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新たな介護の可能性15 事業理念・コンセプトの検討 その1

danketu
画像はこちら [1]からお借りしました

皆さんこんにちは。

「新たな介護の可能性」題してお話をしてきた本シリーズも15回目を迎えました。手探りで情報を集めてご紹介してきたシリーズでしたが、徐々にシニアの意識潮流や社会や地域との関係が見えてきたところです。
そこで、このあたりで、これまでの流れをまとめて、新しい高齢者事業について具体的に検討していきたいと思います。

◆振り返り
これまでの記事を振り返ってみます。夫々を要約することで、大きな流れを見出したいと思います。

新たな介護の可能性~高齢化社会の視点を変えれば新しい可能性が見える~ [2]
・歴史を振り返っても日本の高齢者は働き者だった。
・まだ働きたいのに役割がない=意識と制度の不整合

新たな介護の可能性 2.今後、高齢者の意識変化はますます加速し、可能性が広がる! [3]
・シニアの活動が広がり始めている・・・仕事を通じて・地域貢献を通じて など
・シニア起業家の増加・・・目的は「社会貢献」
・今後、現在の中堅~若者の年齢層がシニアになっていく。社会的目的意識は高まるはず。

新たな介護の可能性 3.現役シニアに見る「志」 [4]
・元気なシニアに見る「志」。トップクラスの志は、皆のため、社会のため、日本のため=「大志」を抱く。
・シニア層は大小さまざまな社会貢献の意識=「志」を抱きつつある。日本には数十万の志が眠っている。

新たな介護の可能性 4.高齢者の社会への導き [5]
・シニアの役割について、現在の成功事例や過去の事例を紹介。
・自ら追求して若者に示していく。歴史的にも知識の継承と人材育成はシニアの役割だった。
・最終的にシニアに求められるのは、社会を導いていくことだった。

新たな介護の可能性 5.社会に役立ちたい日本のシニア [6]
・知り合いのオジさんの事例:定年後、悠々自適な生活をしてみたが、物足りない。仕事も子育ても全て卒業した今、社会の役に立ちたい。
・そんな個人課題から解放されたシニア層が大量に居るのが今の日本。
・定年後に「社会の役に立つ仕事に就けるシステム」が求められている。

新たな介護の可能性 6.高齢者の役割を再考する [7]
・原始共同体~古代社会~江戸時代におけるシニアの役割について事例分析
・各時代において、シニアにはより社会的で重要な役割が期待されていた。
・今後のシニアの役割は「集団を守り・導くこと」が期待されていくだろう。

新たな介護の可能性 7.地方活性化と高齢者の役割創出の可能性 [8]
・シニアの社会貢献意識の高まりを実際に活かしている事例を紹介。
・地方には、地域活性化や村おこしをシニアが主体的に担っている事例が多数ある。
・地方には、過疎化という普遍構造があり、問題意識が共有しやすくシニアの力を活かしやすい。

新たな介護の可能性 8.都市部で高齢者が生きがいを持って生活できる社会を形成する! [9]
・シニアの役割創出。地方に続いて、都市部での調査。
・女性主体の家事代行や子育て支援、介護支援などは、あちこちで事業化の事例が出てきている。
・男性主導の事業は、まだ少ないが、出てきている。
・都市部の需要は、かつての大家族がもっていた機能を補完する事。相互扶助の関係構築が鍵か?

新たな介護の可能性9 事業化の検討:成功事例の『集め方』『広げ方』『つなげ方』 [10]
・都市部におけるシニアの役割創出(←事業化)。その成功事例を「集め方」「広げ方」「つなげ方」で分析。
・事業の目的=「志」が共感を生み、それが「口コミ」で広がっていくところがポイントの一つ目。
・事業者は「つなげること」と「広げること」だけに注力。二つ目のポイント。
・活動の場は「地域」を拠点に、対面のネットワークでつながって広がっていく。三つ目のポイント。

新たな介護の可能性10 事業化の検討:高齢者の地域活動への意識 [11]
・都市部におけるシニアの活動の場は地域にありそう。では、地域活動への参加意識はどうなっている?
・意識調査によると、悠々自適な生活を望む意識は減少傾向。地域活動に参加したい意識は増加傾向。
・地域活動の中心は、自治会・町内会。中にはNPO法人を立上げ、子育て支援を事業化している事例もある。
・ボランティア団体を超えて、事業化していく流れがあることが見えてきた。

新たな介護の可能性11 事業化の検討:新たな地域ネットワークの構築 [12]
・地域活動の中心である、自治会・町内会の実態調査。残念ながら、高齢化と核人材の減少で存続の危機。
・自治会・町内会は、相互扶助と地域の主体性を基盤にした日本の文化。
・シニア世代(旧住民)と現役世代(新住民)のすれ違いが衰退の原因。両者のニーズは、本来マッチするはず。

新たな介護の可能性12 事業化の検討:新旧の住民をつなぐ地域コミュニティ~NPOと自治会・町内会の連携 [13]
・地域を拠点とした活動の支援と成功事例の調査。
・京都市では、行政が地元の自治会とNPO法人のつながりをつくる取り組みをしている。
・子育て支援を中心に、地域に根ざし“居場所”となる場づくりの成功事例。フリーペーパーも活用している。
・実際の活動と、発信媒体をセットにして志=課題の共有。

新たな介護の可能性13 シニアの志の顕現と追求気運の高まり [14]
・シニアの社会参加意欲は、年々上昇。しかし、近しいところに魅力的な活動がない。接点がない。
・シニア向け講座を開講する大学で学び、それを活かして社会参加する層が登場。
・地元企業の経営支援、子育て支援の事業化事例を紹介。

新たな介護の可能性14 「地域を守る」「社会を守る」という志に集うシニア [15]
・企業の「シニア募集」の事例紹介。レポートは募集担当の生の実感。
・社会参加意欲の高いシニアは、本気で取組める場所を求めている。
・市場競争社会で本気で闘ってきた方は、私権社会の矛盾や歪みを強く感じている。
・ポイントは「新しい社会の実現」。企業として社会活動に取組むところに可能性を感じて応募。

 

◆14回の記事で見えてきたこと
14回の記事を振り返って、注目ポイントを抜き出すと、このようになります。

●シニアの社会参加意欲は確実に高まっている。悠々自適な生活より、誰かの役に立つ活動で充実感を得ようとする流れがあることは、疑いようがない。

●地方には、過疎化という普遍的問題がある。シニアが社会貢献活動して取組む課題として共有されやすい。

●都市部では解決すべき課題が明確になっていない。子育てや介護の課題は確実にある。が、個人単位の問題でもあるため全体の課題として固定されづらい(入っていきづらい)。現役世代(新住民)とシニア世代(旧住民)の接点が少なく、各々のニーズを共有する機会がないという問題もある。

●社会貢献活動は、地域社会を中心に行いたいという意識がある。しかし、既存の地域活動には魅力的なものがない、もしくは情報発信が少ないため接点が見出せない。

活動の意味=「志」の共有が必要。地域活動やシニア事業の成功事例は、もれなく大きな「志」をもって活動を行っている。

●最先端のシニアは、自らの経験を活かす魅力的な活動として「社会をつくる」ことに収束している

 

◆意識潮流の分析
シニアの意識の変化。その結果、出てきたのが上記まとめです。
では、そもそも、悠々自適な生活では満足できなくなったのはなぜか?地域が社会貢献活動の場として選ばれるのはなぜか? その流れはどこに向かうのか? 意識潮流を図解化しました。
↓↓↓それが、これ↓↓↓
家庭ブログ 図解 [16]

《解説》
・図解は、左から右に向かって進みます。
・スタート(一番左):1990年~現在に起きた“顕著な出来事”。皆の意識を形成する“外からの圧力”です。
バブル崩壊を受けて、自らの利益=私権の追求に疑問を持つ流れが生まれ、お上=政治家や官僚の暴走が目に余ると感じるようになりました。
・それを受けて『本源回帰』。本来的な人のありよう、人間関係のありようを心底で探る(回帰する)動きが起こります。
・本来的な人のありよう=「本源」を通じて見えてくることは「秩序崩壊の危機」「お上(マスコミ)の不信」。潜在意識には「漠たる危機感」があり、この世はどうなっているのか?を探る「未知収束」があります。
・“これはおかしい”という認識が向かう先が『志の生起』です。言い換えれば「自分たちのことは自分たちで守る」という意識。その次元は「自分の命を守る」という根本から、自らが住まう「地域」に向い、さらに「社会を守る」ところへ向かっていきます。
・ゴール(一番右):『志の生起』が行き着く先、具体的に起こっている現象が一番右です。

 

◆意識潮流の分析から見えてくること
図解化をしてみると、“流行”として捉えられていた個別の現象が、大きな流れの中で連関して起こっていることが見えてきます。シニアの方々が地域を通じて社会貢献活動を捉えていることも、その流れの中にあることとわかります。

意識潮流の大きなポイントは『本源回帰』⇒『志の生起』
シニアの方々は私権社会で闘ってきた分、私権社会の矛盾や歪みを感じてこられたはずです。「何かおかしい」「このままではいけない」と潜在的に感じてきた。そして、現役を退いた後、いよいよそのような意識が前面に現れて「命を守る→地域を守る→社会を守る」という『志』が顕在化しているのだと思います。

このように考えると、シニアの方々が目指す『志』は、絵空事ではありません。現実を踏まえたうえでの実現目標です。今現在、手探りの状態にある都市部の地域活動も、その現実=課題が共有されれば、実現方針と具体的活動まで見通し動いていくことが出来るはずです。そのために、シニアの方々の力が必要なのです
潜在する課題を発掘し、その解決を実現目標にした継続的な活動=シニア活動の事業化は、今後増えていくと考えます。

長々と失礼いたしました。

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