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2006年11月28日

母系制と父系制

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(ニホンザルの母系社会模式図。「ニホンザルの社会と生態ver.2003」より)

11/26(日)なんでや劇場で勉強してきましたので、その報告も兼ね、テーマ:家族のかたち~母系制と父系制について書きます。 

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人類集団と家族形態の歴史的変遷を見る上で、「母系制から父系制への転換」は重要なキーワードです。
※母系制:集団Aの女と集団Bの男が婚姻を結ぶ際、集団Bの男のほうが集団Aに移籍する。
※父系制:上記とは逆に、集団Aの女のほうが集団Bに移籍する。

哺乳類は一般的に母系制である(チンパンジー除く)。人類も文明以前の共同体社会においては、母系制であった。すなわち、自然の摂理。それが、(現在見られるように)父系制へと転換した。
それは、いつ? なぜ? どのようにして?

転換の契機となったのは、「遊牧」という生産様式です。      

●遊牧のはじまりと父系制への転換
定住型の牧畜では増え続ける人口を維持できない。自ら草地(家畜のエサ)を求めて移動していったほうが、数倍の家畜を飼うことができる。つまり、人口増加に対応するため移動しながらの牧畜=遊牧へと移行した。
最初は、定住牧畜の拠点(母系集団)から、男たちだけの小集団が遠征するかたちで、女はついていかなかった。
次に、遠征部隊はルートを拡大し徐々に拠点に戻らなくなる→別の拠点をもつようになる。すると、もともとは拠点にいた女も連れて行くようになる。つまり男集団の中に母系集団の女が入るというかたちに(女移籍のはじまり)。当然、そこで子どもも生まれる。
そして数世代後には・・・女はよその集団から嫁取りするというかたちに。
★このようにして、母系制から完全な父系制へと転換した。

●父系制に転換するとどうなるか?
女たちは生まれ育った集団から移籍することになり、深い安心基盤は失われ、共同意識も低下する。
女が移籍する際は「持参財」(家畜)をもって行く。女たちは、この持参財の良し悪しや実家の家柄により評価されることになる(扱いが変わってくる)。したがって、この持参財は(意識上は)私有財産に近いものとなる。
★「共認充足が拠り所」から「モノが拠り所」に。蓄財意識が芽生える。
★「共有財産」から「私有財産」への意識上の変化が生まれる。
(それまで全てのモノは集団所有=共有であった)

★男たちには、女たちからも母集団からも「豊かな生活期待」(もっと家畜を、もっと縄張りを!)がかかるようになる。結果的に集団全体が、「自集団の利益第一」という意識に染まってゆく。

●そうなると・・・集団統合はどうなるか?
※ボスをどのように決定するか?
母系制の首雄集中婚では、女たちの評価によりボスが決定される(強者収束本能に基づく女共認=評価)。
しかし父系集団では、共認充足の基盤喪失と利害意識(自分にとって都合のいい男をボスにしたいという欲求)があいまって、女たちの評価が一致しない。また決定されたボスにも自然に収束できないということになる。
また集団全体が、自集団の利益第一に染まっているため、縄張拡大能力(≒蓄財能力)が高い男が台頭する。結果、男たちの不満→冷戦状態も生じる。

★要するに、女たちにとっても、男たちにとっても、スッキリしない状況になる。
(女たちの間にも、男たちの間にも軋轢が生じており、評価共認がスンナリ成立しない)
★したがって、男同士の力関係⇒「力の原理」でボスを決定、集団統合するしかない。

↓↓↓
■遊牧発の父系制転換は、集団統合を「共認原理」から「力の原理」へと移行させた。
↓↓↓
■集団全体(部族全体)が「力(財)」をいかに蓄えるかという意識に収束してゆく。
↓↓↓
■そして約6000年前、急激な乾燥化による飢饉が引き金となって、ついに人類初の略奪闘争=戦争が始まった。

「母系制から父系制への転換」、これが人類の歴史を大きく変えてしまうことになったのだ。

コチラもあわせてご覧ください。
11/26なんでや劇場レポート1「遊牧の発生→父系制へ⇒力の原理への転換」  

iwai

投稿者 staff : 2006年11月28日 List   

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コメント

父系制への転換と共に「力の原理」、そして戦争へ、という流れ、とても勉強になりました。

戦争勃発前、母系制時点での集団統合とは、どのような形であったのか?

にとても興味があります。

色々なヒントが、沢山隠されていそう!

投稿者 かわい : 2006年11月28日 23:15

それまでなかった「私有意識」がどのように現れてくるのか、すごく生生しくリアルに伝わってきます。

この時代に起こったことは(国家→戦争、交換→市場、一夫一婦制など)、現代の様々な問題に繋がっているので本当に興味が尽きないです。

投稿者 fwz2 : 2006年11月30日 21:41

かわいさん、fwz2さん、コメントありがとうございます。
現代家庭のありようは、人類史上、決して普遍的な姿ではない。
歴史を紐解いてみるといろいろ見えてきますよね。

投稿者 iwai : 2006年12月1日 12:35

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