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2018年05月10日

野外保育の可能性17 ~解説、まとめ、その2

前回の続きです。

3.森だけじゃない、海や川でも森のようちえん!

文字のイメージと言うのは鮮烈なもので、「森」と書いてあれば、人は頭の中に自分の持っている「森のイメージ」を思い浮かべます。細かな違いはあれど、多くの人は「木がたくさんある場所」になるのではないでしょうか。小学校では、木が三本で森、と習ったくらいです。

しかし、森の幼稚園の存在場所、活動場所は森だけではありません。森だけではなく、畑、海、川、ひいては都市公園までがその範疇に入るのです。言ってみれば、自然体験ができるフィールドを広く指しているということなのです。

なるほど、だから東京都にもたくさん存在しているのだ、とその謎が解けました。

私の住んでいるところにあるような大きな、様々な種類の木が生い茂っていて遊歩道があって、という森はなくとも、都市公園はあるし、川もある。ですから、東京都にも森のようちえんがたくさん存在しているということなのです。

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4.3歳以下でも保育園でも大丈夫!それが森のようちえん

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先のところで、幼稚園は満三歳からと書きましたが、そうなるとうちの息子はまだ森のようちえんには行けないのだな、とちょっと残念な感じがする人もいるでしょう。

しかし、そうではありません!さらに調べてみると、3才以下の子でも参加ができるのです。

対象年齢は乳児、幼少期の子どもたちです。乳児と言えばゼロ歳児のことです。そして幼少期となると一般的な幼稚園や保育園に通っている子どもの年齢にあたります。

言ってみれば、何歳児でもOKということなのです。そして、「ようちえん」とは言っても、文部科学省認定の既存の幼稚園のことではなく、保育所や学童保育、自然学校や子育て広場などもその範疇に入っているのです。幅広い位置づけがなされているのです。

「森のようちえん」というのはあくまでもその運営主体の相称であって、その中身は、認可幼稚園や保育園、子育てサークル、自然体験活動団体などと多岐にわたります。そして、活動内容も、その運営主によって様々、対象年齢も様々、という事になります。

5.どこからなぜ始まった?

このような内容の森のようちえん、どこから始まったのでしょうか。

森のようちえんの発祥は北欧、デンマークにあると言われています。

北欧は自然が豊かです。
例えば、北欧の中でもスウェーデンには、「自然享受権」という国民の権利があります。これは、自然はみんなのもの、共有財産、という考え方です。私有地であっても、だれでもそこに入って、お花を摘んだり散策したり、と自然を楽しむことをしてよいのです。

もちろん迷惑をかけないなどという最低限のルールはあるのですが、自然に対するとらえ方がとてもおおらかなのが、北欧スウェーデンなのです。

同時に、スウェーデンの自然はとても厳しいです。
北極圏に行けば、沈まぬ太陽が見られる白夜の夏を楽しむこともでき、同時に日照時間が限りなく短くなり、凍てつく寒さの冬もそこには存在しています。

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スウェーデン人の自然保護に対する考え方は、日本人の多くが見習うことができるものです。子どものころから自然に接して行く中で、自分が自然を楽しむのと同様、他の人も楽しむことを理解していくのです。

自分が自然を楽しむためには、自然を守っていかなければならない。そうするためにはどのようなアクションを起こすべきなのか、起こさなければいけないのか、ということが森と共に暮らしていくなかで育まれていくのです。

ここでいう「森」というのも前に述べた幼稚園の事と同じで、「森」だけにはとどまりません。たくさんある湖であったり、小さな林であったり、畑であったり川であったり、と言葉は違えど、これらを総称して、自然・森と捉えているのです。

一方で、日本はどうでしょうか。

豊かな四季があります。花に恵まれ、秋には色づいた木々が森を染めます。自然が美しく変わっていく環境に我々は生きています。
自然享受権という権利はありませんが、自然を守っていこうという考えは我々の中に存在しています。

共有の場所である公園にはごみを捨てない、他人の迷惑になる行動は起こさない、などという考えが強制されずとも心の中に持ち合わせているのが日本人なのではないでしょうか。

しかし、時代が変わっていくとともに私たちを取り巻く環境も変わっていくのは事実です。
今まで広場があったところは駐車場になり、森は切り開かれ宅地になり、または大型商業施設が建設されたり、と世の中は姿を変えていきます。

子どもを取り巻く環境はどうでしょうか。

この30年を見てみても、30年前は無かったものが世の中にあふれています。携帯電話は一人一台、テレビも各部屋に一台、子どもたちはゲームに熱中し、顔を合わさずに友達と交流をしています。

確かに世の中は便利になったでしょう。しかし、それに伴い我々が失っていったものが多いのも事実です。

子どもの体力低下、自分から動けない、集団行動ができない、などの報告もでてきています。
これはなぜなのでしょうか。

さらに続きます。

投稿者 hoiku : 2018年05月10日 List   

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