消費者庁とは~消費と生産とどっちが大事なんだ! |
メイン
2009年08月19日
日本は既に消費社会から脱出しようとしている?
※画像はコチラからお借りしました。
7月20日の記事「金融破綻?!その時、家庭はどーなる?」では、ドル暴落=米国の国家破産が実際に起こった場合に、日本の家計にはどのような影響が生じるのか?という具体的なシュミレーションがされていましたが、破綻後を想定する上で興味深い記事を紹介したいと思います。
いつも応援ありがとうございます!
独立行政法人 農畜産業振興機構ALICのHPより、2008年3月に掲載された記事「日本と各国の家計消費支出比較」を引用します。
○日本と主要国の1人当たり家計最終消費支出
-日本のみ、1人当たり家計最終消費支出が減少-わが国とNAFTA(米国、カナダ、メキシコ)、EU主要国(英国、フランス、ドイツ)、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)、食料の重要な供給国アルゼンチンおよび資源大国豪州の1995年~2005年における1人当たり家計最終消費支出(各国通貨ベース)を比較した。
いずれの国も年々同消費支出が増加しているのに対して、日本だけが1997年をピークに減少傾向という特異的な動きをしていることが分かる。
なお、計算は次により行った。1人当り家計最終消費支出=各国の家計最終消費支出年間総額÷各年の人口
まずはこの記事のグラフを見てみてください。 😯 2005年までのデータとなっているため、最近の動きが見えない部分もありますが、明らかに日本のグラフだけが特異なことがわかると思います。
1997年に日本で何が起こったかを見てみると、アジア通貨危機を発端とした金融危機に陥り、長銀、日債銀が国有化されるなど、金融不安が大きくなった年でもありました。
とはいえ、以降一貫して家計の消費支出が減少し続けるという現象は興味深いですね。次にその原因が分析されています。
○主要国の消費者物価指数(CPI)の比較
-日本は世界でもまれな消費者物価の安定国-わが国が1人当たりの家計消費支出において特異的な下落傾向を示していることについて、その背景、要因を考えてみる。
わが国のほか、前述のNAFTA、EU主要国、BRICsなど12ヵ国に産油国代表のサウジアラビアを加えた14ヵ国の、2000年~2007年(2008年は予測)におけるCPI(2000年=100)を比較すると、次のような特徴が浮かび上がる。
1.日本の消費者物価の安定度が際立っている。
2.各国のCPIは上昇を続けているが、日本の消費者物価は横ばいないし低下傾向にあった。(2005年を底に、2年連続でCPIはごくわずか上昇。CPI上昇率は06年+0.5%、07年(見込)+0.3%)
3.通貨危機などの影響と、その後の世界の資源、食料需要の強さに支えられて好景気の国々はインフレ傾向で物価上昇率が非常に高い。特に、ロシア、アルゼンチン、ブラジルの上昇率が群を抜いて高い。
4.中国は2007年には、豚肉、鶏卵の価格高騰が主因で十数年ぶりの高いCPI上昇を記録したが、政府による物価統制が効いており、他のBRICs諸国、新興経済国に比較すると消費者物価は安定している。
5.EU諸国(フランス、ドイツ、英国)は比較的消費者物価が安定しているものの、継続的な上昇傾向に変わりはない。
6.サウジアラビアは日本に次いで消費者物価が安定しているが、2001年を底に上昇傾向がみられる。
○日本の勤労者世帯は実収入、可処分所得、消費支出とも減少・横ばい
わが国の勤労者世帯の家計(1世帯1ヵ月平均。2人以上の非農林漁家世帯をモデル)は、実数ベース(CPIで調整し実質化していない生のデータ。以下同じ)で実収入、可処分所得、消費支出のいずれもが1997年をピークに2003年まで減少の一途をたどり、2004年にわずかに回復したものの2005年には実収入、可処分所得とも2003年の水準をさらに下回った。また、2006年の消費支出320,026円は1990年以降最低の水準であった。
このようなわが国の勤労者世帯の家計の状況は、バブル崩壊後のわが国の賃金制度の見直しや人件費抑制策と無縁ではあり得ない。「日本は世界でまれな消費者物価の安定国」であるが、そのようにならざるを得ない経済状況があり、家計においては実収入や可処分所得が10年にわたって減少・横ばいの中で、一般的な勤労者世帯は貯蓄に回すべき分を切り崩しながら家計を守る工夫をしてきたというのが現実であろう。
上記をまとめると、日本の特徴は大きく以下の2点といえます。
1.消費者物価が安定している。
2.収入が減少すると家庭は消費を抑えて家計を守る工夫をしている。
アジア通貨危機後に他国がインフレになる中にあっても、日本の消費者物価だけが変動しない理由は何でしょうか?
かつてバブルが崩壊して金融危機が起こった時、確かに不動産業や金融業の倒産や失業が目立ち、経済も一気に不安定になったことによって、家計の収入も減りました。
ただし、一般大衆の生活が「何が変わった?」と聞かれても、多少夜遊びに興じるお金が無くなったとはいえ、取り立てて何も変わっていないというのが答えなのではないでしょうか。結局バブルとはダブついたお金が架空経済を動かし富裕層が幻想を追い求めていただけで、一般大衆が消費に狂っていたわけではなかったのだと思います。
バブル崩壊後の金融危機への対応として国はお金をバラ撒くわけですが、実体経済が停滞している状況では誰も消費に向かわなかったと言えそうです。日本はバブル崩壊を契機に、いよいよ消費に対する夢が覚めてしまったのかもしれません。今やもう、消費のために一生懸命働く活力は出ないということです。
今回の全世界的な金融危機は、日本以外の先進国も同様に、消費主体の経済が終わりを告げるきっかけになるかもしれませんね。今後の動向に注目して、さらに追求していきたいです。
投稿者 hiroaki : 2009年08月19日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://web.kansya.jp.net/blog/2009/08/903.html/trackback
コメント
投稿者 Hello!
こんにちは
素敵なブログを見させていただきました。
私は、現在環境問題を扱っているアメリカのWorldwatch Instituteでインターンをしています。
もしよろしければ、こちらのブログにコメントを載せていただけると嬉しいです。
http://blogs.worldwatch.org/transformingcultures/