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2009年08月12日

役に立つ勉強法って?17 池谷裕二~“無意識”の思考法

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「役に立つ勉強法って?」では、脳科学者で東京大学大学院薬学系研究科准教授の池谷雄二氏の注目すべき研究内容を紹介していますが、今回は、「“無意識”の思考法」と題し、無意識の脳の働きについて、 「プレジデントロイター」に掲載された記事を引用させていただきつつ考えてみたいと思います。

まずは「るいネット」 より

思考次元1 潜在思念の実践思考  

これは、原始人以来の(動物にも備わっている)本源的な思考様式で、主に、感応(本能⇒共認)回路をもって現実を対象化し、答え=可能性を模索する。

このことを池谷氏の研究を元に検証してみましょう

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■「ルーティン化」・・・無意識の領域に仕事をさせる

「差がつく習慣【1】朝一番にすべきことは」より引用

子供のころ、毎朝、歯を磨くことを面倒に感じたことがある人は多いと思います。しかし、大人になって歯磨きを嫌がる人はほとんどいない。むしろ磨かないと気持ち悪いという人のほうが多いはずです。これは、歯磨きという行為がルーティンワーク化されたからです。

ルーティン化には、無意識の記憶を司る線条体や小脳が関与していると考えられます。毎日の習慣にすれば、朝のこまごまとした身支度が苦にならなくなるのも、無意識が勝手にやってくれるからです。ルーティン化は、面倒なことをやるのに非常に強力な方法なのです。
(中略)
脳には「ワーキングメモリー」という短期的な記憶を処理するメモリーがあります。ワーキングメモリーは意外に容量が少なく、1度に意識できることは七つ程度が限度だといわれています。一方、無意識の記憶に制限はなく、無意識の領域に仕事をさせれば、より多くのことが同時並行で処理できます。

・・・なんと、我々が通常「考える」ことに使っている脳よりも、無意識の脳ははるかに容量が大きいということです。しかし、考えてみれば、人類の、「言葉を話し、観念で思考する」というやり方は、長い生物進化の歴史の中では最近のできごとであり、それまでの数十億年間のほとんどは本能機能のみで生き延び、サル時代以降は加えて共認機能(心)を駆使して生き延びたことを考えると、その膨大な蓄積(成功体験の塊)が現在も人類の脳内で働き続けているのも納得がいきます。

■「閃き」・・・睡眠中の脳に考えさせる 

「差がつく習慣【2】夜寝る前にすべきことは」より引用
 

人間は睡眠中に、浅い眠りである「レム睡眠」と、深い眠りである「ノンレム睡眠」の二種類を周期的に繰り返します。面白いのは、レム睡眠のときの脳の活動です。睡眠中は外からの情報が一時的に遮断されますが、そのあいだも記憶を司る海馬は活動を続け、情報を消化して記憶にとどめたり、情報を整理して見通しをよくしたりする処理を行います。脳にとって睡眠は、情報処理を集中して行うためのアクティブな時間なのです。

睡眠のリズム睡眠は記憶の定着や情報の整理だけでなく、閃きにも貢献してくれます。睡眠中の脳の活動について、ドイツのドーブ博士がこんな実験をしました。

法則に沿って並んだ数字の列の一部を解答させる穴あき問題を、3つのグループに出題します。1番目のグループは、朝11時に出題して、8時間後の夜7時に試験。2番目のグループは、夜の11時に出題したあとに寝てもらい、朝7時に試験。3番目のグループは、夜11時に出題して、そのまま徹夜してもらって朝7時に試験します。

問題の難易度は高く、閃きを必要とするレベルです。それは試験結果にも反映されており、1番目と3番目のグループは平均約20点しか取ることができませんでした。

興味深いのは、2番目のグループの結果です。このグループは寝ていただけにもかかわらず、平均約60点と好成績でした。この結果から考えられるのは、睡眠が閃きを与えてくれるということです。問題解決の糸口が見えないときは、ウンウン唸りながら考えるより、睡眠中の脳に考えさせたほうが、ずっといい結果を得られるわけです。

そう考えると習慣として何をすればよいかも浮かび上がってきます。就寝前は、脳に睡眠中の宿題を与える時間帯。眠る直前まで仕事の資料や本などに目を通して、無意識の脳に仕事をさせるための情報を入力するとよいでしょう。

・・・なんと、寝ている時にこそ脳は活動し、しかも「閃き」=「答え」を出してくれている!
確かに、私の身の周りでも、仕事ができる人の一つのパターンとして、新しい仕事に着手する時は、まずは関係する情報を徹底的に調べ上げ頭に詰め込む。その後一旦考えるのを止めて別の仕事をやる。ところが、考えていないようで潜在思念は「答え」を求めて働き続けており、ある日突然、閃きと共に大きな方向性が見えてくるとのこと。

■「ダイバーシティ」・・・寝る前に課題を再確認する 

「差がつく習慣【5】アイデアや発想が浮かばない時は」より引用

直感のもとになるのは方法記憶です。自転車に乗るときは体中の筋肉を使いますが、あまりに動きが複雑で、それを意識するのは困難です。しかし、実際は方法記憶として無意識の脳が記憶しているため、筋肉の動きを意識しなくても自転車に乗れます。直感もこれと同じで、意識はできなくても、無意識の脳が膨大な処理をして答えを導いてくれるのです。

直感は、経験を積めば積むほど精度が増します。

一方、理由を説明できない「直感」とは異なり、思いついたあとに理由が説明できる考えを「閃き」といいます。すでに説明したとおり、閃きを生むには睡眠中の無意識の脳に考えてもらうのがもっとも効果的だと私は考えています。

ただし、とにかく情報を入力すればいいというものでもありません。日本語でいう「多様性」には、雑多な状態である「バラエティ」と、派生してつながりがある「ダイバーシティ」という二つの意味があります。閃きとは、バラエティになっている情報を整理して、ダイバーシティに変えることで生まれます。

その処理を睡眠中の脳に任せるのですが、 「何がいま問題になっているのか」をきちんと理解できていなければ、バラエティはバラエティのまま。「起きたらあの問題を解決しよう」と意識することで、はじめて脳は雑多な情報から有機的なつながりを見つけようとするのです。夜眠る前には、情報をインプットすると同時に、課題を再確認することです。

・・・「直感」と「閃き」・・・これらは、双方無意識の脳(方法記憶)による思考法ですが、「課題は何か?」を絶えず意志することで、無意識下の情報も整理され、より構造化された「閃き」となるようです。
そして、ここで重要なのは、絶えず「考え続けていること」で、夜寝る前にお酒を飲んで脳の思考をリセットしてしまうのは非常にもったいですね。

再び「るいネット」 より

素人の社会活動34 創造(=探求)のパラダイム転換

●何れも、頭の中の内在価値を現実引力に負けないくらい強く観念的に精練し、体系化する為の隔離であり、期間であるが、この様な観念思考そのものが、現実から隔離された思考という点でも、皆との交信から隔離された思考という点でも、実は狂った思考なのである。

●現在は、(本源価値の)実現の時代である。従って、大切なのは(原始以来、一貫してそうであった様に)現実そのものを対象化することである。即ち、頭の中の内在価値を対象化するのではなく、既に頭の中にある内在価値(潜在思念)をもって、頭の外の現実世界を対象化することである。

(中略)

●現実の真っ只中に生きる素人こそが真の探求者だとすれば、その追求過程は、当然、素人=みんなとの期待と応望の交信(やりとり)の真っ只中で、営まれなければならない。

・・・我々は、「自分」の意志、「自分」の頭で観念的にものを考えるのが当たり前と考えがちですが、実はこうした“観念思考”一辺倒のやり方では片手落ちだし、限界があるということですね。
その突破口は、いかに無意識の脳=潜在思念を使うか?というところにあることが池谷氏の研究からも明らかですが、もう一つ加えるならば、この潜在思念による思考法は、一人でやるのではなく、皆との期待と応望のやりとりの中で行うのが本来の姿ではないかということです。

投稿者 kota : 2009年08月12日 List   

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コメント

>寝ている時にこそ脳は活動し、しかも「閃き」=「答え」を出してくれている!

確かにその日のうちに答えが出なくても、一晩寝ると答えが閃く、ってことがありますね。「眠る直前まで仕事の資料や本などに目を通して、無意識の脳に仕事をさせるための情報を入力」を心がけたいと思います。

投稿者 さいこう : 2009年8月20日 23:38

さいこうさん、コメントありがとうございます。

実は、池谷裕二さんの次のシリーズとして、超天才、苫米地英人さんの本を読んでいるのですが、ここでも出できます・・・無意識の脳の話が。

彼の用いる概念として「コンフォートゾーン」や「スコトーマ(盲点)」、あるいは“現在は過去の結果ではなく、未来から流れてくるもの”といったものがあるのですが、次回のシリーズで詳しく追求してみたいと思います!

投稿者 kota : 2009年8月26日 23:45

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