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2016年11月04日

抱っこして歩くと赤ちゃんはなぜ泣きやむのか?

0~2歳くらいまで、赤ちゃんを抱っこやおんぶをして歩くと泣きやみ眠りやすい、そんな経験はありませんか?ただ抱っこしているだけではダメで、歩くと泣き止むのです。

ゆるやかな揺れが気持ちいいのか、景色が変わるので気がまぎれるのか・・・いろいろ考えていましたが、これは人間だけではなく、いろいろな動物にも見られる現象なのでそうです。

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以下(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/201208.htm)より引用します。
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赤ちゃんを抱っこやおんぶして歩くと、赤ちゃんが泣き止み眠りやすいことは、経験的によく知られています。例えば保育園の新入園の時期には、泣き止まない子を保育士さんが抱っこやおんぶでなだめているのをよく見かけます。
このことは、あたりまえのように思うかもしれません。ところが、科学研究としては、逆に「抱っこと子どもの泣く量の間には関係がない」という論文が多かったのです。そんなはずはないと思いまして、その頃生まれた私の次男で実験してみたところ、やはり抱っこして歩くと泣き止みやすいことがわかりました。

(ビデオ)
これは生後6か月の次男をだっこして座っている時と、抱っこして歩いている時を比較した実験です。母親、つまり私は赤ちゃんを腕に抱いた状態で約30秒ごとに「座る・立って歩く」を繰り返し、その時の赤ちゃんの心電図を記録しています。
グラフの横軸は時間、縦軸は赤ちゃんの心拍数で、この値が低いほど赤ちゃんはリラックスしていることになります。

 このようにして、自分の子でまず何度も実験を行い、実験の細かな条件を調整しました。それから、実験に参加できる他の親子を募集しました。そして、生後6か月以内の赤ちゃんとその母親、12組に同じ実験を行ってもらったところ、母親が歩いているときは座っている時に比べて、赤ちゃんの泣く量が平均で約10分の1、自発運動の量は約5分の1に低下することがわかりました。また心拍数は母親が歩き始めて約3秒程度で下がります。つまり赤ちゃんを抱いて歩きはじめると、赤ちゃんはすばやくリラックスするのです。この、運ばれること、輸送されることに対する赤ちゃんのリラックス反応を、「輸送反応」と呼ぶことにしました。
なおこの実験は母親で行いましたが、父親やそのほかの保護者でも、同じようにできることが予備実験でわかっています。
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「輸送反応」。ずいぶんドライな言い方ですが、歩くと泣き止む、と言う経験は極めて普遍的であることがわかりました。
そしてこれは人間だけではないらしいのです。

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輸送反応は、実は他の哺乳動物にもあります。皆さんも、のら猫の親が、こどもの首の後ろを口でくわえて運ぶ時、子猫が大人しく丸くなっているのを見たことがあるかもしれません。これはライオンやリスなどいろいろな哺乳類種でも知られています。ところがさきほどのように体の動きや泣き声、心拍数を測定して、大人しくなることを証明した研究はありませんでした。

(マウス、カップのビデオ)
そこでハツカネズミ、マウスを使って実験をしてみました。
まず、プラスチックのカップの中にマウスの子供を入れます。子マウスは自分で出ることができないので、母マウスがカップのふちによじのぼって、くわえて子供を一匹ずつ助け出します。
この時、子マウスは大人しく、手足を縮めて助け出されることがわかりました。

(マウス、PND15のビデオ)
次に、マウスの母親を真似して、人間が指で子マウスの首の後ろの皮膚を軽くつまんで持ち上げても、子マウスは大人しくなります。
この方法をつかって詳しく調べますと、子マウスは実は超音波で鳴いているのですが、人間の赤ちゃんと同じように、子マウスは運ばれている間、泣き止んでいました。
さらに心拍も低下してリラックスしていました。

これらの実験から、親が子を運ぶときには、マウスでも人でも、子どもはわずか数秒でおとなしくなり、リラックスすることがわかります。
この子マウスの体の感覚を一時的に阻害することによって、子マウスが自分が運ばれていることがわからなくすると、運ばれている間も暴れてしまう状態になります。
このような子マウスをカップの中に入れますと、母親が助け出すのにより多くの時間がかかることもわかりました。つまり子どもが暴れると、親は運びにくくなってしまうのです。
もしこれが、危険が迫っていて親が子を急いで助け出さないといけないような自然界の状況だったとしたら、どうでしょう。暴れている子は親に置いていかれてしまうかもしれません。

このことから、輸送反応は、運んでくれる親に対する協力であり、原始的な愛着行動であることがわかります。
子どもがリラックスしておとなしくしていてくれれば、親も助かりますし、結果として子どもの生存にも有利にはたらきます。つまり、親子双方にとって都合のよい、Win –Winの関係をつくるのです。だからこそ、親が子を運ぶ哺乳類には、広くこの輸送反応が備わっているのだと考えられます。
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なるほど、原始にさかのぼれば動物であれ人間であれ、移動中は危険がいっぱい。子供は自然とそれがわかっていて、おとなしく体を密着させて親に協力してくれているのですね。

一緒に生き延びるために子供も協力してくれている・・・そう思うと、夜中に抱っこして部屋の中をぐるぐる回るのも、単なる苦行ではなくなってきます。

子供のなんで?知れば知るほど愛着が湧いてきますね。

投稿者 hoiku : 2016年11月04日 List   

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