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2017年05月18日
「子ども建築塾」~社会をつくる仕事だから、子供たちにとって本物の学びになる。
子どもたちの仕事体験が注目されています。学校ではカリキュラム化され、キッザニアのような体験施設も人気。旅行会社が仕事体験をセットにした旅行プログラム「旅いく(育)」を売り出すなどちょっとした仕事体験ブームのようです。
そんな中で、世界的に有名な建築家の伊東豊雄さんが主宰する「子ども建築塾」というのを見つけました。ここでは1年間20回の講座を通じて、いえやまちの調査からアイデアだし、図面を書いて模型を作って発表するまで、大学の建築科で学ぶようなことを小学2年生から6年生までの子どもたちが体験しています。
プロ中のプロが本気で取り組む「こども建築塾」。
どんな様子なのかみてみましょう。
まずはそのカリキュラムより。
(http://itojuku.or.jp/course/children)
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2017年度 子ども建築塾カリキュラム
小学校高学年の児童を対象に、一年を通して建築やまち、環境について考えます。
前期は「いえ」をテーマに、図面の描き方、模型のつくり方、発表の仕方などを学びながら、想像力あふれる「いえ」を設計します。これまでには「動物たちがくらすいえ」や「好きな素材でつくるいえ」といった課題が出題されました。今年は恵比寿のまちなかに敷地を定め、「みんなのいえ」を設計します。建築のかたち、空間、機能、スケールを学びながら、わくわくするような「いえ」を考えます。
後期は「まち」をテーマに、都内のまちを皆で歩きながら、まちの成り立ちや公共空間、ランドスケープについて考えます。実際のまちなかに設定した敷地に「まちの建築」を設計し、最終的にはみんなでひとつのまちを完成させます。まちの歴史や文化、地形や環境をふまえた上で、人が集まることによって生まれるにぎわいなど、都市全体を広い視野から考えます。
開講日数
全20 回、2 期制(前期10 回 / 後期10 回)
隔週土曜日14:00~16:00 開講
※都合により、曜日・開講時間を変更する場合がございます。
受講対象
小学校高学年(4年?6年)の児童
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対象が小学生とはいえ、カリキュラムは大学の設計課題とほとんど変わりません。でも難しい勉強ではなくなにか楽しそう。まちの歴史、地形、環境、人、利用する人がたのしめる・・・科目を越えたまさに社会そのものを考え学ぶことができそうです。
次に主宰の伊東豊雄さんの言葉を紹介します。
(https://www.bornelund.co.jp/asobi-no-mori/study/1775.html)
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●頭で学び、手を動かし、心が動くように
「伊東建築塾」をはじめたのは、これからの時代や社会から求められる若い建築家を育てたいと思ったからです。その背景には、建築自体よりコンセプトを重視する大学での建築教育や「すごいものをつくりたい」という建築家の考えはエゴであり、今の時代や社会のニーズとずれているのではないかという問題意識がありました。
理論や理想を振りかざすのでなく、まずは生活の原点に立ち返り、もっと社会に対して心を開き、「誰のための建築か」と問い直すことで真のニーズを感じとれるように、建築家自身が変わらねばならない。塾はそんなことを考える場でありたいと思っています。
「子ども建築塾」を加えたのは、あるとき美術館の依頼で子どもを対象にしたワークショップをやってみたら、みんな溌剌として、大人を対象にするよりもおもしろく、「一日だけでなく、一年を通して建築について考えてもらったら、一体どうなるだろう」と思ったのがきっかけでした。
カリキュラムは「いえとまちって何だろう?」というテーマにそって、建築の基礎知識から、設計や模型制作、プレゼンテーションの仕方まで、建築学科の大学生が経験するような内容を一通り経験できるようになっています。
子どもたちの理解力は高く、模型のつくり方や縮尺など技術的なレベルアップもすばらしい。縮尺100分の1の模型などもすぐにつくってしまいます。講義で学んだ概念を、ワークショップで実際に手を動かして実体験することで、しっかりと理解し使いこなせるようになるのでしょう。
ただ僕としては建築技術の教育よりも、もっと感性を伸ばすようなことをやりたいと思っています。建築に特化するのでなく、もう少し一般的な、感受性豊かな子になってくれることを目指しているのです。
●常識を超える刺激に、ダイレクトに反応
おもしろかったのは、ある建築家がデザインした家を見学したときのこと。全面ガラス張りのデザインなので周囲から丸見えという奇抜な家を見て、子どもたちはとても驚いたようでした。対応してくれた家主に対し、「なんでこんな変な家を頼んだんですか」「あんなお風呂、入れないでしょう?」といった率直な質問まで飛んだほど。「すごく楽しいし、慣れれば、お風呂も気持ちがいい」という家主の答えにも、子どもたちは怪訝そうな顔をしていました。
ところが、一週間後の授業で「住みたい家」を描かせたら、広々として気持ちよさそうなお風呂や、天井から光が差し込むシャワールームなど、ガラスの家で見たことがあちこちに“直輸入”されていました。子どもは本当にダイレクトに感化されますね。はじめは、「家って、こういうもんじゃない」って常識的にとらえていても、何かしら気に入った部分を見つけて「こういうのも、ありなんだ」と感じると、そこで急に発想が広がるんでしょう。
塾で学ぶうちに、社会性を身につけた子もいます。たとえば、すごくシャイな男児で、はじめの頃はなかなか自分を開かず、発表の時間でも前に出たがらない。出ても、照れ隠しなのかぶっきらぼうな言葉遣いで、家のデザインも一人で住む家しか描かない。でも、一年後には発表もできるようになり、絵も何人かで一緒に住める家に変わっていました。塾をやっていて、こんなところにも手ごたえを感じます。
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これからの時代や社会の期待に応えることができる力をつけたい。社会の最前線で闘っているプロにとっての使命がそのまま子どもたちとの協働課題になり、子供たちの学びとなっていく。
これこそ仕事体験の真髄のように思います。今回は次代を考える建築設計事務所の取組み例でしたが、社会の先端で活躍する企業や組織はたくさんあります。社会の先端をいく企業が学びの場として塾を興し、子どもたちとともに学んでいく・・・学校教育や仕事体験を超え出た、本当の学びが広がっていく予感がします。
投稿者 hoiku : 2017年05月18日 TweetList
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