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2022年09月10日

【知能進化を紐解く】12~18歳の思春期は、男として、女として、土台をつくる最大の変容期

前回の記事では、6~12歳の児童期、その中でも10歳前後の時期を扱いました。対象を広げ、スクスクと成長していく時期もあり、まわりの環境によって多様な世界観を吸収していく期でもあります。
さて、今回は、12~18歳の思春期を追求してみたいと思います。この時期は、

>・12~18歳の思春期は、葉が茂って、つぼみが付いて、成熟に近づく時期。〈変容期〉
>心身共に大きく変化する不安定な時期で、どんなつぼみをつけるか、どんな花になるか?と将来の自分の姿を考えます。この時期は自分の内面がとても気になり、自分の世界観を築いていきます。
植物にたとえるこどもの成長~種の状態から花開くまでの「発達の4段階」

子育てにおいても、2歳頃のイヤイヤ期と同じくらい、思春期は大変な時期だと感じる方もいらっしゃると思います。どのような方向性で子どもを見守っていけばいいのか、今回も生物史に学び、追求していきましょう。

 

■思春期があるのは、人類だけ!?

そうなのです。人類以外の哺乳類には、思春期はありません。実は、イヤイヤ期、なんで期、と同様に思春期も人類の進化戦略(知能進化)と密接に繋がっています

まずは、「思春期って何?」ということを押さえます。
思春期は、第二次性徴期と言われるもので、性ホルモンが分泌されることで生殖能力がつき、体つきに変化が表れる時期です。例えば、男子は、声変わり、ひげ、筋肉がたくましくなる、精通等。女子は、体がふくよかになる、胸のふくらみ、初潮など。思春期の始まりは、男子で11歳、女子で9歳くらい。それが25歳くらいまで続くと言われています。

次に、生物進化の軸で、思春期を捉えます。
哺乳類は、胎内保育の結果、生体後に異性をめぐってオス同士(メス同士)を戦わせて淘汰する。つまり性闘争の本能を最大限に引き出して、より強い種を残すという戦略をとっています。人類の場合は、自然界において最弱の存在であるため、生き残り戦略としてオスメスが集団に残留する道(個体で闘うことをしない)を選択しました。
しかし、オスメス残留は、哺乳類の進化上とは逆行するかたちであり、性闘争本能を封鎖してしまいます。つまり、オスの性もメスの性も、それでは磨かれていかないという状態です。

そこで、この封鎖した性闘争のエネルギーを、人類は、「思春期」(という脳構造の組替え)をつくり出すことによって、突破してきたのです。思春期には、ホルモンバランスが変わることで、気持ちが不安定になります。これを厄介な時期と捉えるのではなく、人類進化上、必要不可欠な時期であると捉えると、とても可能性を感じられます。

 

https://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=379961人類は進化のための思春期を作り出した

思春期は男で11歳くらいから始まる。その時期から性的に成熟し始め、性ホルモンが分泌される。そうすると、脳幹の扁桃体が刺激され同時に海馬や側坐核が刺激される。海馬が刺激されるシナプスの結びつきが活発化する。すなわち学習能力が高まる、

また側坐核が刺激されるとドーパミンが分泌され、リスクを伴う行動を好むようになる。言葉を換えれば駆動物質のブレーキを外した状態を作り出したともいえる。それゆえに、思春期は精神的に不安定な時期である。人類の場合これを制御できる前頭前野が完成するのは25歳とかなり遅い。

人類は、感情が不安定な思春期という弱点を敢えてつくり出しました。本来は、性闘争本能として放出していたエネルギーを、脳構造の組替えによって、内側からエネルギーが湧いてくるように進化してきました。オスならば、リスクに挑戦し進化する方向に、メスならば、まわりとの関係で充足を増幅する方向に、それぞれの性を磨き上げる方向性で、学習能力を高め、軟弱化を防いだと考えられます。

思春期というと反抗期ばかりが注目されがちですが、本来は、湧いてくるエネルギーが一番活発になる時期です。人類にとって思春期のエネルギーは、行動を促す最大の武器であり、今後の成長の土台となる重要なものなのです。

子育てという視点で捉えれば、思春期の子どもには、これまで守られていた親元ではなく、仲間のもとへの後押しをしたい。特に、この時期は、性を磨く時期であるため、男同士、女同士の繋がりが非常に重要な時期。また、同世代では成熟度も横並びなので、もっと上の同性との関わりがつくれる場に飛び込ませるのが良いかもしれません。

では、ここからの時期では、思春期の衰弱?それを突破するためにどうする?を扱っていきたいと思います。

投稿者 oguma : 2022年09月10日 List   

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