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2014年10月08日
新たな保育の可能性6 【お母さん参加型保育】③ 子育てを通じて、子育ての枠を超えて、社会の協働者になれる可能性~株式会社AsMama~
子育てを機に仕事を辞めた人でも、みんながみんな、必ずしも、「フルで仕事をしたい」「子供を預けて仕事がしたい」と思っているとは限りません。子供の成長はあっという間。その短い間、なるべく近くで成長を見守ってあげたいと思う方も多くいると思います。
でも、社会や周囲との関係を持たず、全く1人で子育てをしたいと思う人はいないと思います。
子育てをしながらも、社会とのつながりを持ちたい。誰かの役に立ちたい。
そんな希望を叶えるのが、子育てシェア『AsMama』です。
グリーンズ『子育ては頼っていいんです!ワンコインの”子育てシェア”で、お母さんの働き方を切り拓く「AsMama」』
小さい子がいるから再就職はまだムリだわ。
子どもをママ友に預けてちょっと用事を済ませたいんだけど、万が一のことがあると気まずいな。
そんな子育てをするお母さんからよくもれるつぶやきに応えたいと願い、”子育てシェア”のインフラづくりに立ち上がった会社があります。それが今回ご紹介する「株式会社AsMama」です。
●子育ての”常識”に異議あり!
子育てを応援するイベント運営と子どもを地域で預け合える環境づくりをすることがAsMamaの柱。独自のSNS「子育てシェアに登録すると同じ園や学校同士の親と自動的につながり、個人情報を公開しなくても連絡網とオンラインのコミュニティができます。
もちろんつながっておきたい人を招待したり、友人知人を検索してつながることも可能。園や学校へのお迎えができなくなってしまったり、数時間子どもを見てほしい日があったり、日々困ったときにSNSで呼びかけると、助けてくれる人が見つかるというちょうどいい仕組みなのです。
助けてくれた人には1時間500円〜の謝礼を払います。けがや事故が起こった場合も、このサービスを使った場合は保険がきくので安心ですね。
子どもを預かったり、イベントを運営するのは「ママサポーター」と呼ばれる人たち。多くは未就学児、とくに3歳以下の子どもをもつ親です。ママサポーターも我が子をつれて、送迎・お預かり・地域交流の場づくりイベントを行います。ボランティアではなく、自分の労働の対価として報酬をしっかりもらえるのも特徴です。
子育てや教育の分野で新しい取り組みをしようとすると、裕福な人から寄付をもらうか、ボランティアとして運営するか、大きくは2つのパターンがありますが、AsMamaでは伊勢丹や資生堂、学研教室など企業から支援をもらうことで、子育て世帯に負担をかけずに事業を運営することに成功しているのです。
そのビジネスモデルが評価され、「ジャパンベンチャーアワード2014」を受賞するなど、いま注目を集めています。
●世の中に必要なモノをボランティアにしてはいけない
“子育てシェア”をボランティアではなくお金に仲立ちさせる。でも、イベントでは子育て世帯から極力お金をとらない。その強い決意の背景には、社長・甲田恵子さんの信念がありました。
『学生の時から世の中になにかよいことをしなければという思いがあって、ボランティアに多く関わってきました。
でもボランティア活動と仕事の予定がバッティングしてしまったとき、気軽に仕事の方を選び、ボランティアを断ってしまったんですね。次にボランティア活動に参加してみると、私の役割にすごく期待されていたことに気付き、申し訳なく感じて。
そこで世の中に必要なことはボランティアではなく対価をともなって、提供する人もされる人もコンスタントに豊かさを享受できる仕組みでないと続かないと思ったんです。』
子育ては、誰かの手助け無しには、到底無理です。それは、働いていようが、いまいが同じ事。
フルタイムで働いている母親であれば、保育園という受け皿がありますが、子育てに専念している母親には、なかなか頼る相手もいません。
「下の子が熱を出したので、病院に連れていく間、上の子を見て欲しい」
「美容院に行きたいが、子供を連れていけず、困っている」etc
そんな日常のちょっとしたことですら、子育て中に母親1人では、とっても大変なことなんです。
親族が近くに住んでいたり、同居していることが多かった一昔前であれば、そんな時も頼れる相手がたくさんいたわけですが、核家族化が進んだ現代では、そういう相手を見つけるのも一苦労。
初めて会う人に預けるのは、昨今事件にもなるように、安心して預けることも出来ない。
そんな中、知っている人に、ちゃんと対価を払って、責任を持って預かってもらうことが出来るAsMamaは、母親たちの安心基盤になることでしょう。
AsMamaの真価は、預ける側のメリットではなく、預かる側・預ける側の双方が、子育てを通じて、社会の協働者になれるという点ではないでしょうか。
みんな、何か、社会の役に立ちたいと思っている。
でもその方法が、今は、働くか、無料でママ友同士ちょっと預かり合いをして支えるかしか方法がない。働くにも、一度退職してしまうと、仕事が無い状態では、保育園は預かってもらえず、預り先がなければ、短時間のパートですら仕事は決まらない状態です。
社会の役にたちたい思いを抱えながらも、限られたママ友との子育て空間の中で、5年~10年を過ごすことになります。
AsMamaでは、子供がいても、誰かを支える側になることが出来ます。働いている人たちを支えることで、間接的にその人が働いている会社を支えてくれていることにもなります。有償であることで、社会に役立っていることの対価を得ていることにもなります。
そしてそこには、地域の力は欠かせません。
子育ては、物理的にも、すぐ近く(せいぜい自転車で10分圏内)の人たち同士でないと、助け合いは難しいものです。いくら親しい人でも、30分も1時間も離れいている人たちで助け合いをするというのは不可能です。
そういう人たちや、同じように、社会の役にたちたいと思いながらも、場がなく、自宅にいる高齢者達も参加できれば、AsMamaを通して、地域で子育て課題を担っていくことが出来ます。
その子育てシェアに支えられている人たちが勤めている地域の企業が、AsMamaに協賛していけば、地域共同体と企業を繋ぐ、新たなネットワークを作り出していくことも可能です。
AsMamaでは、まだ協賛企業は、保育園やお稽古事の会社といった、子育て世代を顧客として取り込みたい層だけですが、これを一般企業に広げていけたらどうなるか。
一般企業でも、正社員として働いてもらうほどの仕事量ではないけど、1日2,3時間手伝って欲しい、在宅でもいいからやって欲しい仕事はたくさんあります。地域でお店を出している企業であれば、チラシ配りをお願いしたりも出来ます。地域を知っているお母さんたちには、もってこいの仕事です。
現在のAsMamaの壁は、子育てという限られた枠内に留まっている点です。その枠をとっぱらい、地域共同体をどう作り出し、企業ネットワークとどう繋げていって、新しい社会を作っていくか。そのために、現在のママネットワークをどう活かしていくか。
そういう視点でみると、AsMamaの活動は、新しい社会の可能性の土台になりうるのではないでしょうか。
投稿者 hoiku : 2014年10月08日 TweetList
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