【コラム☆感謝の杜】こうした田んぼで、稲が育つ。だから米は「とれる」「できる」もので、人間が「作る」ものではない。 |
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2013年12月19日
感謝の心を育む子育てとは?~自然外圧への適応力を培う北欧の子育て~
国際的な学力テストでフィンランドが好成績をたたき出したことから北欧の教育が注目を浴びていますが、フィンランドだけでなくスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランドなど北欧諸国は人口は少ないながら、学力テストでは世界トップクラスに位置しています。
高い学力を生み出す源泉はどこにあるのでしょうか
北欧といえば、厳しい自然環境の地域ですが、それ故に子育てを通じて厳しい外圧を生き抜く智恵が継承されているように感じます。
今回は、フィンランドを中心に北欧の子育てを紹介します。
北欧の新生児は「肺を鍛える」
フィンランドでは、生後2週間ぐらいから「外でお昼寝」させるのが一般的です。
「外でお昼寝なんて、ぽかぽかとして気持ちよさそう」と日本人は思ってしまいますが、春や夏だけではなく冬もです。しかも場所は北欧、気温は軽く氷点下に達しますが、なんと、マイナス10度までは、外で昼寝をさせるのだそうです。
私が冬のフィンランドに滞在していた時に、フィンランド人の友達に夕食へ招かれたことがありました。その時、玄関の前にベビーカーが一台ぽつんと置かれていました。そのベビーカーの中を見てみると、赤ちゃんが寝ているではないですか。その時の外気温は、-8℃。現地では通常の温度ですが、完全防寒をさせているとはいえ、そんな寒さの中でベビーカーの中で赤ちゃんだけで寝かしているというのは日本人の感覚からしたらとてもびっくりしました。あわてて中に入り、友達にそのことを尋ねると、フィンランドでは当たり前のことだと・・・。また、玄関先にベビーカーを置いていたのは、インターフォンで 中から監視ができるからだということです。15分に一度くらい、インターフォンでそとの赤ちゃんの様子をうかがい、泣いていたら中に入れるようです。
いろいろ話を聞いた結果、完全防寒をさせてベビーカーに入れて眠らせると、睡眠には丁度良い温度になり、熟睡できるというのです。さらには、現地の気温での呼吸に慣らす意味もあるというのです。
寝かせる時間も、そんなに長時間ではなく1~2時間程度の様です。
安全な北欧ならではの子育ての仕方ですね!
日本でも、子どもに冬でも半そで半ズボンで過ごさせたり、乾布摩擦を行ったりと、体を鍛える習慣がありましたが、最近はすっかり見かけなくなりましたね
自然の中で1日を過ごす「森の幼稚園」
自然の外圧を教育にも生かそうという試みが、「森の幼稚園」です。
「森の幼稚園」とは、文字通り、森の中で活動を行う幼稚園です。通常は幼稚園独自の建物をもたず、天候が悪くても、自然の中に出かけて1日を過ごします。
「教育と社会を考える」より
何故「森の幼稚園」が北欧の教育の特質をよく示しているのか。まずこうした幼稚園が成立するために必要な条件を考えてみよう。
大人にとっても「自然」は豊かなものを与えてくれるが、他方で危険にも満ちている。危険な動物がいるかも知れないし、また、きれいだが毒のある植物が生えているかも知れない。乱暴な遊びをしていて転んだりしたら、整った人工的な校庭よりも危ないことは明らかだ。木に登って落ちたりすれば、けがもする。このような自然の中で、小さな子どもが半日を過ごすことを考えると、子どもたち自身が、単に大人のいうことをそのまま鵜呑みにし、また、いわれないことは不用意に行動するようでは、実に危ない。普段、子どもを規制し、「こんなことしゃ危ないからだめよ」と禁止することが多い日本の親は、森の幼稚園など考えられないかも知れない。
森の幼稚園が成立するためには、まず、子どもたちを信頼しなければならない。子どもを信頼し、必要な注意や説明を丁寧に、小さな子どもにわかるように話し、納得させなければならない。また、子どもたちが、大人を信頼し、また必要なときには大人に相談するような姿勢を形成しておく必要がある。そして、大人にいわれたことは、しっかりと守るような態度を養う必要がある。つまり、森の幼稚園を成立させるためには、子どもが自立的で、自由でありながら、自然をしっかりと観察したり、また、用心深く対処できることが必要なのである。北欧の子育ては、まさしくそうした子どもを目指している。
分かりやすい例は「体罰」への対応だろう。体罰を肯定する人は、必ず「言葉で説明してもわからない子どもがいる」という。しかし、実際には、「子どもにわかるように説明できない教師がいる」のが実態である。北欧の子育ては、全くの例外がないわけではないだろうが、手記の中で語られる事例では、必ず、子どものやりたいことは、まず本人の意思であることを確認して、やらせるが、危険のないように大人はそばで見守る。また、子どもの意思で始めたことを、途中で放棄する子どもに対しては、それを始めたのは誰の意思であるかを確認しながら、子ども自身が自分の意思で始めた責任を自覚するように促す。どんなに小さな子どもでも、大人が自分の都合で何かを押しつけたり、禁止したりせず、必ず子どもの意思を尊重して、子どもの選択を保障するという。そういう中でこそ、自分が責任をもたねばならないことを、しっかりと理解していくと考えられているという。「森の幼稚園」はそうした子育てを前提にしてこそ、成立するものであり、また、そうした子育てを価値あるものと認めるからこそ、考え出された幼児教育組織である。
では、実際に森の幼稚園の教育効果はどうなのか。
ドイツには300の森の幼稚園があるとされるが、一般の幼稚園と森の幼稚園の子どもの身体能力や精神的能力の比較研究が盛んである。そうした研究のほとんどは、体力や敏捷性等の運動能力、注意力やイメージ力、表現力等の精神的な能力のほとんどすべてで森の幼稚園の出身者が上であることを示している。そして、森の幼稚園では、自然のことを学びつつ、環境問題の意識形成を中心の目標のひとつとしているから、子どもたち自身ができる環境問題への取り組みにも熱心であることが示されている。
北欧の教育で目指されている人間像が、森の幼稚園で象徴的に現れていると考えるのである。
北欧では教育を通じて「知的な好奇心を高め、勉強を喜びとする」ことを重視しています。
スローガンとしてあげるだけならどの国でも言っていそうですが、北欧ではそれを実現する方法論や教育の場があります。
厳しい外圧に晒されている国だからこそ、「外圧をありのまま受け入れて適応していく」という生物として当たり前のスタンス=自然の摂理に基づいた子育ての文化が根付いています。
「外圧に適応できる力を身に付ける」というのは教育の根本であり、外圧に適応しようとするからこそ「好奇心」や「学ぶ楽しさ」も沸いてくるのだと思います。
日本とは環境が違うものの、北欧の子育てから学ぶところは多いですね
投稿者 watami : 2013年12月19日 TweetList
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