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2010年04月18日
新たな時代の教育制度の提案に向けて~ドイツの教育制度(現在)~
今回はドイツの教育制度についてです。
■■ドイツの教育制度(概要)
1800年代末に公教育制度は確立するが、まだこの時代には公教育=庶民教育という意識が強かった。特にイギリスでは、身分階級を反映した階級別の教育が色濃く残り、ドイツでもそのような意識が残っていた。貴族や富裕層の子は、小さいときは家で家庭教師により教育を受けることが一般的であった。それ故に、中等教育以降の教育に焦点が当てられてきた。
その様な身分社会を背景に、能力(資産力)と職業地位に基づいて、学校制度が確立されていく。その最も特徴的な学校として、「ギムナジウム」がある。「ギムナジウム」は省庁官僚制に組み込まれ、官僚キャリア、軍人資格付与など、エリート養成の機関として、国家の行為として整備・強化されてきた。
それと平行して、実学を主とする実科学校が整備され、年齢の早い段階から商業や手工業などの専門の職能の教育機関が整備された。
■現代の教育制度の特徴
大きくは以下の7点
1)入学は、5-6才
2)比較的に早いうちに小学4年生でコースを決める。
3)小学校卒業後の進路は、公立学校ではHauptschule(ハウプトシューレ-基礎学校)、Realschule(リアルシューレ-中等実技学校)、Gymnasium(ギムナジウム-中高一貫校)、Gesamtschule(ゲザムシューレ-小中高一貫校)の4つの選択と私立学校などがある。
4)能力別コースは、後から進路変更もできる。
5)ギムナジウムの13年間で卒業試験
6)アビトゥア(大学入学資格試験)を取得して大学へ。
7)職業教育は企業と学校による二元シスエム。
10歳前後にはすでに、将来の進路(:職業)がほぼ決まり、子ども達はその技能の習得に専念する教育システムで、これも階級社会における(職人の子は職人等の)序列意識を根付かせる、支配階級の意図が伺われる。
具体的な制度を見ていきましょう。
その前に
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■連邦制を生かした学校教育制度
ドイツは16の州が連合して一つの国を作っている連邦制の国家。
学校教育制度の基本的な権限は、これら16の各州にある。
学校制度そのもの、各学校の就学年数等、各州によって少しずつ違っている。
ドイツでは各州にそれぞれの文部省(16人の文部大臣)。
州文部大臣会議によって、教育課程や内容の重要な点に関しては、できる限り全国的な統一化を図っている。これが、ドイツの教育制度における事実上の最終決定機関となっている。
●分岐型の学校制度 (参考)
ほとんどの児童は6歳で基礎学校(グルントシューレ)で学び始める。
4学年を終えた時点で、中等教育期間をどこで学ぶかの選択をしなければならない。
但し、進学後の2年間は児童の進路決定を保留にして、より確かな判定をするための期間としてのオリエンテーション(観察指導)段階が設けられていて、他の種類の学校に移ることが出来る。この進路の決定については親と学校が協力して行う。
・進学先としては基幹学校、実科学校、ギムナジウムが一般的であり、これら3種類を総合した総合学校やシュタイナー学校もあり、それぞれ終了年次が異なる。
○ 基幹学校
5年制で職人や販売員を目指すための学校である。修了後は実務経験をしつつ、18歳まで職業学校に義務として通学し、卒業後は職業訓練/見習いとして就職する者が多い。
基礎学校修了生の約7分の1が選んでいる。
○ 実科学校
6年制で卒業すると全日制職業学校である「専門上級学校」や「専門大学」などに進学でき、将来の事務職や専門職を目指す者が多い。この修了資格は、経済界や官庁での中級職の前提とされる。このコースは約7分の3が選んでいる。
○ ギムナジウム
9年制で約7分の2が選ぶこの学校は大学進学を目指す子ども達が進学している。最終学年まで進んで卒業試験に合格すると大学入学資格である、「アビトゥーア」取得の道が開かれる。
○ 総合制学校
上記3つの学校形態をまとめた学校である。早い段階で子どもの進路を決めてしまうことを批判してできた。
○ シュタイナー学校(私立
12年間の一貫教育で落第がない。芸術性や社会性を重視し、テストや点数評価をしない。
●後期中等教育
○職業学校
全日制職業専門学校、職業学校と並行して企業で職業訓練を受けるデュアルシステム、専門上級学校、職業上級学校、専門学校がある。
○ギムナジウム上級段階(第11~第13学年)
アビトゥーア試験により終了する。大学進学率は36%である。
●高等教育
○大学
大学入学資格であるアビトゥーアを取得すれば入学できる。大学ごとの入試はない。
通常は希望大学に願書を送り、医学、心理学科など人気の高い学科では大学入学者制限制度により、アビトゥーアの点数の高いものから希望大学に入学を許可される。
アビトゥーア…ギムナジウムを卒業後に受ける国家試験で、一度合格さえすれば一生使える資格である。取得後すぐに大学へ行かなければならないことはないが、アビトゥーアは一生に2回までしか受けることができないので、2回とも落ちてしまうとアビトゥーアを受ける資格がなくなる。また、行きたい学部に点数が足りない場合ももう一度受けるということもできないので、アビトゥーアに合格するとそれは一生ついてまわる点数となる。
また、ドイツには働きながら教育を受けられる職業教育制度があるため、必ずしも大学に進学する必要はない。職業教育制度には企業にとっても、自社に適した人材かを事前に見極めることができるというメリットがある。
●前期中等教育の特徴
「労働科」カリキュラム
基幹学校や総合制学校を中心に、前期中等教育に入る段階から「労働科」などの名称で職業準備教育を行う教科が設けられている。多くの州では「労働科」だが、州によって「労働・経済・技術」などと名称が異なる場合がある。この職業準備教育の一般的な内容(州ごとに多少の差異がある)は、地域における学校教育と職業教育・訓練、職業選択と職業活動、個人と労働市場の関係、社会的・技術的・経済的条件を考慮した雇用機会と雇用の課題、労働法の関連規定と青少年労働保護の重要な規定などである。このような授業に加えて、学年が上がるとほぼすべての州で職場訪問あるいは企業実習を実施している。企業実習については、基幹学校や実科学校などでは生徒全員、ギムナジウムでは希望者を対象とするのが一般的で、実習の前後には志願表作成、面接のロールプレイング、関係者や専門家への質問と対話、実習結果の発表などのプログラムが組まれる。卒業間近の企業実習では、生徒の職業選択を考慮して職業を1つに限定する。
●後期中等教育の特徴
「デュアルシステム」による職業訓練
義務教育終了後、職業学校に通いながら、主に企業内で職業訓練を受ける二元的なシステムである。職業学校は各州の文部省が所管する公立校であり、州の学習指導要領に従ってカリキュラムを組んでいる。職業訓練の期間は2年から4年で、多くの場合3年半程度である。訓練を終えると商工会議所や手工業会議所等の職能団体が実施する修了試験を受け、これに合格すると職業資格を得ることができる。修了試験は、2度まで受験可能である。
次回はドイツの教育制度の歴史を振り返ってみます
参考:
ドイツの教育制度
ドイツの職業制度とマイスター制度
ドイツ教育事情
投稿者 sashow : 2010年04月18日 TweetList
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コメント
投稿者 マリー
マリーさん、コメントありがとうございます!!
ドイツも(イギリスと同様)元々は官僚・軍人のエリート教育として、ギムナジウム→アビトゥーアが成立していたようですが、いつからか、職業人育成がメインの学校制度となっていったようです。
この辺りは、次回に扱っていきますが、公教育全般的にその傾向があるようです。
この原因についても、現在追求中ですので、今後の展開を楽しみにしていてください。
投稿者 sashow
ドイツの教育って、職業と一心同体なんですね★
職人や販売員を目指すための学校とかって、すごい具体的・・
やっぱり国によってだいぶ様相が違うんですね。歴史もまた、楽しみにしています♪