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2008年07月02日

生物進化史から学ぶお産と子育て8~オスの性闘争本能と集団適応~

メスをめぐるオス同士の戦い
※メスをめぐるオス同士の戦い(画像のリンク元

テーマ「生物進化史から学ぶお産と子育て」では、はじめに『雌雄の役割分化』を扱っています。
やはり、雌雄の差異は絶対的なものであり、個人差(個性)なるものは、相対的なものでしかないようですね。

さて、その絶対的な差異はどこに見出せるのでしょうか?
簡潔に言えば、メスは、「胎内保育(と産後保育)の強化」であり、オスは、「性闘争本能の強化」です。
今回は、後者の『性闘争本能の強化』について、掲載します。

性闘争本能を封鎖していた極限時代の人類の婚姻形態
>動物のオスは、メスをめぐって、オス同士で闘う。
>勝った強いオスにメスが集中する。
>これにより、強いオスの子供を残し、生きる確率を高めている。
>これを、動物の性闘争の本能という。
>性闘争本能はすべての動物に備わっているが、とりわけ哺乳類は、性闘争本能をとことん強化した動物。

「メスをめぐって、オス同士が闘う」というと、ついついオスは「自分のため」だけに闘っているように思いがちですが、それは誤り(認識不足)ですよ

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メスをめぐるオス同士の戦い
※メスをめぐるオス同士の戦い(画像のリンク元

種の保存としての性闘争
>性闘争って聞くと、どうしてもなんだか個VS個の醜い争いを連想してしまっていました。
>しかし、それは、自分の中の観念が作り出した、ただの想像にしか過ぎませんでした。

>『性闘争』
>それは、種の保存のために強者を決めるということ。
>そのために、より強い種を残すために闘うということ。

>そう思うと、そこにはすごいエネルギーを感じます。

ね、重要な視点が抜けていたでしょー。

オスは、生命がメスとオスに分化して以来、一貫して闘争存在なのです。

闘争は常に、種の保存という最重要課題のもとに統合されます。(でなければ、自滅する!)
人類は、より性闘争本能を強めてきた種であり、これまでも、外敵闘争以上に、同類の性闘争を通じ、自ら闘争圧力を生み出し、より闘争力を高めてきました。

人類は、負けても、他の動物とは違い、すぐに死ぬわけではありません。
一時の敗者も常に、闘争圧力を生み出す一員であり、そうである限り、みなのために活動しているのです。
(ただ一つ、無圧力の家庭や個室に逃避している場合を除いて…)

つまり、自分のためだけに、闘っているのではない、とうことです。
また、家族のためだけに、闘っているのでもないのです。。

オスは常に、みんなのために(種の保存のために)闘っているのです。
それは本能から一貫した自然の摂理だったのですね。

メスをめぐるオス同士の戦い??
※メスをめぐるオス同士の戦い??(画像のリンク元

(1)『哺乳類の性闘争本能

>哺乳類の最大の特徴は、胎内保育機能にあります。しかし、卵産動物が一般に大量の卵を産み、その大部分が成体になるまでに外敵に喰われることによって淘汰適応を実現しているのに対して、胎内保育と産後保育の哺乳類には、適者だけ生き残ることによって種としてより秀れた適応を実現してゆく淘汰適応の原理が働き難くなります。そこで、淘汰適応が成体後に引き延ばされ、成体の淘汰を激化する必要から、哺乳類は性闘争=縄張り闘争の本能を著しく強化してゆきました。実際、性闘争を強化した種の方が適応力が高くなるので、性闘争の弱い種は次第に駆逐されてゆきます。かくして哺乳類は、性闘争を極端に激化させた動物となっていきました。

(2)『集団原理と性闘争・縄張り闘争(原理)の両輪による適応

>しかし、この性闘争⇒縄張り闘争だけでは、生物としての適応には限界があります。性闘争本能は、同じ種内の個体間で争う原理ですから、種間闘争(喰う・喰われる)の圧力に対しては、無力(限界あり)です。事実、モグラ類は原哺乳類の進化段階に止まっています。
>種間闘争に適応するためには、生物の一方の原理である『集団本能』『群れる原理』が必要になります。
>草食動物は、群れる事によって、特定の個体が捕食されても、群れ・種として存続できる。より大型化すれば、雄(野牛)が円陣を組み、中に雌や子供を囲い込んで、肉食獣(ライオン)に対峙することまで出来るようになります。
>種間闘争の圧力が、各生物にかかる圧力です。それに適応するため、集団本能・群れの原理を、どう行動様式として固定してきたか。群れの原理が焦点になります。そして、その群れの原理の下に、「哺乳類の活力源である性闘争本能」を如何に組み込んでいるのかが、哺乳類の本質的な構造です。

お産や子育ての場を中心に、かつ性闘争の活力を絶やさずに、どのような闘争集団を形成できるか?
それが、私たち人類(特にオス)に普遍的な課題なのですね。

このように生物進化史を捉えると、生殖課題(性や子育て)の場が無圧力化していく現代は、適応力低下=自滅への道を歩みだしているようで、なんとしてもこの危機を乗り越える必要があると言えるのではないでしょうか?

投稿者 toya : 2008年07月02日 List   

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