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2021年10月14日

縄文時代の「共同養育」に学ぶ。人類は共同で保育するようにできている

今回は、縄文時代の子育てから。
実は縄文は、1万3,000年以上も穏やかな時代が続いた超安定期です。そんな時代の子育てに現代の可能性を発掘します。

縄文人たちの暮らしを描いた想像図

そもそも結婚の形から今とは全く異なります。縄文時代の婚姻様式は、総遇婚(複数の兄弟姉妹集団間の集団婚)。
その後、弥生時代以降も男が女集団に入る妻問い婚にはなりましたが、その後江戸時代まで女は母集団の中に残り、集団の充足に包まれた中で集団と女たちは一生暮らすことができた。だからこそ、女が家庭(集団)で「孤立化」することはなかったのです。

実はこれは、人類の祖先の哺乳類の集団形態とも近い、生物進化の原理に則った形と言えるのです。
(詳しくは:哺乳類の集団形態③~哺乳類はなぜ母系集団なのか?~

参考)
日本人が最も幸せであった縄文時代―妻問い婚による母系集団同士が密接につながっていた平和な連帯社会
日本史を学ぶなら「縄文」からがおススメ~第6回「性は秘めるものではない、開くもの、皆で共有するものだった」

■親以外のたくさんの人が子育てに関わる「共同養育」

農耕が始まる前、世界の多くの狩猟社会では、自分の子供だけに目をかけるのではなく、部落の大人たち全てが、全ての子供を「自分の子」のように育てるのです。
これは、①複数の養い手がいることで、子供が大人になるまで生き残れる確率をあげるという利点があり、
また②女性が複数の男性と交わることで優秀な精子が選ばれるので、生物学的にも理にかなっています。

では具体的に縄文時代の子育てがどんなものだったのか。それについては、明確な文献はあまり見つけられませんでした。(あれば教えて下さい。)

そこで、縄文時代の生活ぶりに近いと思われる現生狩猟採集民(先住民族)を見てみます。その多くが「共同養育(アロペアレンティング)」という形で、親だけが子育てに関わるということはほとんどないようです。

例えば、生後3ヶ月の赤ちゃんを残して森に仕事をしに行く。別の女性が育児や授乳を行う。子を他人に任せるのは動物の中でも人間だけ。共同で養育するという独自の子育て術を編み出したのが人類。人間は、「共同養育」の仕組みを進化の過程で作り上げてきたということです。

いくつか事例をご紹介します。

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子どもにとって全員が母。全員で子育て(ブラジル クラホ族)
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ブラジル先住民のクラホ族の人々は、子育てには母親が2人以上必要だと考える。血のつながりは関係ない。子供たちは、自分の母親や母親の姉妹、そして母親が姉妹と同等にみなす女性をすべて「インクセ(inxe)」と呼ぶ。「叔母」にあたる言葉すら存在しない。子供たちにとっては、それらの女性が全員、「母」なのだ。(略)

男女が結婚するときは、男のほうが女の家に入る。そして母親たちは生活を共にし、親戚の子供たちの授乳もする。(略)

クラホ族の子育ては、私たちが考える西洋式の子育てとはまったく違います。一つの家に15~20人が住む拡大家族で、それぞれの家に母親が2人以上います。そして、全員で子供を育てます。4歳児が3歳児を世話し、その3歳児が2歳児の子守りをするといった感じです。
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参考)るいネット『「何人もの母親」が授乳し、子供を育てるブラジル先住民のクラホ族』

また、アフリカ・カメルーンのジャングルの中の小さな集落に住むバカ族でも、生後3ヶ月の赤ちゃんを残して森に仕事をしに行き、別の女性が育児や授乳を行うといいます。

 

食事の半分以上が、自分の家族以外との食事。共食で集団性を育む。(ペルー ヨラ族)
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南米ペルーのアマゾン地域で暮らす先住民ヨラ族の子どもの場合、食事をする回数の全体の半分は、自分の両親とではなく、自分の家族以外の家族と一緒に食事をしているそうです。日本でもかつては祖父母含めた一家団欒での食事が当たり前でした。それがいつの間には核家族となり、母子だけの食事になり、しだいに孤食、個食になり始めています。みんなで食事をする「共食」は人類の特徴であり、共同意識・集団意識を高めて、子どもを育んでいくのです。
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参考)臥竜塾「アロペアレンティング」

このように人間は進化の過程で共同で保育をするようにできていて、必要な時は子供を預けられるようにできている。なのに、現在は核家族で共同できずに孤立。でもそういう風には人間は作られていない、ということです。

だからこそ、縄文時代のような、子どもは集落皆の子ども、という考え方で、たくさんの母を中心にした、新しい集団の形が必要なのだと思います

最後に、みんなで子育て。それを実践されようとしている活動を見つけたので少しご紹介。ぜひ読んでみてください!

 

前回までの追求はこちら

投稿者 yamane : 2021年10月14日 List   

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