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2017年04月21日

何を学ぶかではなく、どうやって学ぶか~「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」の学び。

昨年末、中央教育審議会が4年後、小学校から順次実施される「新学習指導要領」について答申しました。

答申の理念は
「社会は第4次産業革命を迎え、10年後20年後の社会がどうなっているか予測不能。そんな時代を生きる子どもたちの「生き抜く力を育む」のが学校の教育活動の目的だとし、

「何を学ぶか」が中心だった指導要領の性格を大きく変え、「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」の視点を重視。教員が一方的に教えるのではなく、児童生徒が主体的に授業に参加するアクティブ・ラーニングを全教科で導入するのだそうです。

方向性は大きく間違っていないと思いますが、教科ボリューム(詰め込む知識量)は従来と同じ、学び方にアレンジを加える程度の中途半端なもの。そこでこれからの教育について、最先端の研究機関のひとつであるMITメディアラボ所長の伊藤譲一氏がもっと踏み込んだ知見を示してくれていたので紹介します。

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以下(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=301060)より引用します。
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伊藤穰一:学ぶべきは、「何を学ぶか」ではなく、「どうやって学ぶか」
MITメディアラボ所長を務める伊藤穰一は、現行の「教育システム」の変革よりも前にすべきことがあると語る。「学ぶ」ということをもう一度根本から考え直すということ。それは子どもたちだけではなく、世の大人たちに向けられた課題でもある。『WIRED』VOL. 5(教育特集:「未来の学校」)から全文掲載。

伊藤穰一|JOI ITO
日本のヴェンチャーキャピタリスト、実業家。MITメディアラボ所長のほか、クリエイティブ・コモンズ議長、Mozilla Foundationボードメンバー、『New York Times』論説委員などを務める。

「世界の変化のスピードがこれだけ速くなると、〈地図〉はもはや役に立たない。必要なのは〈コンパス〉です。そして素直で謙虚でありながら権威を疑うことなのです」

まず「教育」と「学び」は違います。英語で言うと「Education」と「Learning」ですが、いま大事なのは「教育」ではなく「学び」のほうです。学ぶためのパッション、学ぶためのコラボレーションをどうやって子どもたちに授けていくのか。そこをやっていかないかぎり、授業をいくらオンライン化したところで意味がありません。

日本に限らず、世界中のどこにも「何にも興味がない」という子どもたちはたくさんいます。けれども、学校では「興味をもつ」ということは教えてくれません。子どもたちはむしろ、何かへの興味を友達やコミュニティから得ていくんです。マンガでもゲームでも、興味をもったところに行動が起こり、その行動のなかから「学び」が起きてくる。先生は必要なく、仲間とのコラボレーションから新しい考えや発想が生まれてきます。メディアラボがやっているのもまさにそういうことなのです。つくりたいという欲求から始めて、そのためには何が必要かを考えていくのがわたしたちのやり方です。ものづくりを通して、興味をドライヴとした学びが起きるんです。

豊かに暮らし、社会に貢献していくためには、子どもたちにさまざまなことに興味をもたせることが必要で、それは大人になってからも同じです。かつての社会システムでは、子どものときだけ学んで、学び終わったら大人になり、同じ仕事を繰り返しながらもっているものを守り、子どもをつくるというのが人の一生のモデルでしたが、いまは学び続けなければ死んでしまいます。メディアラボには「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」というクラスがありますが、この言葉の通り、これからは誰もが一生学び続けることが必要で、そこでは「働き」と「学び」とは同列なのです。

これだけ世の中にスピードが出てきて複雑になると「地図」、つまり事前の計画は役に立ちませんし、地図を製作するためのコストも高くつきます。むしろ、大事なのは「何をしたいか」という「コンパス」をしっかりもつことで、企業でもトップがしっかりした磁石をもっていれば、現場は方向性を間違えずに動けます。3.11のときいちばんカッコよかったのは消防のサイバーレスキュー隊でした。彼らは現場にあって自分たちのコンパスを頼りに仕事を遂行しましたが、地図だけをあてにしていた偉い人たちは、結局何の対処もできませんでしたよね。

既成の地図をあてにしていると、すでにある道を一歩一歩前進することしかできなくなってしまいます。既成の権威を疑って自分で考えること、素直かつ謙虚に権威を疑うことが必要なのです。子どもたちには、そのための倫理やインスピレーションを学ぶためのメンターやロールモデルが必要で、そうした体験を提供できなければ、学校の価値は減る一方でしょう。学ぶべきは、「何を学ぶか」ではなく、「どうやって学ぶか」なのです。
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「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」
世界最先端の研究活動と幼稚園の学び。最も遠い位置にある両者の共通点は、「何かへの興味を友達やコミュニティから得て」行動が起こり、「その行動のなかから『学び』が起きてくる。」ということ。アクティブラーニングの本質がここにあるのだと思います。

小学校でもなく、中学校でもなく「幼稚園」。予測不能な社会で生き抜くために学校教育が役にたたないことは明らかです。幼稚園から大人まで、生涯学び続けることができる社会を創る。この視点から学校制度や教育のあり方を考えていく必要があると思います。

投稿者 hoiku : 2017年04月21日 List   

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