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2021年12月03日

体の声は祖先からのメッセージ~お母さんってすごい!母子間の親和充足こそが巣立つ力の基盤になる~

前回の記事では哺乳類は母子間での密着から、皮膚感覚を磨くことで知能を進化させてきたことを紹介しました。
体の声は、祖先からのメッセージ~知能を養うなら、まずは皮膚感覚を磨こう!~
今回はその母子間のスキンシップ(親和充足)こそが、子供たちが社会に巣立つための力の基盤になっていることを、哺乳類の母親の特徴や行動から見ていきたいと思います。

①メスは親和能力(スキンシップや和やかな関係をつくる力)を磨くことに特化
胎内保育や授乳行為はもちろんだが、淘汰機会を成体後に伸ばした哺乳類の適応課題は、魚類や両生類と比べてより判断力を伴う高度なものになり、メスは子育て環境を確保するためにオスを引き付ける親和能力の獲得に特化していった。

②母親はスキンシップを通して子供の欠乏を引き出し見守る
哺乳類の子供達は成体後にも適応していくための訓練として、多様な遊び(集団行動の訓練、性闘争の訓練、新和行為など)や、大人の真似を行うが、その際には母親が相手を務めたりする。また子供同士の遊びに対しても危険なこと以外は見守っているだけで子供たちの欠乏を封鎖しない。

③母親はスキンシップを通じて常に子供の状態を把握している
身体の嘗めあいやすり寄りなどを重ねて同類の状態を把握している。特に母親は子供の微細な変化を常に把握している。
詳しくは、 哺乳類の知能進化②  哺乳類が連携行動をとれるようになったのは何で?

このように、哺乳類の子育ての仕組みを見ていくと、メスは厳しい環境下でもなんとか適応していくためにあらゆる対象に向かって親和能力を磨き、その充足力で子供をまっとうに育て上げてきたことが分かります。

皮膚には「心地よさ=快」や「気持ちの悪さ=不快」などの感覚を認識する力が備えられていますが、この保育期の母子間のスキンシップ充足によって、母親は子供達に安心感や充足感を与え、快の充足回路の形成を促しているのです。
そしてこの充足回路は更なる欠乏を生起させ探索回路を刺激し、保育期間が終了し子供が新しい世界に飛び出たときに、自力で適応していこうとする力の基盤になっているのです。
特に私達人類のルーツである原猿の段階では、樹上生活により更に皮膚感覚を鋭敏化させ、授乳期間も延ばすことで、快の充足回路を起点に(=不快感の認識も上昇)より高い充足への欠乏を原動力に進化していきます。(ただし、基本的に全ての哺乳類は子供が生殖年齢になったら放逐し親子関係は無くなる)
 原猿の知能進化  皮膚が新皮質=探索回路を発達させた

現代の人類は、当時の哺乳類と比べるとより複雑で高度な社会に身を置いているのかもしれませんが、生物としてはその太古の時代に培った適応戦略がリセットされたわけではありません。ですから現代においても、母親は子供にとっては誰よりも絶対的な安心基盤であり、快の充足(親和充足)を与えてくれる最初の存在であることに変わらないのです。

そのような点で現代の人類の子育て状況を見てみると、
親の不安が先行し全て先回りで干渉したり、親の価値観で子供の欠乏に蓋をしていくような子育てでは、一見上手くいっているようでも、実際は子供が社会に適応する力を得ていく機会を奪ってしまっている可能性があります。
逆に子供が反発したり、親から離れようとして、上手くいかないとつい不安になってしまう時の方が、既に自立して適応していこうとする欠乏が生起していて順調に育っているといえるのでしょう。
どちらにしても、そんな時こそ母親自身が持ち前の親和能力が発揮できてる?と振り返ってみてはどうでしょうか?

原哺乳類のように、母親一人で子育ての重大な責任を担うなんて難しいし、あり得ない・・・という気持ちになってしまうかもしれませんが、心配ありません。哺乳類はその後の進化で更なる子育て戦略を生み出していきます。

次回は、その新たに生み出した子育ての仕組み(適応戦略)から、子育てのヒントを学んでいきたいと思います。

投稿者 tana-ken : 2021年12月03日 List   

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