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2016年11月01日
塾業界の学童保育
高齢者が活躍する場として、学童保育が可能性あるのではと調べ始めると学習塾との連携が出てきました。
そこで、塾業界の動向を調べると、業界コンサルの文章に行き当たりました。
サピックス、明光が相次いで出店
今年に入って、株式会社ピグマコミュニケーションの「ピグマキッズ」、株式会社明光ネットワークジャパンの「明光キッズ」と、塾業界による民間学童保育サービスの出店が相次いでいます。
下記データを見ても明らかなように、今後ますます少子化、共働き化の流れは加速するでしょう。
○こどもの数および総人口に占める割合の推移
○共働き世帯数の推移
少子化で、塾としての顧客人口は減るように見えますが、共働き化で、顧客との接点は増えているのです。
そこに目を付けたのが民間学童保育サービスといえるでしょう。民間学童保育サービスとは、主に小学生が放課後、学童館で過ごすように過ごすための施設を提供するサービスです。
通常の学童館は、共働きなどにより、昼間保護者が家にいない家庭の子どもを放課後や長期休み中に保育する施設。自治体やNPOが運営し費用も安いが、夜遅くまでは預かってもらえない、長期休み期間中に預かってもらえないこともあるなど、利用にはさまざまな制限があるのも事実です。
現代の多様な働き方における保護者のニーズを満たすのが難しくなってきているのです。
草分けは東急グループの「キッズベースキャンプ」
民間学童保育サービスの認知を広めた草分けは、東急グループが運営する「キッズベースキャンプ」です。2006年のサービス開始から、たった5年間で、首都圏東急沿線を中心に15教場を構えるまでに成長しました。
キッズベースキャンプはもともと東急グループが開発したサービスではありません。もとは、これからの社会ニーズを先取りした新規事業を立ち上げるベンチャー企業・株式会社エムアウトの一事業部としてスタートしたという経緯があります
少子化、共働き化の傾向が強まる中で、保護者のニーズを綿密にリサーチしたところ、小学校入学時に保護者がライフスタイルを変えざるを得ないいわゆる「小1プロブレム」が浮き彫りになり、その対処策として公的な学童保育サービスではできなかったサービスを提供することを発案したということです。
公的な学童保育と違う点は、
・ 小学校までの送迎サービス
・ 最長22時までの利用時間
・ 昼食・夕食の提供
など。さらに、ただ放課後を過ごすだけでなく、「社会につながる人間力」を養成することをうたい、礼儀・道徳・規律や学習習慣を身に付けることを宣言した点が保護者のハートをわしづかみにしました。
桜新町、三軒茶屋、二子玉川、宮前平、雪谷、豊洲、東雲、武蔵小杉、大井町、本蓮沼と、高級住宅地を中心に店舗を拡大し、サービス開始から2年で会員数は1,000名に達しました。それからおよそ半年後、2008年12月には東京急行電鉄株式会社の子会社となり、現在は東急グループの街作りの一環として、サービスを提供しているのです。
そのほか、同様のサービスを提供する主な企業は下記の通り。
教室名 会社名 代表者氏名 該当サービス開始年 生徒数 対象年齢 教場数 月あたり客単価目安 キッズベースキャンプ 株式会社キッズベースキャンプ 島根太郎 2006年 2500名 小1〜小6 15教場 – 英語で預かる学童保育・幼児保育キッズデュオ 株式会社拓人 松田正男 2008年 951名 2歳〜12歳 9教場 3万3500円 ピグマキッズ 株式会社ピグマコミュニケーション 高宮敏郎 2011年 – 小1〜小4 2教場 1万8900円〜6万8040円 明光キッズ 株式会社明光ネットワークジャパン 渡邉弘毅 2011年 50名 小1〜小6 1教場 2万5000円 こどもみらい塾 株式会社こどもみらいプロジェクト 末木佐知 2008年 – 小1〜小6 1教場 1万7700円〜5万8700円 高学歴キャリア女性とDI1K世帯のニーズを見極めよう
少子化対策として、塾業界ではかねてから低学年層の早期取り込みのための施策を講じてきました。しかし、その多くは、客寄せパンダ的なイベントでできるだけ多くの生徒・保護者と接点を持ち、「なんとか本科につなげたい」という意気込みが表れすぎだったように思います。
一方で、キッズベースキャンプは、徹底的に保護者ニーズを探り、保護者ニーズありきのサービスを設計しました。保護者の多様な働き方への対応、子どもを預けることの後ろめたさの解消(人間力育成プログラムの提供)などです。それが、ニーズにマッチし、事業の成功に結びついたことは言うまでもありません。
高学年になれば、成績向上というわかりやすい目標設定ができます。その目標さえ達成してくれれば、サービス上の少々の不満には目をつむるという保護者心理があります。しかし、低学年においてはそれが難しい。低学年においては、より保護者目線でのサービス設計が求められるのではないかと思います。そして、そのニーズは従来学習塾に求められていたものの枠を超えて発想しなければならないのではないでしょうか。
今後ますます少子化、共働き化の流れが加速するでしょう。これからの塾業界を支えるのは、DI1K(ダブル・インカム・ワン・キッド)層だとも言われています。
さらに、女性の四大進学率が急伸した1993年以降、高学歴を身に付け、男性と変わらない条件で一般企業に就職し、キャリアを積んだ女性たちが今、小学生低学年の母親になっています。これまでの母親像とは大きく質が変化していることを忘れてはいけないでしょう。
彼女たちが、キャリアを継続しながら、一方でかわいくてたまらない一人っ子にお金をかけて大切に育てるわけです。
「顧客数を増やすのではなく、顧客接点を増やす」という発想が、少子化・共働き化がすすむこれからの時代の塾経営には欠かせない視点になると思います。
各塾は囲い込みの手段として学童保育を狙っているようです。結局、少子化は止まらず、ならばサービスレベルを上げて単価を向上させようということでしょうか。市場経済の発想で面白くもなんともありません。
しかし、学童保育へ民間企業が色々とチャレンジしているのは間違いないでしょう。
もう少し、この業界を調べてみます。
投稿者 hoiku : 2016年11月01日 TweetList
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