認識が成否を分けるひとつのファクターとなっています。
つまり、シニアによるorシニアを活かした事業が、今後どのような展開の可能性があるか、どの程度の現実性を持ちうるのか、はシニア層における追求気運の程度に大きく左右されるということになりそうです。
そこで今回からは、「シニアの志の顕現と、実現に向けた追求気運の高まり」を見ていきます。
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posted by ythayn2014 at : 2014.11.11 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList
2014.11.06
新たな保育の可能性8 高齢者と保育事業、学童保育を担うおじいちゃん達
子育て支援では、0~2歳児の待機児童が多く、その支援が焦点になっています。そして、もう一つの節目が小学校入学段階です。
保育所では、標準で18時まで預かってくれ、必要なら20時位まで、延長保育が可能です。母親は、安心してフルタイムの仕事に従事できます。 しかし、小学校に入学すると、1年生は午後2時、3時には学校が終わり、帰宅してきます。
この低学年の児童を、母親に代わりに見守る仕組みが、社会的に十分整っていません。『小1の壁』です。
今回は、小学校低学年の児童を預かる「学童保育」の実態と、可能性を探ります。
1.学童保育の現状
学童保育がどうなっているか、まずはマクロなデータです。資料は、『学童保育の実施状況調査』(全国学童保育連絡協議会)です。
全国の学童保育所の数は、1993年の7,500ヶ所から2014年には22,00ヶ所へと増加しています。そこに通う児童数も2014年では93.3万人となっています。
学童保育所に通う児童は、やはり低学年が多いです。学童保育の利用率は、1年生で35%、2年生では30%、3年生では22%です。4年生以上になるとぐっと下ってきます。
学童保育は、どんな施設を使っているかを見たのが下の図です。
学校施設が54%と過半数を超えています。次いで、児童館(12%)、公民館他(9%)と続きます。民家・アパートも6%あります。
学童保育は、継続的に増加していまが、まだまだ、多くの課題を抱えています。
『学童保育の実施状況調査』が以下の点を指摘しています。
・学童保育所がない小学校区が、全国で約3500校区、小学校区の2割もある。
・低学年の「潜在的な待機児童」が40万人いる。
・子ども(低学年)が学校にいる時間は、年間1,221時間、対して学童保育にいる時間は年間1,681時間と、学童保育にいる時間の方が長い。学童保育の場は、学校教育の場に匹敵している。
・効率重視の大規模な学童保育所が増え、子どもの「生活の場」が十分に提供できていない。
・指導員の大半が、パートタイムで勤続年数も少なく、子どもの「生活の場」をつくるには不十分である。
・国・自治体の予算は、保育所に比べ圧倒的に少なく、子育て支援の枠組みの中に組み込まれていない。だから、大規模施設ができ、指導員が弱体のままである。
2.地域の高齢者が学童保育を担う
国・自治体の財政限界により、学校や保育所に匹敵する公的予算は期待できません。少ない予算の中で、学童保育をどう充実させていくかが課題です。
学童保育の指導員(世話係)は、パートタイム、小額の収入を強いられます。若者・壮年の仕事としては困難です。
しかし、パートタイム、小額の収入でも可能な階層が存在します。高齢者です。しかも、小学校1~3年生ですから、男の高齢者でも十分務まります。逆に、男の高齢者なら、経験してきたことを、次の世代に教えることもできます。
全国で、高齢者が中心になり、地域に応える形で学童保育を実践しているケースが増加しています。
事例:熊本県宇城市不知火町/松合小学校・放課後こども教室
熊本県宇城市不知火町にある地元の保育園の学童保育は、平成19年で廃止されることとなりました。
このことを受け、小学校低学児童の放課後の安全安心を確保するため、場所は小学校の空き教室を利用して、PTA会長をはじめとした保護者、当時の校長先生や地域の高齢者の協力を得て、放課後子ども教室を立ち上げました。高齢者のさまざまな経験と知識をいかして、長年地域に住み続け地域をこよなく愛する住民の地域力の現れです。
平成20年4月より、月曜日から金曜日の午後3時から午後5時まで、地域の協力員が当番制で、1日に少ないときで3人、多い時は6人で次のような活動を展開しています。
月曜日:「習字」…道具の並べ方から級習得を目標に基本練習
火曜日:「パソコン」…ローマ字入力、文章作成、表計算、電子メール
水曜日:「そろばん」…指の使い方から級習得を目標に基本練習
木曜日:「読み聞かせ」…大人や児童による読み聞かせ、紙芝居
金曜日:「体験」…季節の体験、地域探訪、昔遊び、折り紙などを実施
年間約180日に及ぶ活動が展開されています。
地域の協力員(高齢者)が当番で世話係を務めています。地域ぐるみの子育て支援です。
次は、子どもに接し、もっている経験を活かし、役に立つということが、高齢者の活力にもなっています。そんな事例を紹介します。
事例:平塚市生きがい事業団・寺子屋教室
平塚市生きがい事業団で、定年退職した高齢者が自身のスキルを市民に教えるという「寺小屋教室」が今月から始まった。指導役の高齢者はカリキュラム作りに悪戦苦闘している様子ながら、新しい「生きがい」に心を躍らせているようだ。
寺小屋が開かれるのは、同事業団の建物内にある10畳ほどの一室。水曜日の夕方には子ども向けの書道教室が開かれ、児童の声でひときわ賑わう。講師を務める元中学校教諭の久保寺芙沙子さんは、筆に迷う児童を見つけては背後から手を添え、「ついつい口が出ちゃうの」と笑った。
寺小屋では、書道教室と放課後学習支援の2講座を子ども向けに開く一方、大人のための書道、絵画、囲碁、パソコン教室も開講している。11月のスタートながら、各講座には生徒が集まり、寄せられる評判も上々のようだ。
書道教室に足を運ぶ小学生の保護者は「習字は初めてですが、月謝も手頃で敷居が低く、気軽に通わせることができた」と話す。児童も「先生が分かりやすく教えてくれて楽しい」と、つぶらな瞳を輝かせた。
寺小屋事業は、定年退職者ら同事業団の会員が、自身のキャリアを発揮する場を新たに創出する試みでもある。会員向けにアンケートを実施し、実現しそうな講座から開講した。 同事業団職員も「会員さんはもっと自分の特色を活かせる機会を求めている」と話し、寺小屋の今後に期待を寄せている。
書道を教える久保寺さんも「子どもは学年も性格もいろいろで、一律に教えるわけにもいかないし、試行錯誤で大変。でも楽しいわ」と愉快そうに語っていた。
幅広く、高齢者(おじいちゃん達)が参加する仕組みが求められている。
上記のように、学童保育では、沢山のおじいちゃん達が活躍しています。これをもっと拡大できれば良いと思います。
学童保育は、小学校・児童館・公民館などの場所は十分あります。指導員(世話係)は、退職高齢者という潜在的な予備軍がいます。
この予備軍を動員できれば、少ない予算で、学童保育(子供たちの生活の場)を充実させることができそうです。
その際、ポイントとなりそうなのは、講座プログラムの開発と普及ではないでしょうか。そろばん、習字、読み聞かせ等が取り組まれていますが、それでは、退職高齢者の一部しか参加できません。 もっと幅広いプログラムを設定して、参加できる高齢者を広げるのです。
やり方は簡単です。 全国の学童保育所での多種多様な講座(プログラム)を集め、経験を普及させるポータルサイトを作ります。そして、学童保育の世話人を希望する高齢者に、研修を行うのです。
そんなアイディアが浮かびます。
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posted by hoiku at : 2014.11.06 | コメント (0件) | トラックバック (0) TweetList