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新たな介護の可能性17 地域でのミニ事業の志と事業コンセプト その3

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このシリーズもいよいよ事業構想に入っています。

今回は、これまで事業理念・コンセプトの検討を踏まえ、地域でのミニ事業の志と事業コンセプトをまとめます。

なぜ、今、地域でのミニ事業なのか?これからの社会をどう考えるか?という大きな視点から考えてみます。

よろしくお願いします。

●地域でのミニ事業の志

原発、TPP、不正選挙、アベノミクスによる格差拡大、財政赤字拡大など、お上の暴走により、日本社会は秩序崩壊の危機にあります。高齢者福祉制度も例外ではなく、年金、介護保険制度も崩壊の危機にあります。

○現状認識:地域共同体の崩壊と高齢者福祉制度の行き詰まり

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なぜ高齢者福祉制度は行き詰まっているのでしょうか?

その答えは、前回の投稿をご覧ください。

 新たな介護の可能性16 事業理念・コンセプトの検討 その2 ◆事業化の方向性◆ [3]

以下に、そのポイントを整理します。

「介護」「高齢者問題」を改めて考える  

★問題の核心は、帰属する「共同体の崩壊」であった。

共同体の崩壊 → 相互扶助の喪失 → 国が高齢化福祉(市場化=お金で対応)→ 財政破綻

「どうする?」の答えは、「お金」ではなく、どのような社会を作るかです!  

つまり高齢者対策は決してお金の問題では無く、発想としては、歴史的に地域共同体が駆逐されて来た過程を逆回しにするようにして、「共同体の再生」が必要なのです。

 

あらためて、これからどのような社会をつくるか?というビジョンから、ミニ事業の志を考えます。

○これからどのような社会をつくるか?

地域共同体が崩壊し、頼るべき集団を失ってしまったのは何も高齢者だけではない。若者世代も同様で、頼るべき集団を失ってしまったために、何の期待や役割もなく、生きる目的を見失って、引きこもったり、フリーターを続けたりしている若者が急増中である。

可能性がありながらも、活力と能力を活かしきれていない若者の急増は、まだ元気で働ける活力と能力をもっているにもかかわらず「福祉」にぶら下がっている高齢者の増加と同じく、社会的な大きな損失である。

日本企業の多くは、共同体的、家族的体質を持っており、私権時代は、企業が失われた共同体の集団機能を代替してきた面がある。しかし、今や多くの企業が、生き残りをかけて人件費コストを削減するために、終身雇用制を止め、多くの正社員を切り捨てている。

若者世代ほど、もはや私権の獲得は活力源ではなくなり、そのような私権第一の企業には馴染めない人も多い。「お金が全て」の時代は終わった。人々の活力と能力を活かすために、これからどのような社会をつくるか?のビジョンを追求して行かなければならない。

これからの社会は、「お金が全て」の私権社会から、「共認が全て」の共認社会になって行く。共に認め合って、互いに期待し合い、その期待に応え合うことで充足することが、人々の活力源となって行くだろう。

そのような共認社会を実現するうえで、共同体の再生が不可欠である。頼るべき集団があってはじめて、人々は安心・充足の基盤を確保し、活力を持って役割を担い、課題を追求することができる。

おそらく、共同体の再生への道筋は、企業の共同体化と地域の共同体化の2通りある。この2つが両輪となって、共認社会⇒共同体社会は実現されて行くだろう。

 

当ブログでは、地域の共同体化を追求して行きます。(企業の共同体化については「これからは共同体の時代 [4]」ブログをご覧ください。)

○ミニ事業の志:地域共同体の再生

いずれ社会は共同体社会へ移行して行くだろうとのビジョンはあるにせよ、今の状況は、他人任せにして、放っておいても実現できる状況にはない。

秩序崩壊の危機的状況であるにも関わらず、誰も本質を考え、根本的な解決策を追求しようとしない。目先のごまかしに終始し、問題を先送りにし続けている。もはや、お上は頼りにならない、信用できないと見限るしかない状況にある。

ならば、我々は、自分たちで賄い(自給期待)、自分たちで考えていく(自考期待)しかないのではないか。自分たちの地域は自分たちで守り、自分たちの社会は自分たちで守るしかない。

以上のような状況認識と将来ビジョンを踏まえ、目先の高齢者福祉制度の改革以前に、高齢者問題の本質にある問題を追求したい。「地域共同体を再生すること」が、我々の志である。

そのために、地域で必要とされる課題をミニ事業として事業化する。地域でのミニ事業が、地域共同体の再生を導いて行く可能性を追求する。

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前回の投稿の事業化の方向性 [3]を少し具体的にイメージしてみます。

●事業化の方向性:地域共同体の再生を図るにはどうしたらいいか?

(1)「志」を顕在化させる「バカ者」の必要性

地域共同体を再生するには、その先導役が必要になる。元々高齢者の役割は「集団を守り、導くこと」にあった。これからの地域共同体の再生においても、先導役と期待されるのは高齢者なのではないだろうか。

高齢者が先導役となっていくためには、高齢者の「志」を顕在化させる必要がある。「命を守る⇒地域を守る⇒社会を守る」という「志」は、高齢者の意識潮流において広く顕在化しつつあり、それをさらに推し進めることができれば、新たなミニ事業は次々と立ち上って行くであろう。

新たなミニ事業の立ち上げを呼びかけ、盛り上げて行くためには、自分のことはさて置いてでも、ほとんど利益にはならないことでも、みんなのために一肌脱いでやろうという「志」を持っている「バカ者」が必要だ。

「バカ者」となってくれる高齢者が動き、場を提供してくれる有志を募り、みんなが気軽に集まれる場をつくって行くことから地域でのミニ事業は出発するだろう。

(2)高齢者に期待される役割⇒共認関係の再生

高齢者の「志」を事業へとつなげていくには、高齢者が培ってきた経験とノウハウを活かす役割をつくっていく必要がある。

現在、シェアハウス、カーシェアリング、子育ての場となる公園の自主管理など、地域でシェアする文化が急速に広がりつつある。このシェアする文化を同世代だけではなく、多世代に広げることができれば、高齢者の経験とノウハウを活かすこともできるだろう。

地域には、子育て、介護、まちの美化、防犯・防災、地域文化の伝承など、若者も高齢者も合わせて、みんなでシェアした方が上手く行く課題はたくさんある。今まで、市場では採算が合わないという理由で、企業が事業化しなかった課題がほとんどだが、企業人があまり関わって来なかった影で、主婦や高齢者などの地域の人たちが支えてくれている。我々の生活は、市場で供給されるサービスだけではなく、地域の人たちの支えがあってはじめて成り立っていることに気づくだろう。

これらの地域課題は、市場での顔の見えない取引関係とは違い、お互い顔見知りで、信頼し合っているという土着的な人間関係があってはじめて解決できる課題である。

言い換えれば、生産課題を担う仕事関係だけではなく、消費生活も互いに支えあうという生産と消費が一体となった馴染みの人間関係があってはじめて取り組める課題であるとも言える。例えば、かつての長屋住まいには、様々な職業の人がいる中にも、味噌、醤油などをお互いに融通し合うような人間関係があった。そのような生産も消費も同じ時、同じ場所を共有するような共認関係を再生することこそ、地域共同体再生の鍵である。

そのような共認関係を現代社会で再生するうえで、その地域に長く住み続けている高齢者に期待される役割は大きい。長老の経験と知恵は、みんなの気持ちを一つにしていくのに役立つはずだ。みんなが気軽に集まれる場をつくって、地域に必要とされる課題を発掘し、高齢者に期待する役割を具体化すれば、高齢者の新たな役割が創出できるだろう。

(3)地域に期待される課題を事業化

しかし、従来のような有志のボランティアだけでは限界がある。「何かやりたい」「何か地域の役に立つことをしたい」という志を持っていても、なかなか場や機会がないので、参加に踏み切れないという人も多い。高齢者の役割を具体的な仕事につなげていくためには、地域課題を事業化することが不可欠である。事業化を図ることによって、今までバラバラであった地域の人たちが力を合わせる仕組みができる。

例えば、自治会・町内会で、その活動を持続させ、参加する人を増やすためにNPO法人化し、事業化を図る例が増えている。地域課題は無償のボランティアであるという固定観念から発想を切り替え、地域課題こそ、みんなに期待され、必要とされる課題であり、事業化すべきものであるという認識に立つ必要がある。

(4)地域での人つながり、ネットワークを広げる

地域での共認関係を再生して行くためには、ミニ事業を起爆剤として、地域での人つながりを広げ、ネットワークを広げて行く必要がある。

隣近所どうしが名前を知っている顔見知りの関係になって行くことから出発し、その顔見知りの関係が地域全体に広がって行くことで、多様な人つながりができ、各々のミニ事業がネットワーク化される。各々のミニ事業がネットワーク化されることによって、その地域が自立した地域共同体となって行くであろう。

そのためには、既に様々な地域で、地域コミュニティ形成の媒体として広がりを見せているミニコミ紙等も事業戦略の視野に入れて追求する必要がある。

加藤製作所 [6]

 

以上の考察から、地域でのミニ事業のコンセプトを以下のように考えます。

●事業コンセプト(案)

地域で支えあう新たな相互扶助関係をつくる

地域共同体の再生に向け、衰弱する地域コミュニティを活性化し、地域の人つながり、地域の団体のネットワークを再構築することにより、みんなが充足し、安心して住み続けられるまちづくりに貢献する。

市場の採算には乗らないという理由で、みんなから必要とされながら、サービスが不足している課題を事業化することにより、市場の取引関係を超えた共認関係を再生し、新たな相互扶助関係をつくる。

 

次回は、事業構想の具体化に向け、地域でのミニ事業はどのようなエリアを対象とするのか?どのような高齢者をターゲットにするのか?の追求に入ります。お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

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