母系制と父系制 |
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2006年11月29日
一対婚家族の起源
昨日のエントリー 母系制と父系制 の続きです。
11/26(日)なんでや劇場の内容から。
現在の一夫一婦制=一対婚家族は、人類史のどの段階で、どのようにして登場したのか?
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約6000年前の西アジア、遊牧部族において、人類初の掠奪闘争=戦争が始まった。
●掠奪闘争の玉突き→本源集団の解体→武力支配
ひとたび侵略・略奪がはじまると、周辺部族もたちまち掠奪闘争に巻き込まれてゆく(滅亡するか、自ら掠奪部族となるか、僻地へ逃げ落ちるかのいずれかしか選択の余地はない)。
★掠奪闘争は、数百年の間に部族から部族へと玉突き的に拡がり、ほぼ全ての本源集団が破壊されてしまった。
掠奪闘争の玉突きにより、不安定な戦国時代が続く。しかし、生物原理の根底には、「安定収束」=秩序化・統合のベクトルがある。つまり、頻繁な戦闘は望まない(厭戦)、服属でも安定(平和)を望むようになる。侵略・略奪の勝ち抜き戦を通じて、次第により強大な武装集団(→帝国)の下に統合されてゆき、力の原理によって安定・秩序化を図ってゆく。
★安定・統合するには力しかない=力による制圧、これが全ての武力支配国家の原型である。
※「力」とは、「武力」とそれを支える財力・生産力・資源etc
(現在のアメリカがやっていることも、全く同じである)
●「力による制圧」=武力支配が成されると、どうなるか? 婚姻制etcの集団規範はどうなるか?
●私有婚から私権の共認へ
★掠奪闘争の玉突きによって本源集団が解体され、性の相手を定めた婚姻規範が消滅した結果、性=婚姻は、私的選択or力関係(性闘争)に任されることになる。
武力支配が成されると、戦乱は半安定状態=(戦争)外圧は低下し、男たちは解脱収束し、性の発散欠乏を肥大させてゆく。一方、女たちは、部族連合の他集団に嫁入りするかたちであり、より大きな不安から強く私有意識→性的自我に収束してゆく。上記関係から、女の性に強い価値=性的商品価値が生じる。男たちの性的需要に対して、挑発しつつ供給制限を行うことで、性的商品価値はつり上がってゆく。(古バビロニアでは「婚資」は銀500g≒月収の約40ヶ月分であったという)
★このようにして、私有財産の力で女を買い取る=私有婚が成立した。
★私有婚の成立と同時に、私有権(ex.土地の占有権)が共認されてゆく。
掠奪闘争を勝ち進んできた部族は、最後に豊かな土地を手に入れ農耕小国家に転じてゆく。元々、土地は部族の共有物であり、男たちの役割分担によって管理されたはずであるが、ここではたちまち「占有権」に変質してゆく。これは、私有婚家族発の私有要求が貫徹され共認されたことを意味する。(既に古バビロニアでは土地の売買の記録が残っている)
★そして、社会の全ての財は私権(占有)の対象となり、人々は私権を確保しなければ生きてゆけないという、私権統合社会ができあがった。
●一対婚家族の成立
私有婚家族が社会の最基底の単位として共認され、土地や財の私有権(占有権)が共認されると、次はその私有財産の相続が問題となる。戦死する男がいなくなると、世代交代のたびに(解脱収束し性欠乏が肥大した)息子たちに土地を分割して与えざるを得ず、そうなると多数の妻を養うことができなくなり、必然的に一夫一婦制となってゆく。
★こうして元々の遊牧部族の勇士嫁取婚は、私権(占有権)に基づく一夫多妻制へと変質し、数世代のうちに一夫一婦制=一対婚家族へと移行した。
(一夫多妻と一夫一婦は対照的なもののように言われることがあるが、私権で女を買い取る=私有婚であるという本質は全く変わらない)
コチラもあわせてご覧ください。
11/26なんでや劇場レポート1「遊牧の発生→父系制へ⇒力の原理への転換」
11/26なんでや劇場レポート2「掠奪闘争の玉突き⇒力による制圧」
iwai
投稿者 staff : 2006年11月29日 TweetList
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11/26なんでや劇場レポート2「掠奪闘争の玉突き⇒力による制圧」
11/26なんでや劇場レポート1「遊牧の発生→父系制への転換⇒力の原理へ」の続きです。
約6000年前の西アジア、遊牧部族において、人類初の掠奪闘争=...
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コメント
投稿者 sashow
sashowさん、コメントありがとうございます。
マードック氏調査の、「849’種類’の社会」の定義がよく分からないのですが、わかりますか?
投稿者 iwai
ちょっと調べてみましたが、正直分かりません。
推測すると、制度や規範(or掟)など(生存上)の統合軸を共有する集団単位だと思います。
大きくは国家であり、最小では単一部族、中間では部族連合など考えられます。
投稿者 sashow
調べていただいてありがとうございます。
世界の様々な民族の事例、史実が発掘できるとさらに興味深い分析ができそうですね。
投稿者 iwai
『るいネット』の投稿を紹介します。
>ジョージ・マードックという文化人類学者の調査によると、世界の849’種類’の社会のうち、一夫一妻制はわずか16%、一夫多妻制が83%、一妻多夫制は0.5%という結果になったそうです。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=59239
当り前と思っている一夫一婦制が(未開部族も含めた)「社会」では、少数派って、驚きですね。
実は日本の農村部でも、戦後まで“夜這い”が行われていたということは、日本でもまだ歴史が浅いんですね!
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=87512
6000年前に始まった一対婚。取り入れた国(社会)、取り入れなかった国(社会)の違いは何なのか?気になります!