| メイン |

2017年04月14日

学校の終焉~企業が学校をつくる時代

企業のCSR活動、とりわけ学校教育を支援する「教育CSR」が注目を集めています。

CSRとは社会的責任(Corporate Social Responsibility)。つまり教育活動の支援を通じて地域に貢献し、企業の社会的責任を果たそうというわけです。

もっとも一の般的なのが出張授業のスタイルで、たとえば経団連のCSRプログラムには、
味の素 「だし・うま味」の味覚教室
大阪ガス エネルギー環境教育
ソニー ソニー・サイエンスプログラム<ワークショップ>・・・
などが登録されています。

いまでこそ企業の社会貢献、教育支援は新しい潮流のように思われていますが、時代をさかのぼれば企業自身が学校をつくることも決して珍しいことではありませんでした。

今回は企業の手による学校づくりを考えててみましょう。

 にほんブログ村 子育てブログへ

以下(http://www.at-mhk.jp/chairmanblog/post_456.html)より引用します。
————————————
●企業や企業人がつくる学校の歴史は意外と古く、数多い

近年、特区法に基づき、特区(その多くは規制緩和が特例的に認められた市町村)でのみ株式会社による学校が認められた。しかし、近代以降の日本の学校の歴史の中で、企業や企業人によって誕生した学校は数多ある。

明治、大正の経営者たちは、今の経営者と違い、この世を去る前に、自己満足を放棄し、公共の利益の象徴である、学校創設にまい進した。蓄えた資産を学校建設に投じ、次世代の人材育成を最後の大仕事にした人は数えきれない。

日本の私立学校を歴史を調べていくと、私立学校のルーツとして企業が大きく関わっているケースが決して少ないとはいえない。大正9年、西宮に甲陽中学が誕生した。この学校の創始者は清酒白鹿で知られる辰馬酒造である。「明朗・溌剌・無邪気」という学校方針に表れるように、大正デモクラシーの中で人間の中に内在する自由を求める気持ちを呼び覚まそうという学校だ。

雲雀丘学園中学・高校はサントリーが経営面に大きく関わっている。灘校も酒造会社の経営者たちによる子女教育の学校である。武蔵中学・高校は東武鉄道の創立者、根津氏によってつくられた。

民間企業の論理は教育とは相容れないものだ、という〝官の側からのプロパガンダ〟を受け入れている人が多い。現在でも、われわれ特区の学校が、白眼視されるのは官僚とマスメディアのプロパガンダに拠る部分が多い。

慶應をつくった福沢諭吉をはじめ、経済原則と顧客志向の観点を欠いた官僚にいい教育といい学校経営が出来るはずがない、と看破した教育者、経済人がいる。(ちなみに福澤諭吉は生涯、官僚たちに異端視、白眼視されていた。)明治以降、教育の主導権をめぐって官と民のあいだの攻防戦は幾度となく繰り広げられた可能性がある。

アメリカに見習って、チャータースクール(公設民営学校)という行政との協調路線による学校経営も良いだろう。しかし、私は戦前、とりわけ大正時代の私立学校開校ムーブメントに帰って、企業や企業人の参画を得て子ども達と親たちに多様な選択肢を提供する本来の私立学校こそが教育の多様性を生み出し、自由闊達で、創造的な未来をつくる人材教育のよすがになると考える。

自立した創立者により、自立的な学校経営を行う中でしか、本物の”自立した人”を育成する仕組みは働かないと見るからである。私もまた、相当偏屈で、頑固で異端中の異端の学校経営者なのだろうと自認する。
————————————–

モンテッソーリなどの新教育が誕生し、日本へも紹介され始めた大正時代に、企業による学校創設が相次いだのは単なる偶然とは思えません。

日本の社会、日本の将来を考える企業人が官製教育の問題を見抜き、自らが未来のための人材育成に尽力すること。当時の企業人からすれば当たり前のことだったのだと思います。現在CSRとかいわれているのは、企業人が自社の利益のことしか考えなくなってしまったその反省から、本来の役割に回帰しようとする現象なのかも知れません。

これまでも、トヨタ自動車の豊田工業大学、三菱グループの成蹊大学、日本通運の流通経済大学など、有名な企業系大学駕ありましたが、最近では日本電産が100億円の資産を京都学園に投じて未来の人材育成に本格的に乗り出すというニュースも耳にします。上記の特区法に基づいた中学校、高等学校も数多く設立されています。

既製の学校制度が終焉を迎えるなか、新しい教育に挑む企業が登場してくる土壌は整った。企業が学校をつくる時代はすでに始まっているのかもしれません。

投稿者 hoiku : 2017年04月14日 List   

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://web.kansya.jp.net/blog/2017/04/5515.html/trackback

コメントしてください