| メイン |

2020年04月23日

企業立学校8 永守氏吠える4~実業界大歓迎

続きです。

永守氏の指摘を歓迎する声も

一方で、実業界からは永守氏の指摘を「よくぞ言ってくれた」と歓迎する声もあがる。京都の大手電子部品メーカー役員は「電子機器の技術発展は著しいのに、日本の大学のカリキュラムはその発展に追いついていない。大学では教えないが産業界では常識となっている技術の基礎を採用後に一から社内で教えなきゃならない」と企業内教育の負担が重くなっていると明かす。

京都先端科学大学の前田正史学長(撮影:ヒラオカスタジオ)

京都先端科学大学の前田正史学長は「即戦力というのは与えられた環境で課題を解決する道筋を自分で考えて、そのために必要な道具を自分で用意できるようにすることだ」として、特定の技能だけを身に付けさせるわけではないと話す。

 にほんブログ村 子育てブログへ

前田氏は大学の改称に合わせて今年4月に学長に就任。東京大学生産技術研究所所長や東京大学の副学長を経験し、永守氏率いる日本電産の生産技術研究所所長も務めた人物でもある。「30代から大学のあり方像などの勉強会に参加してきて、大学教育はどうあるべきかを考えてきた」(前田氏)。むしろ時代に合ったカリキュラムを提供できていない大学側にも問題があったと前田氏はみる。

前田氏は設置認可を申請中の工学部を例に、既存の大学教育の問題点をこう指摘する。「150年間学部の学科構成は大きく変わらず、それぞれ縦割りのカリキュラムが組まれた。しかし、今は機械を動かすのにソフトウェアが必要になったように明治時代と比べて学生が学ぶべき領域は広がっている。幅広く学べる融合されたカリキュラムを実現するためにも150年の歴史をぶっ壊す」。

新校舎の建築が急ピッチで進む(記者撮影)

京都先端科学大学が大胆に改革をできるのは私立大学だからでもある。「国立大学とは違い、運営元の学校法人の了承さえあれば割と容易にできる」(前田氏)。自由にカリキュラムの変更や教員の採用ができない国立大学に比べ、私立大学はやろうと思えば柔軟に変化できる。

2020年に設置を予定している工学部では専門科目の授業を英語で行うことを計画しているが、同様の計画を国立大学で実施しようとすると数年単位の時間がかかってしまう。

また亀岡キャンパス(京都府亀岡市)には電気自動車のテストコースやドローン(小型無人機)演習場の設置も構想。研究施設の建設が次から次へと実施や計画されるスピード感は、永守氏の寄付金と私立大学の組み合わせがなせる技だ。

リベラルアーツ教育も重視

京都先端科学大学への改称で産業界のために理系へ特化した大学になるかという疑問も出るが、同大は人文学部、経済経営学部、健康医療学部、バイオ環境学部の4学部構成の総合大学だ。これに設置を計画する工学部を加えて、永守氏は京都先端科学大学を世界大学ランキングで200位以内にすることを目指すと話している。

京都先端科学大学の入学式の様子(撮影:ヒラオカスタジオ)

総合大学としてリベラルアーツ教育も重視して、人文学や社会科学をおろそかにするわけでもない。「今後のロボットや機械は人の動きに合わせて予測不能な事態に備えるプログラムが必要だが、理学や工学だけでは人や社会の動きを理解するのに不十分。人を理解するためにも人文学は必要な学問だ」(前田氏)。

一連の急速な改革とその方針が受験生にも伝わり、学生の募集にも変化が出始めている。旧京都学園大学は「京都内の評判では最もボトム(底)の評判だった」(同大関係者)が、今年の入試志願者数は前年の1.6倍の2435人に増加した。「これまでは近畿大や関関同立など関西の上位大の併願校にすらならなかったが、滑り止めとして併願する学生も出始めている」(学習塾関係者)。

「20年、30年の長期スパンで一部の領域で東大や京大は抜けると思っている」(前田氏)。カリスマ企業経営者と大学教育のあり方を追求した元東大教授が国立大学で難しかった社会に求められる教育改革を徹底できるのか。評価が見えるのは当分先になりそうだ。

産業界側からの教育へのアプローチ。切実な人材渇望と企業家の社会に対する責任感=志が教育を突き動かす。どうなっていくか、これからですが、文科省と学識だけに任せるより必ず何かが出てくると思います。

投稿者 hoiku : 2020年04月23日 List   

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://web.kansya.jp.net/blog/2020/04/7339.html/trackback

コメントしてください