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2006年11月19日
「子どもの生活リズム向上プロジェクト」って何!?
文部科学省「データーから見る日本の教育」というデーターサイトを兼ねてから検証していたが、http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/toukei/05071201/pdf/002.pdfその中に「朝食の摂取状況とペーパーテストの結果との関係」なるデーターがあった。但しサンプリングの解説も無く、そもそも何でこのデーターが必要なのか(テストの為に朝食を摂らせようということか?)が気に掛かった。
●朝食の摂取状況とペーパーテストの結果との関係●
(設問「学校に行く前に朝食をとりますか」についての回答状況とペーパーテストの結果との関係)
※対象は中学3年生
上記の調査について文科省HPで検索したところヒットするものがあった。なんとその調査は「平成18年度予算案(家庭・地域の協力関係)」の中に載せられていた。18年度予算の中に「子どもの生活リズム向上プロジェクト」なる新規事業が企画され予算として1億3千万が要求されており、その補足資料として「朝食とペーパーテスト」の調査が多少詳しく記載されていた。あたかも朝食を摂らないことがペーパーテストの成績を左右することであるかのように・・・。
(改めて、子どもの生活リズム向上プロジェクトとは何かを見てみると、「早寝早起や朝食を摂るなど、子どもの望ましい基本的生活習慣を育成し、生活リズムを向上させるための国民運動を展開するため、全国的な普及啓発活動を行うとともに、地域ぐるみで子どもの基本的生活習慣を育成し、生活リズム向上のための先進的な実践活動等の調査研究を実施する」のだそうだ。http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/siryou/003/06021701/002.pdf)
しかし、これはどういうことなのか?現在子どもの教育課程に様々な問題があることは言うまでも無い。いじめ、自殺、学級崩壊、学力低下、未履修問題・・・。そして先のプロジェクトの起案者はこうした問題の原因が、早寝早起き、朝食などの「基本的生活習慣」の乱れにあるとでも言うのだろうか?
まさかそんなことはあるまい。原因はもっと深いところ、貧困の消滅以降に規範や教育目標などが瓦解していくなか、唯一「家庭」だけが他者の監視や評価の無い密室性=自己中性を最大限まで強めたことにある。聖域化した家庭で増殖する自己中な親や子どもたちが、いじめ、自殺、学級崩壊を引き起こし、制御できない学校をバッシングし、更には教師いじめや教師間や教師、親間でのせめぎあいまで引き起こしているのだ。
そして自己中な家庭(親や子ども)は、当然早寝早起き、朝食などの規範的な生活習慣をも蔑ろにしていくだろう。要するに生活習慣が乱れるからいじめなどの教育問題を起こすのでは決してなく、教育問題も生活習慣の崩壊も聖域化している家庭自身が引き起こしていくのである。
問題は、文科省がこのような原因分析を一切行おうとせず、一見もっともらしいデーターを貼り付けただけで1億超の予算を要求していることだ。その様に考えると先のデーターも、そのバックデータが曖昧なこと、結果が見事過ぎること、更には上記のような思考の妨げにさえ成りかねないことに気付く。いわば予算のためのゴマカシのデーターでしかないのである。
一国の中央官庁内でこんな稚拙なゴマカシの予算要求を行っている一方、自殺問題、未履修問題などは一向に解決していかない。いや、むしろ中央官庁がこんな状態だから、現場の混乱が収拾しないし、家庭は相変わらず聖域でいられるのだとも言える。それとも家庭だけでなく国家も聖域だとでも言うのだろうか!?家庭だけでなく国家にも任せては置けないのだとの思いを改めて強くした。
投稿者 saito : 2006年11月19日 TweetList
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