【肌感覚に学ぶ】触覚、固有受容覚、前庭覚を磨くには?「遊び」と「お手伝い」で本能的な欲求を満たす |
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2022年07月16日
【肌感覚に学ぶ】幼少期だからこそ育みたい。「からだ・こころ・あたま」をつなぐ感覚統合。
【肌感覚に学ぶ】シリーズでは、皮膚感覚(触覚)のすごさや、「固有受容覚」「前庭覚」なる感覚機能ってなに?という疑問から、子供達の成長過程(身心両面で)において基礎となる機能であることを紹介してきました。
「前庭覚」って何?~私たちの体が健全に作動する上で大切な、もう一つの感覚機能~
「固有受容覚」と「前庭覚」の成長と子供たちの活動との関係性とは?
触覚、固有受容覚、前庭覚を磨くには?「遊び」と「お手伝い」で本能的な欲求を満たす
今回は基礎となる感覚機能を統合していくことの大切さについてです。―――――――――――――――――――――――――――――――――
感覚を統合しながら成長する。触覚、平衡感覚、固有感覚は、生来的に働いているといわれています。日々の生活の中で、この3つの感覚に視覚と聴覚を加えた5つの感覚をバランスよく使いながら、さまざまな活動を行います。その行動がまた新しい感覚刺激をうみ、それが新しい活動に繋がり……と積み重ねていくことで、子どもはより複雑な行動や対応ができるようになってきます。学校や家庭で目にする子どもの姿は氷山の一角。その「土台」となっているのがこの5つの感覚なのです(下図)。
これは積み木で作ったピラミッドのようなもので、土台となるいちばん下の積み木が1つでも抜けたり、不安定だったりすると、2段目・3段目に積み重なっている力が脆弱になり、感情や学習態度、生活態度まで影響を及ぼしてしまうことがあります。
基礎となる感覚が関係しあい、より複雑な機能を築きながら、運動や学習の力が積み上がっていきます。見えている姿は氷山の一角であり、実はその土台となる感覚の育ちが重要になってきます。
子どものさまざまなつまずきを「土台」から見直していくことが感覚統合の考え方です。※引用:感覚統合ってなんだろう?(児童発達支援センタークムレ様のホームページより)
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なるほど。特に注目する点は、これらの基礎感覚は「からだ」をうまくコントロールしていく意味合いに加えて、「こころ」や「あたま」の発達面でも極めて重要な役割をなしていること。そして、集中する力、まとめる力、学習する力なども、実は基礎感覚の統合によって養われている点。
以前の記事でも触れましたが、対象の動きを身体的に真似する力は固有受容覚が関係していますし、身体感覚からの未知への挑戦を促すのは前庭覚が関係しています。(この基礎感覚での快・不快や、充足感や不全感が、心や頭でも快や充足を求める起点になっている)
例えば、うちの子は、集中力が無い、学ぶことへの興味が薄い、粘り強く挑戦することができないなど、親からすればたくさんの気になる現象があるものですが、目先の不安に目を向けるのではなく、子供の発達過程における感覚統合の役割と構造を知ることで、目に見えやすい事象だけでなく、その背景の欠乏を受け止めることが可能になりそうです。
つまり、親として不安な事象があったとしても、幼少期に特定のスキルや頭だけを鍛える発想は極めて不自然なことで、原点は身体感覚をベースにした感覚統合を養うこと。その土台をしっかりとつくれる環境に目を向けることこそ「からだ・こころ・あたま」が繋がって、没頭できる力、真似ぶ力、挑戦したい欠乏=生きる力が育まれていくのではないでしょうか。
そう捉えると、現代の多くの習い事に追われる子供達より、元来子供が営んできた活動。シンプルだけど外で遊ぶ、異年齢で遊ぶなどは、体勢感覚のバランスに加え、相手の気持ちを理解したり、知恵を使って工夫したりと、基礎感覚を養い統合していく上で最適な環境であると再認識できるのではないでしょうか。
「からだ・こころ・あたま」を繋ぐ感覚統合。これからの子育て環境を追求していく上で大きなヒントになりそうです。
次回は、身体感覚と知能の発達には関係があることが見えてきましたが、そもそも知能って何?というところから具体的に追求していきたいと思います。
投稿者 tana-ken : 2022年07月16日 TweetList
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