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2009年01月31日
婚姻史シリーズ~書籍紹介:「日本の歴史をよみなおす」
日本の歴史を見る上で外せない著者の一人に網野善彦氏がいます。
婚姻史というタイトルではありませんが、日本社会の歴史の中で女性たちがどのような位置にいたのかについて、おもしろい記述がある本を紹介します。
書名:日本の歴史をよみなおす…第4章:女性をめぐって
著者:網野善彦
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この文献が題材にしているのは中世の頃。網野氏によれば、南北朝の前後で日本社会の姿が大きく転換しており、その動乱の時期が対象になっています。その中の第4章が女性にまつわる記述になっています。
第4章 女性をめぐって
<構成>
・ルイス・フロイスの書物から
・男女の性のありかた
・太良荘の女性たち
・女性の社会的活動
・女性職能集団の出現
・公的世界からの女性の排除
・穢れと女性
・女性の地位低下
■以下、要約です。
●「ルイス・フロイスの書物から」では、16世紀中ごろに日本に来たポルトガル人宣教師のルイス・フロイスの残した書物の中に描かれている当時の日本女性の有様の紹介からはじまります。
・日本の女性は処女の純潔を少しも重んじない。それを欠いても名誉も失わなければ結婚もできる。
・日本では夫婦それぞれが自分の財産を所有している。ときには妻が夫に高利で貸し付ける。
・日本では夫婦は意のままにいつでも離別する。妻はそのことで名誉を失わないし結婚もできる。
日本ではしばしば妻が夫を離別する。
…といった、当時のヨーロッパ人から見ると驚くべき習俗が記述されていたことが紹介されています。
●「男女の性のありかた」では、夜這いや歌垣など男女間のおおらかな性の習俗があったことを紹介。
神前や仏前は世俗の縁が切れるところであり、男女が自由に交渉できる場があった…
あるいは、若い女性たちが旅にでることがあり、旅もまた世俗の縁と切れる機会であった…
といった中世日本社会のおおらかな性習俗が紹介されています。
また、かつての日本社会を記述している文献として、以下の書名があげられています。
(このあたりは、べつの機会に是非読んでみたいものです)
・宮本常一著:「忘れられた日本人」、「家郷の訓え」
・赤松啓介著」「非常民の民俗文化」
●「太良荘の女性たち」と「女性の社会的活動」では、多くの文献が残されている若狭の国の小さな荘園の話。
南北朝時代までの女性はあらゆる社会的な活動分野に女性が登場し、公職にも任命され、自分の名前で所領を保持して活動していた。ところが、室町以降になると女性の権利が次第に弱くなっていったようです。
●「女性の職能集団の登場」では、遊女・白拍子・桂女・傀儡・大原女・辻子君などを紹介。
彼女らはリーダーに率いられてグループをくみ、春をひさぐことも少なくなかったが、同時に、各地の伝承を物語化していった中世の語り部的な集団でもありました。
●「公的世界からの女性の排除」では、南北朝以前の日本社会は母系制の色彩がより強く、父系的な制度はあとから登場してきたことを紹介。
●「穢れと女性」と「女性の地位低下」では、室町以降、女性の地位は低下し、それまで女性が担っていた職業まで次第に男にとって代わられるようになっていった。しかし、近世江戸期になっても、社会の中で女性たちの担う場面は様々あり、通説で言われているような家父長制の下で抑圧された存在では無かったことが示されています。
ざっと、以上ような内容で、婚姻史として展開しているものではありませんが、日本社会が近世江戸期まで母系制の色彩を残した社会であったことを豊かに描き出しています。
是非、一読されることをお勧めします。
byわっと
投稿者 wyama : 2009年01月31日 TweetList
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