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2014年08月05日
新たな介護の可能性 4.高齢者の社会への導き
皆さんこんにちは。前回記事では、社会に対して積極的に役割を担っている高齢者の事例より、その源には「志」があること、そして日本には大小さまざまな志が眠っていることが見えてきました。それは可能性である一方、自分が志を実現しなくてもなんとかなるという認識(=高齢者としての役割を放棄)している状態であるともいえます。 今回記事は、3つの事例より「高齢者の役割」を探索していきます。
1、追求スタンスの伝承~若・老 一緒で成功~中小企業が高齢社会を生き抜ける~高齢者が元気に働いている企業ほど、若年層が活発に勤務している現実 より引用します。
前略
○(株)野口製作所:愛知県豊橋市 金属プレス加工・金型制作、深絞り加工
・技術の高度化と伝承に注力→高齢者と若手のグループ化により教育訓練の場作り。
・60歳以上の再雇用制度を持ち、その制度で活躍する社員がシニア・エキスパートとして若い技術者の鍛え手。
・再雇用者の賃金は、高年齢者雇用継続給付と年金併用の場合、その手取り額が最高となる水準に設定。○(株)五十鈴製作所:名古屋市南区 各種産業機械、鋳造設備等の設計・制作・販売
・1品料理作り(顧客の必要に応じ機器を製作)が特色で、高度な技術者と若手技術者の融合が必要。
・ベテラン社員と若手技術者達が一緒に仕事をするシステムを採用。
・定年は60歳だが、意欲と健康が許せば何歳まででも雇用。身分は嘱託、賃金は定年時の70%。契約は半年毎見直し。60歳以上の特殊技能者5名。
上記は、
・高齢者が元気に働いている企業ほど、若年層が活発に勤務している
・高齢者と若者世代を融合させた体制 をもつ2社です。
高齢者が若年層を鍛える役割を担っている(=高齢者と若年層のペアだ)からこそ若年層が活発なのだと考えます。高齢者の卓越した技術とその技術を更に磨き続ける追求姿勢を目の当たりにすることで、心に火がつくのではないでしょうか。そうした若年層は、技術を高めるために高齢者に思考過程にまで徹底的に同化していきます。仕事を通じて、高齢者から若年層へ「追求スタンスの伝承が行われている」といえそうです。
2、日本は追求文化があった~死ぬまで追求、元気老人~
”スーパー高齢者”に共通するもの~未知への収束。未知収束が高齢者(事業)の可能性を開く より引用します。
前略
老いてなお現役として活躍しているプロの生き様を紹介している『最高齢プロフェッショナル』シリーズ(徳間書店)です。このシリーズでは年齢を超越した30人の超人の事例が掲載されていて、ケーススタディをするにはうってつけなのです。最高齢プロフェッショナル達の珠玉の言葉を一部抜粋します。
■コーヒーだけのお店銀座のカフェ・ド・ランブル店主・関口一郎(96 歳)
「次から次へと改善したいことが出てきて、96 歳になっても時間が足りないよ」
■世界で活躍する日本人ピアニストの先駆け・室井摩耶子(89 歳)
「真剣に向き合うたびにいろんな発見がある。だから面白くてやめられない」
■結核と闘いながら吹き続けアメリカを魅了したサックス奏者・尾田悟(85 歳)
「演奏に満足したことは一度もないよ。明日はもっとうまくなる。だから生きていられる」
■老いと戦いながら96 歳でCD を発売したチェリスト・青木十良(97 歳)
「満足するものは一生作れない。だから人生は面白い」中略
一生続けられる仕事を見つけた彼らは、例外なく幸せに生きていると言えます。つまり誰もが思わず敬意を表したくなるような「老い方」に必要なものは仕事なのです。そこで次のような仮説が成り立ちます。
第1仮説:生涯続けられる仕事は幸せな老い方を約束する。隠居は不幸の始まり。
この仮説を裏付ける為にさらに文献で事例を調べていると、とんでもない事実を突きとめました。平均寿命が40 歳にも満たない戦国~江戸時代に、平均寿命約83 歳という恐るべき集団が存在していたのです。
それは戦や決闘に、命をかけ己の武術を磨くことのみに明け暮れていた武芸者、剣豪です。中略
柳生 宗矩【やぎゅう ・ むねのり】 76 歳 1571-1646
東郷 重位【とうごう ・ ちゅうい】 83 歳 1561-1643
宝蔵院胤栄【ほうぞういん・いんえい】 87 歳 1521-1607
丸目 蔵人【まるめ ・ くらんど】 90 歳 1540-1629
宮本 武蔵【みやもと ・ むさし】 60 歳 1584-1645
彼らの平均寿命約83 歳は2010 年の日本人男性の平均寿命79.64 歳をも軽く超えており、驚異的な生命力と言えるでしょう。後略
茶道・華道・剣道など、日本には「道」を極める文化が古くからありました。
現代のスーパー高齢者と江戸時代のスーパー高齢者では、携わっているものが違いますが、その道をとことん追求し、その先に広がる‘未知の世界’を追求しようとするところが共通しています。
3、社会への導き
高齢者の役割~集団を存続させるための、口承伝の役割 より引用します。
アフリカの一部族では、「一人の高齢者が死ぬと、一つの図書館がなくなる」ということわざがあるくらい、老人の知識は重宝がられているといいます。
中略
「一万年の旅路―ネイティヴ・アメリカンの口承史:10万年前から語り継がれてきた物語 リンク 」からの引用です。
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(引用開始)
>物語は、1万年前からはじまります。このときこの一族は、朝鮮~琉球、日本列島辺りに住んでおり、温暖な気候の中、大いに繁栄していました。
しかし突然、大地震と火山、そして津波が襲い、一族の大半が死に絶えてしまいました。
>残ったのはたった35人。そしてこの35人は、総力を結集し、シベリアまで歩き、氷河期が終わろうとしているベーリング海峡を渡ることを決意します。
>仲間全員を太いロープで結び、ほぼ溶けかかっていたベーリング海峡を超える。その後アラスカからカナダ、アメリカと歩き続け、大陸を横断し、最終的にはオンタリオ湖(現イロコイ連邦のある場所)にたどり着く。
>本書の大半はこの1万年の歴史の中で、一族がどのような試練にあい、それをどのように克服してきたかという面に割かれています。中略
昔から語り部の役割は、一族が大きな転機にさしかかったとき、それまでの来歴をあらためて正しく物語り、自分たちが何者なのか、どんな旅をしてきたのかを思い出させることによって、未来への適切な決定や選択を助けることなのだ、と。
共同体的集団の高齢者は、事象だけではなく、自分たちがどんな状況でどう判断してきたのかを語ることで、集団の未来を導こうとして下さっていたのですね。
4、まとめ~高齢者の社会への導き~
今回記事では、3つの事例から
1、若年層に追求スタンスを伝承する高齢者
2、日本は追求文化だった
3、社会への導きを行う高齢者 3つの高齢者の役割に注目できます。
高齢者は子や孫だけでなく、若者個人を育てることだけでもなく、企業や地域、社会を導くための存在だったんですね!
現代の高齢者は、集団を導いているのでしょうか?悠々自適の生活を行い集団ではなく個的生活を送っている方が多数と思います。また、社会から非生産者として除け者にされているようにも感じます。しかし、本来、高齢者が集団を導く存在であったように、現代においても高齢者が集団を導く存在であることが、企業・地域・社会として強くなる可能性ではないでしょうか?
投稿者 ythayn2014 : 2014年08月05日 TweetList
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