2023.04.24

時代の変遷と学習指導要領Ⅱ~時代を追うとこれから求められる力が分かる!~

前回に引き続き2000年代以降の時代の変遷と学習指導要領を追っていきます。

1998年~2000年 第6回改訂
第6回改訂では、学級崩壊やいじめ、少年犯罪の増加を受けて、心の教育を重視し、受験のための学習ではなく「生きる力」を育むことを重視。これまでの「ゆとり」をさらに推し進め、完全学校週5日制の導入と教育内容の厳選(大幅に削減)を行いました。

2008年~2009年 第7回改訂
その後の第7回改訂では「生きる力」をはぐくむという理念のもと、知識や技術の習得とともに思考力・判断力・表現力などの育成を重視し、「体験活動の充実」が実現しました。
第6回改訂のときに論議を呼んだ「学力低下」への不安感に対応するため、授業時間を10%程増加。「脱ゆとり」といわれましたが、実際のところ、学習内容や学力は大きくは変わりませんでした

2017年~2018年 第8回改訂
「生きる力」を育む、という理念は変わりませんでしたが、第8回改訂では社会の変化を見据えて新たな学びへと進化させました。その代表が、主体的・対話的で深い学び「アクティブラーニング」です。
ただし、アクティブラーニングでどのように学ぶのかを重視していますが、当事者にはどのような能力が身につくのかは曖昧で、実態はあまり意味のなさないものになっていました

 

まとめ
そして現在、2022年に経済産業省から「未来人材ビジョン」というものが提唱され、「自ら考え・他者と協働し、0から1を生み出す力」という人材育成への期待が高まっているのが分かります。

2001年の9.11テロ、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、そして2019年にはコロナ感染拡大など、2000年以降人々を大きく揺るがす出来事がたくさん起きました。
豊かになることを目標としていた戦後とは違い、2000年以降、何を見据えて行動すれば良いのか「先の見えない時代」となりました。だからこそ、2000年以降の学習要領もゆとり⇔脱ゆとりと右往左往していました。そのなかで、生産現場にいる人々は「これまでのやり方では成果が出ない!」ということに気づき始めているのです。

先の見えない時代のなかで、0から1を生み出す=新しい価値を生み出すのは一人ではできないからこそ、自分だけではなく、お互いの能力を引き出せる人材が求められるようになりました。

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2023.04.11

“共創”が充足を生み出し、学ぶ意欲を高める

前回のブログでも紹介した通り、私たちの「学び」(教育制度)の中身は、社会の動き=生産様式の変化に合わせて変容しています。時代の変遷と学習指導要領
では、今、求められる「学び」とは何なのでしょうか。今回は、最先端の社会の動きとともに、学びの在り方を追求してみたいと思います。

新しい価値の創出が求められる現代では、“共創”というキーワードが企業における生産の場で注目されています。
“共創”とは「Co-Creation」。言葉の通り、共に創ることを指し、既存の枠組みに囚われずに、企業がもつ技術力や認識力を開き合い、学び合い、これまでにない新たな価値を生み出すことを指します。“共創”活動を進める企業ほど、活力も高く、成果も高いのです。

学歴がものをいう時代においては、相手は敵。競争力が求められ、如何にして個人戦を勝ち抜くかが重要でした。現代は違います。相手は新しい価値を生み出すための存在であり、その存在こそが充足源です。「仲間と共に創ることが最大の活力源であり、その方が、成果が出る」ことが、大きな社会潮流になっています。

上記の内容をふまえ、学びの場面において“共創力を最大限に活かした実践事例を紹介します。小学校低学年の事例です。


画像はこちらこちらからお借りしました。

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年長~小学3年生が混在する8名のクラスにおいて、それぞれの子どもに必要なプリント学習が組まれました。誰にとっても意味のある課題にしたい。という意思を持って先生が臨んだ授業 は、結果、子どもたちの集中力も上がり、正答率も上がったのです。何がポイントだったのでしょうか 。

1.みんな課題の設定
プリント学習というと、一人ひとりに課題が与えられ、個別に達成するイメージですが、今回は、「みんなで40枚を達成しよう!」という目標設定のもと始められました。
すると、みんなの成果に自分も加わっているという役割も明確に分かり、相互に期待をかけ合っていきます。途中で、「あと何枚なん」という声も出て、集中力は増すばかり。
具体的な数値目標が、しかも、全員でやりきる課題が設定され、達成に近づくにつれ、充足感も増していくのです。

2.やる気を継続する声かけ
プリント学習であれ、今やっている取組の内容が、他のところでも活用できる。他の授業で学んだ基礎認識を使えば、もっと早く解くことができる。そのような、声かけは、個別の課題ではなく、全体につながる感覚を持たせ、子どもたちのやる気に繋がります。
「今回の問題が解けるようになったら、〇〇でやった課題も簡単やな!」。「根幹メニューの認識を使えば、簡単やろ!思い出してみよう!」など、先生からもどんどん声がかかります。無駄ではなく、次につながっている。という期待感が、やる気を増幅させていきます。

3.空気をつくる「反応」の良さ
みんな課題になっているため、自分の成果だけでなく、相手の成果も気になります。上手く進んでいない友達を見つけると、「こういうふうにしたらいいんやで」と教えます。声をかけられた子どもは、すぐに素直に真似をして成果を出します。このやりとりを通じた充足感がクラス全体にいきわたり、空気をつくります。
反応が良く、相手の真似をして充足を増幅する。互いを認め合う空気感は、成果にもつながります。

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この事例からも分かるように、人との関わりが深まる課題設定・場づくりを意識するだけで、こんなにも成果、そして充足(一体になる充足感)が深まるのです。それらは、子どもたちだけでなく、大人でも同様です。
共創力を高めるためには何が必要なのか。そして、その力を発揮するために、どんな学びが必要なのか。企業における人材育成にもふみこんで追求したいと思います。

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2023.04.03

時代の変遷と学習指導要領

学校教育は、社会動向、生産様式の変化と連動しているということを、これまでの記事で紹介してきました。実は、学校教育の中身を決める学習指導要領は、戦後から現在までの間で計8回の改訂が行われています。今回は、その動き(社会(産業)の動き→学習指導要領→学習の中身)を年代ごとに追っていきたいと思います。

■1950年代:第1回改訂

戦後の日本は、欧米に追い付け追い越せと工業化を推し進めていきました。

1950年の朝鮮戦争特需によって経済が大きく上向きになっていきました。このころから農家人口が大きく減少しています。工業化が進んでいったことで、地方から都市へ生産人口が移っていきました。さらに1955年以降、高度経済成長期に入ります。人材の「質」よりも「量」が経済(産業)を支えた時代でした。

 

当初の学習指導要領は、「アメリカ式の教育」(社会と生活を連動させた経験主義、現場の創意工夫に任せる教育)を参考にして作られましたが、改訂されます。改定内容は、「総授業時数を改正」「教科を4つに分類」「毛筆習字は,国語の一部として4年生から実施」「自由研究は教科以外の活動」「道徳教育の役割を各教科にて明確化」しました。基本方針はそのままに、科目ごとに過程や時間配当を明文化、教育課程の年次・週計画のたて方、また指導方法が細かく設定されるなどどちらかというと教員側の改定から教育の充実が図られました。

 

■1960年代:第2回改訂

1960年代は、簡単に言うと1950年の勢いをそのままにもっと学力をつけて、もっと生産力を高めるようとした時代。人材の量を増やすことに比重が置かれつつも、一定の質の上昇を図りはじめました。

 

そのため、学習指導要領は、基礎学力の充実に加え、科学技術教育の向上を目的に、日本式知識伝達型教育に移行します。当時の改定により、全体の授業時数を大幅に増やしました。公立学校では補習が行われ、学習塾も多く作られた時期でもあります。詰め込み教育のはじまりといえます。学校教育では偏差値に基づく評価がなされ、学校間、生徒間序列を生み出し、学歴獲得競争に突入します。

 

■1970年代:第3回改訂

1970年代の日本は、高度経済成長を遂げ、世界第2位の経済大国の地位を得ました。1964年に東京オリンピック、1970年に大阪万博を開催。国民の生活水準は飛躍的に上昇しました。世界トップレベルの経済大国として、産業界はさらに科学技術向上や経済発展を推し進めようとしていました。

 

この時の学習指導要領は、時代の要請に応えるために、「量」も「質」も求められました。このころの学習量・内容は、進度が早すぎて子どもたちがついていけず、「新幹線授業」と言われていました。その結果「落ちこぼれ」を生み出し社会的問題へとなっています。

 

一方で1973年のオイルショックによって、先行き不安を掻き立てられた親たちは「学歴だけは確保しておこう」と子ども達を学歴獲得競争へと追い込んでいきました。結果、受験競争がさらに激化していくことになります。

 

■1980年代:第4回改訂

1980年代の経済は、バブル化によって異様な盛り上がりをみせました。これまで一貫して経済拡大・生産力拡大を推し進めてきた産業界ですが、オイルショックやバブル経済などの社会現象を目の当たりにし、単調な拡大路線を切り替えます

学習指導要領も、「創造性」「多様な個性・能力」、「教養」が重視されるようになり、これまでの「量」重視の学びの在り方が変わる時代です。同時にゆとりが導入され始めます。

 

受験競争による、落ちこぼれの続出の総括から、国語、算数、理科、社会がそれぞれ週1時間ずつ削減されました。ただし、時間だけは縮減されたものの、学ぶ中身は減っておらず、改定による効果は低い状態でした。また、週1時間「ゆとり」が新設されましたが、その有効な使い方が示されず、授業の補習用の時間として使用されているケースがほとんどでした。

 

■1990年代:第5回改訂

1990年にバブルが崩壊し、金融機関の破綻も相次ぎ、大手金融機関の山一証券も倒産したのも大きな出来事でした。大量解雇により終身雇用などの日本型経営は崩壊。戦後から続く私権収束が一気に衰弱した時代です。産業界が求める人材像も変わり、学力よりも「課題設定・解決能力」、「論理的・批判的思考力」が重視されようになりました。

 

学習指導要領も「新しい学力観」が提唱されました。子どもの学力とは、知識の量ではなく、「自ら学び、自ら考える」力であり、「社会の変化に主体的に対応できる」子どもを育てようという方針を打ち出しました。しかし、指導要領の具体的な中身を見ていくと、相対評価から絶対評価に変わったこと、週5日制を取り入れたことが主要な改定であり、新しい学力観を象徴するほどの大きな転換は見られませんでした。

 

■まとめ

ここまで学習指導要領の改訂を見ていくと、1980年までは、生産力拡大路線を進めた国(経済・産業)の動きと連動して、「量」を増やしていく改定が続きました。事実として、人材量の投入によって世界第2位の経済大国まで上り詰めました。しかし、1980年代以降は、それまで見てこなかった問題が顕在化され、教育界では「ゆとり」路線を取ったものの、中身がなく、スカスカ状態。産業界も学力ではなく「創造性」や「課題設定・解決能力」などを重視したものの、その中身は教育界同様スカスカ状態となっている。誰も答えを見出せなくなり、明らかな低迷感が充満していきました

 

 

1950年代から1990年代の社会(産業)の動き→学習指導要領→学習の中身を追っていきました。次は2000年代に入っていきます!

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posted by haga-h at : 2023.04.03 | コメント (0件) | トラックバック (0) List   

2023.03.23

企業で人を育てるために必要なことは!?

皆さんが勤める会社の中で、

部下が思うように成長しない・・・。若手社員に対してどんな声掛けをしたらよいか分からない・・・。

などと悩むことはありませんか?

企業において、若手の人材育成はとても重要で、かつ大変難しいものだと思います。きっと部下の育成に困っている方も多いはず。

前回までの記事で、子供たちの自己肯定感を下げているのは、核家族という「閉ざされた」家庭環境による親の圧力が一因であることを扱いましたが、実は企業においてもそうした「閉ざされた」環境の中で若手社員の成長を阻んでいる可能性があるのです。

近年のSDGsの広がりをはじめとしたさまざまな要因から、「仕事を通じて社会に貢献したい」と意気込んで就職活動に臨む学生が増加しています。

そうした強い志を持って入社した新入社員に対して、中堅・ベテラン社員はどんな声掛け、育成をしていけばよいでしょうか。

ありがちなのが、「〇〇さん、これやっておいてね、その次はこれをやって、あれをやって・・」

というように、上司があらゆるタスクをすべて教え、指示してしまうケースです。

新入社員は、ひたすら言われたことを頑張り、次の指示を待つ。結果、言われたことをこなすだけのイエスマンとなっていく。これは人材育成が成功していると言えるでしょうか。

これは、ある意味閉ざされた環境下で育つ子供たちの状況に似ています。家庭における母親のように、特定の上司から言われることを鵜呑みにして自己肯定感を下げてしまったり、言われたことをただやるだけになってしまったり・・・。これでは社員は成長していきません。

ここで大切になるのは、上司はとにかく「開き出す」ことです。上司の中にも、解決が難しい課題はたくさんあるはず。それを、若手社員も巻き込んでそうした課題を伝え、一緒に解決していく場を作り出すことが必要になります。

今、自分たちはどんな状況に置かれているのか、何がうまくいっているのか、自分達の目標は何なのか。それらを開示していくことで、若手社員は、ただ漠然と仕事をこなすのではなく、なぜ目の前の課題をするのかを明確に意識しながら行動できるようになります。

またそうした機会があることにより、若手社員にとっては「自分も組織の一員なんだ」「こうやったらうまくいくのでは?」など、やる気アップ上司の価値観に縛られない自由な提案にも繋がります。結果として、若手の考える力や行動力を育成し、組織としても成果を出すことにも繋がります。

 

右も左も分からない若手社員にとって、「ああしなさい、こうしなさい」と1つ1つ教えてもらえるのは、ある意味ラクかもしれませんが、それでは自分の頭では何も考えない「指示待ち人間」と作り出すだけです。

「上司と部下」ではなく、組織の一員として、どれだけ「自分もやってみたい!」という気持ちにさせられるか。そして、失敗しながらも自分の頭で考えさせることこそが、若手社員が成長する近道なのではないでしょうか。

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posted by doi-y at : 2023.03.23 | コメント (0件) | トラックバック (0) List   

2023.03.22

若者のパフォーマンスを上げるには?③~「自分ひとりではどうにもならない…」ことを気づくところから~

若者のパフォーマンスを上げるには?②~リカレント、リスキリングの前に必要なこと
では、集団での達成感や成功体験を積むことが成長に不可欠なんじゃないか?と仮説立てました。

そこで今回は、とある若手(Aさん)の実体験をもとに、若手のパフォーマンスを上げるためにどうする??に迫っていきたいと思います。

「自分ひとりではどうにもならない…」ことに気づかせてくれる仲間の存在

最初はだれでもそうですが、自分の評価を気にしてしまう。。。
若手あるあるですが、本当にみんなの役に立っているのか?足を引っ張っていないか?と、気にしがちですよね。

Aさんも同様で、次第に何をするにしても自分に完璧を求めていくようになったと言います。そこで、自分だけではどうにもならない壁にぶつかったようです。

部署全体でも、業務がひっ迫している状況下で、突破できない原因を自分のせいにしたり、「このままだとマズい」という状況でも、どうすることもできなかったり。

とにかく、周りに言い出す、相談することができない状況だったそう。。。
しんどいですよね。

そんな時に声をかけてくれたのが、様々な業務で忙しいはずの先輩だったそうです。そこで初めて、「できていない」ことを周りに開き出すことができ、どうすれば突破できるか?を一緒に考えてくれたようです。

また、ただでさえ忙しい中、他のメンバーとの調整やチームの体制を組み替えるなど、課題を突破するために奔走してくれた結果、なんとかやり切ることができました。
先輩からは、「なんとかなってよかったね」と声をかけられたことも大きく、これを期に課題」や「人」の捉え方が大きく変わったと言います。

自分だけではどうにもならない状況の中で、手を差し伸べてくれる仲間の存在。
そんな仲間と、チームで成功体験を積んでいくことが、彼女にとっては仕事のやりがいとなっていると言います。

常にベクトルは、”自分”ではなく”みんな”

当初は、自分の評価を気にしていたところから、
自分ではどうにもならない状況を、仲間の力を借りて突破できたことが、成長のきっかけになっていそうですね。

この、「自分ではどうにもならない」ことに気づけるのも、”仲間”あってのこと。
それからの彼女は、色々なメンバーから見ても「表情が明るくなった」といわれているようです。1人の成長も、仲間の存在あってこそな気がしますね。

次回は、それを実現できる人材育成体制について、掘り下げていきたいです。

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posted by y-takumi at : 2023.03.22 | コメント (0件) | トラックバック (0) List   

2023.03.11

「密室家庭」がこどもたちの自己肯定感を低下させている!  

前回の記事では、自己肯定感が低い若い世代に対して、どのように接していけば良いのかを考えてみました。ペップトークに代表されるように、こまめな評価によって自信をつけていくこと。この積み重ねによって、その人がもつ本来のパフォーマンスを発揮していけるのです。

しかし、そもそもなぜ、若い世代は自己肯定感が低いのでしょうか。

実は、こども時代に育ってきた環境に密接に関係しているのです。

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posted by toyosima at : 2023.03.11 | コメント (0件) | トラックバック (0) List   

2023.03.08

若者のパフォーマンスを上げるには?②~リカレント、リスキリングの前に必要なこと

(画像はこちらからお借りしました)

■大企業新入社員の3割が3年で辞めている
現在、リカレント、リスキリングなど学び直しを政府が後押ししています。大企業新入社員の3割が3年で辞めている現実があり、転職市場も活性化。辞める理由は何だろうか?突き詰めれば、もっと評価される企業に行きたい、ということでしょう。

これ自身は別におかしなことではありません。人間は高い共感力をもつ動物。自分一人では自分を定義できない。仲間からの評価、認められたいという思いは常にあるし、これがないと人は充足もできない。

■その解決がリカレント、リスキリングなのか?
転職を斡旋する企業が売り込むためには、「職歴」や「何ができるか」が重要なので、リカレント、リスキリングに流れるという流れ。結局は、転職企業の利益のためとも言えます。

一方で、企業が求めている能力は、ここ数年全く変わっていません。
順番にみていくと、「コミュニケーション能力」「意欲的」「素直」「真面目、誠実な人柄」「明るい性格」「専門的なスキルを持っている」・・・。

6番目でようやく「専門的なスキル」がでてくる程度です。

(画像はこちらからお借りしました)

1~5番は、集団やチームのなかで培われる人間力の部分ここが不足している点を直視する必要があります。新入社員は、これまで学校のなかで学歴を求めて生きてきたのですから、不足しているのは当然と言えば、当然です。

■集団での達成感や成功体験を積むことが成長に不可欠
つまり「自分」にベクトルが向いていては、いつまでも企業に必要とされないということでしょう。転職したら評価が変わるなんてことは幻想で、人間力がなければどこに行っても同じことを繰り返す、自分が変わる必要があります。そのためには、まわりにいる「仲間」に目を向けチームがうまく行くにはどうするか?を考えることが変わるきっかけになるのではないでしょうか。

周囲をみわたしてみても、集団のなかで困難を一緒に乗り越えた達成感や成功体験を積んだ人材が確実に成長し、評価を集めているのは間違いのない事実です。

今回はここまで。次回は、もう少し具体的な中身を掘り下げていきます。

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posted by sai-nao at : 2023.03.08 | コメント (0件) | トラックバック (0) List   

2023.03.05

若者のパフォーマンスを上げる!その秘訣は?

若い世代の人材育成どうする?どのように接すれば、若者の力が発揮される?
今回は、上記のようなテーマで記事を書いてみたいと思います。小中学生の子育てにも通ずるテーマですので、お母さん方も必見です。

■自己肯定感が低い?若者
「自己肯定感」という言葉を聞くようになったのは、2000年頃からです。幸福度アンケート(2007年)で日本の子どもの幸福度が著しく低いことが話題となりました。その後、教育再生会議提言(2017年)に「自己肯定感を高め・・・」が盛り込まれ、自己肯定感というキーワードが一層注目されることになります。

※「自己肯定感」とは、能力や結果に関わらず「ありのままの自分」を尊重する力です。

自己肯定感というと、それが「低い」、「高めなきゃ」など、ネガティブなイメージが先行し、ありのままの自分を受けとめられない状態に陥るケースも多い。例えば、何か問題があった際に、「自分が」何かおかしいのではないか?と、ありもしない欠陥ばかりに、意識が向いてしまうことです。
一方、自己肯定感は高く、寧ろ自己効力感が低いのが若者(いわゆるZ世代)の特徴という見方もあります。→Z世代の特徴:自己肯定感は高いが、自己効力感が低い

 

■仕事場面ではどのように接するか?
少し難易度の高い課題を与えられた際に若い世代は、「自分は何もできない。自分には無理。特技もない。」など、マイナスの評価を自らに向けてしまいがちです。
本ブログの20代のメンバーに聞いてみたところ、「これで、まわりの役に立っているのだろうか」、「これを取り組み続けていいのかな」、「ここに居ていいのかな」など、不安でいっぱい。ただし、その不安感が高まるのは、まわりの人・上司・先輩とのやりとりが無い時に顕著だそうです。

では、当人も含め、仕事を進める上で、周りの人はどのように接していくのが良いのでしょうか。

それは、まわりからたくさん声をかけてあげること。声をかけてもらうこと。至ってシンプル!
「〇〇さんの△△によって助かったよ。」「〇〇さんが、△△やっててくれたおかげだね」など、役に立っていると実感できるような声かけは、とても重要です。何故ならば、自己肯定感は、自分の中から見つけるものではなく、まわりの人達からの声かけや評価で決まるからです

そして何よりも、その仕事がどのように楽しいのか・難しいのか・何を大切にすればお客様が喜んでくれるのか、という仕事を通じた世界観の共有こそが重要なのです。そのためには、こまめな声かけがあることで、意識もシンクロし、本人の安心感も増して、やる気も上がっていきます。
※世代が離れていれば、「同じ意識で仕事に取り組んでくれている」なんてことも上司の幻想なのです。(笑)

 

■ではどんな声かけをする?⇒ペップトークって何?
ペップ(PEP)は英語で、元気・活気・活力という意味があります。駅伝で有名な青学の原監督。選手のパフォーマンスを上げるペップトーク。これで日本一に輝く。上司や先輩は特に意識したいトークの心得5つです。

・ポジティブな言葉を使う
「~しないように、~しちゃだめ」ではなく、「~しよう」「~したらうまくいきそうだ」というポジティブな肯定系の言葉を選んで伝える。

・短い言葉を使う
長々とした説明ではなく、短い言葉で伝えることを意識する

・わかりやすい言葉をつかう
誰もが一瞬で理解できる分かりやすい言葉を使う。相手のことを考えない上司ほど、話が長いのは世界共通。

・一番言ってほしい言葉を使う
自分が言いたいことではなく、相手が言ってほしい言葉をつかう。
そのためには、相手の状況を理解している。相手の心情を理解しているというのが大事。
これも旧い上司ほど、昔話に熱心になる。あの年代の時のオレは~・・・

・心に火をつける本気の関わり
自分の気持ちがない表面的な言葉ではなく「相手に本気で成功してほしい」「絶対に一緒に成功するんだ」といった気持ちがあることが前提。

みなさん、実践してみてくださいね!
次回は、では、何故、ここまで若者やこども達は、自己肯定感が低くなってしまったのか?について、その原因に迫っていきます。

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posted by oguma at : 2023.03.05 | コメント (0件) | トラックバック (0) List   

2023.02.22

高度成長期後の企業トップから見た日本の教育

前回は1960年代に急増した核家族の問題点として以下の2点があがりました。

・親子だけの空間のため、祖父母から子育てのノウハウが継承されず、母親の不安が募る。

・家庭が生産現場と切り離された空間になったため、「勉強」が評価軸の中心になった。

 

上記の2点は連鎖関係があり、子育てに明確な評価軸がないため、自身の子育てが正しいのかどうか不安になる。例えば、言葉が多少遅れても祖父母がいれば「そんなものくらい大丈夫だよ!」と言ってくれただろう事象でも、他の子と比べて「我が子だけ出来ない…」という不安が募り、それがそのまま自身の子育て評価に繋がってしまう。

これを突き詰めると、有名大学(高校・中学)に合格すること、つまり勉強ができるようになることが子育ての成功という認識が社会に広がる。

こうして「勉強」が評価軸の中心になった。

 

1960年代に結婚し、核家族を築いた夫婦の子どもが小中学校にあがるのが1970年代頃。ちょうどこのころに「受験戦争」という言葉も生まれ、マスコミが乗じたこともあり、社会全体に「学歴信仰」が広がります。

このように学歴信仰が進む時代、当時の産業界は教育をどう見ていたのでしょうか。

 

1950年代~1960年代は、高度成長真っただ中だったため、とにかく生産量を増やすことが第一であり、そのための人材提言とし、工場長などを担える中堅技術者の不足(=量的問題)が訴えられています。

1960年代~1970年代になると、大学への進学率が上がり、大学の大衆化に伴う学力低下や多様性の欠如からくる創造力のなさ(=質的問題)が問題視されます。

こうした人材の質的問題を抱えた時代、1974年にSONYが湘北短期大学を設立しました。その際、トップが語った言葉が以下のものです。長文ですが、抜粋せずそのまま載せます。

 

「なんとかして有名大学を出ることが、もっと簡単に言えばよい大学へさえ入ってしまえば人生の大半が決まってしまう様な今日の世の中の機構に、私は大変疑問を感じる。ほんとうに世の中の役に立ちその存在に意味のある人は、こんな教育の考え方の中から決して生れてこないだろう。教育は決してだまっていて上から自動的に与えられるだけのものではない。自分で求め何処までも自分で追求して行くのが真の教育の姿ではないだろうか。こんな方向を目指し、どんどん実現して行ける学校がこれからの日本にはどうしても必要であるということから、湘北短期大学が生れることになったのである。実技を通じて智識のみでなく、世の中を活きていく、人を率いて行ける人柄を身につける教育を、私は大いに期待している。」

 

この言葉が象徴している通り、産業界のトップ層は主体性なき学歴社会を憂い、「自ら実学を求め・考える人材」を輩出してほしいと訴えています。

 

そして、それから約50年経った現在、どれだけ変化したのでしょう?

 

以下が、産業界が学生に求める「資質」と「能力」の2023年版です。

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資質:主体性・協調性・実行力

能力:課題設定および解決力・論理的思考力・創造力

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なんと、ほとんど変わってない!

産業界視点で教育を見ると、1970年代に憂いた人材問題が、50年たっても解決されていないことがわかります。学校も家庭も

「実学」より「ペーパーテスト学」を重視した結果と言えば、当然のことかもしれません。

 

しかし、現実社会と切り離された学校や家庭で、子どもたちはどのような意識だったのでしょうか?こうした社会環境の中で、

子どもたちの活力はどう変化したのかを見ていきます。

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posted by kami-dai at : 2023.02.22 | コメント (0件) | トラックバック (0) List   

2023.02.18

今どきの中学受験事情にみる意識潮流

今回は「中学受験」について。
制度自体は昔からあったものですが、その中身:中でも子供に受けさせようとする親の意識は、少なくとも一昔前(’80年代)のイメージにあった「エリート(になりたい)意識」からは大きく様変わりしてきているような。
今回は、そうした思いから気になり手に取った書籍の内容を通じて、考察を深めてみたいと思います。

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posted by negi at : 2023.02.18 | コメント (0件) | トラックバック (0) List