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2019年03月28日
子供の仕事は遊びである!16 ~自主性を育む・遊びは考えるところから2
遊びを考えるところから~の続きです。
②幼児の自主性を育む環境
子どもは、そこに「砂場」があれば山をつくり、トンネルをつくり、小川をつくり、水を流して遊ぶ。するとそこに船を浮かべたくなり、船をつくって浮かべる。水に浮かんでいる船を見れば動かしたくなる。ペットボトルに水を汲んできて流したり、扇で風を起こして進めたりする。また、一人の幼児の工夫した遊びは仲間を呼び込む、仲間が集まると、「一緒にしたくなるもの」が見つかる。
また、砂場があって、大人が見事な山をつくり、川をつくったとしても、そこでは遊ばず、すぐ壊してしまい、子どもたちは、自分たちで自分たちの砂山や川をつくる。子どもは、失敗しても、試行錯誤しながら創り上げていく「プロセス」が楽しいのである。
このように、幼児は、目の前の具体的なモノに主体的にはたらきかけ、仲間と一緒に動かしたり、操ったり、製作したりしながら、 創造的な遊びの世界を楽しむのである。
右の写真は、幼稚園の中で子どもにあまり活用されていない欅の木の環境を見直すことで、幼児が主体的にはたらきかけ、アスレ チック遊びができる環境にまで創り上げていったものである。
以下は、そのプロセスを示したものである。
4月30日(木)
豊かな自然環境に気付き、遊びを生み出すきっかけとなる環境づくりの第一歩として、保育者は、欅の木とボビン(電線を巻いておく木製の筒)の間に、幅20cm、長さ2mの角材を橋として架けることにした。他にも子どもたちと一緒にボビンや丸太、タイヤを組み合わせてアスレチックコースを作った。
子どもたちは橋を渡る楽しさや高さのあるスリル感を味わいながら、何度も繰り返し挑戦し夢中になって楽しんだ。5月12日(火)
欅に架けられた木の橋の前後に丸太やタイヤをつなげ、アスレチックコースは迷路のようにつながっていく。
角材の組み合わせに試行錯誤しながら、友達と力を合わせてアスレチックづくりに励んだ。
保育者は、タイヤの上に角材を乗せたり、大きなボビンを転がしたりする時、危険がないように援助もしながら見守った。5月18日(火)
週末、おやじ会(PTA活動)の協力により、欅の木に2枚の板が架けられ、「橋」ができあがっていった。朝の準備を終えたこどもたちは、早速、木の橋の所に向かい、目を輝かせて渡りはじめる。
しばらくすると、ナオタロウが木の橋に座り、滑り台のように滑りはじめた。
他の男児も木の橋に腰掛けるようにして滑りはじめた。5月19日(火)
年長担当の保育者が、木の橋を架けた欅の隣にある欅から桜に一本のロープをかけた。そのロープを見つけたゲンキは、ロープにぶら下がったり綱渡りのように逆さまになったりしていた。また、5,6人の子どもたちが一斉にぶら下がるとロープはブランコのように揺れる。「きゃあ!」と声をあげながら落ちないように必死にぶら下がっていた。6月18日(木)
アスレチックコースは子どもたちのイメージやアイディアにより、日々その様子を変える。木の板は、時にはボビンから地面に渡された滑り台になり、また、木の根の上に置いたシーソーになる。2つのボビンに幅の狭い角材を2本渡した橋も現れた。10月14日(水)
欅から桜に架けられていた1本のロープでの遊びに広がりをもたせたいと思い、ロープを1本から2本にした。それにより、桜から欅にロープを渡っていくことができるようになった。
また、それまでなかなかロープを使うことが難しかった年少のこどもたちも、ロープを2本にすることでその楽しさを味わうことができるようになった。11月24日(火)
ロープを渡る子どもたちの動きを見ていると、その高低差 から、桜から欅に向かって進んでいく。だが、欅の木にたど り着いても高さがあり、欅にタッチしてそこから飛び降りる
か、飛び降りることができない子は戻ってくるしかなかった。
そこで、欅の幹にタイヤをくくりつけ降りることができるようにした。そのことで、桜からロープを渡って欅に移り、タイヤを使って降りるというコースができあがった。事例からわかるように、園の中の自然環境を見直すことで、これまであまり活用されなかった場所が、「アスレチック」という楽しい遊びの場に変わった。木の橋を渡る、木の板や丸太などを組み合わせて迷路をつくるなどの遊びは、子どもの創造力を引き出している。
繰り返し、試行錯誤する中で、迷路づくりやシーソー遊びなど次々に活動が創り出されている。大人が完成したアスレチックをつくったのでは、子どもはそこで数回「楽しんだ」ということで、遊びを通した子どもの成長を見ることは少ない。この園の取り組みのよさは、最初から完成形のアスレチックにするのではなく、少しずつ手を加えたり、子どもたちのイメージに合わせて自由に組み合わせたりしていることである。子どもの自主性を「環境づくり」を通して育んでいると言える。
遊びは考えるところからやるから楽しい。遊びを考える子供がリーダーになっていく。
投稿者 hoiku : 2019年03月28日 TweetList
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