| メイン |

2016年12月20日

子育て支援に高齢者活躍3~江戸川区すくすくスクール2

江戸川区すくすくスクールの続きです。

学童保育だけでなく、中学生の職場体験や、0歳児には保育ママ制度など他ではない制度もあります。教育に力を入れる自治体は強いですね。

――「地域ぐるみ」で子育てを支援するというのは、確かに江戸川区ならではです。ちなみに、中学生以降はどうなのでしょうか。

中学校2年生を対象、「職場体験」というものを行っています。これは、1週間、通常の授業を中断して、2年生全員が区内の事業所の現場を体験しに行きます。丸1週間、それに没頭してもらうのです。

数日間の職場体験を実施する自治体はたくさんありますが、丸1週間続けるのはここしかありません。

区内には5000人強の中学2年生がいますが、みんなもれなく、どこかの事業者に預けます。5000人もの人を預かってもらうために、現在、1600事業者に協力してもらっています。2005年からスタートしましたが、そのために私も工場や商店など、あらゆる団体に出向いて、「受け入れをお願いします」と言って回りました。

江戸川区5

実施から8年が経過し、事業主の方から「1週間続けることがいい」との声をたくさんいただくようになりました。3日ぐらいだと、なかなかモノにならないようです。しかし、不思議なことに、4日目あたりから、あいさつの仕方や働くことへの理解が変わってくるのだそうです。

 にほんブログ村 子育てブログへ

こんな話もありますよ。ある魚屋さんでは、子どもを朝4時から河岸(魚市場)に連れて行った。そのお礼に、お母さんがケーキを持ってきてくれたのだが、主人は「ケーキはいらないから、魚を買ってくれ」と言ったそうです。もちろんジョークですが、大人同士のコミュニケーションや地域の活性化にもつながっている、ということです。

この事業は、地域の協力がなければできません。「地域ぐるみ」で人を育てる、とはこういうこと。先生による学校の授業とは、ひと味違うのですね。
保育ママ活用にも信念

――「地域ぐるみ」での取り組みは、簡単にできるものではないと思います。背景として、江戸川区にはどのような風土があるのでしょうか。

子どもを家庭的な雰囲気の中で保育する「保育ママ制度」(編集部注:区が認定した保育ママが、自宅で子どもを預かる制度)が浸透していることが、その理由のひとつかもしれません。全国に先駆けて、1969年から実施しています。これも地域の理解と協力がないとできない事業です。

江戸川区は1970年代前後、高度成長期の保育急増時代に「保育所が足りない」と問題になったのですが、いたずらに施設を増やすことはしませんでした。「0歳や1歳児を無条件に保育園に入れるのはどうか」という考え方もあり、「少なくとも0歳児は公立保育所では預かりません」、と宣言したのです。?

そこで、経験のあるママさんに子どもを預かっていただくことになりました。現在は、ほかの地域よりも圧倒的に多い、200人ぐらいの保育ママさんがいますよ。

江戸川区6

子どもたちは成長するにつれて、たとえば小学校・中学校などの入学時や成人式などの節目に、保育ママさんにあいさつに行くようです。保育ママとしての保育期間を終えても、いわば「育ての親」として、保育ママと子どもたちのお付き合いが、ずっと続きます。また、子どもを預ける両親にとっても、保育経験のある保育ママが、親代わりや相談相手となってくれるため、いい勉強になるのです。

――そもそも江戸川区はなぜ、若い夫婦が多いのでしょうか。

ひとつは、「交通の便利がよいところだから」だと思います。車でも電車でも15分ぐらいで都心へ移動できるので、会社勤務をされている若い世帯が引っ越して来やすいのでしょう。住宅費が都心に比べて安いことも、大きな理由だと言えますね。

また、自然環境にも恵まれています。荒川と江戸川という大きな川が流れ、海があることもあり、45年前から公園作りなどの緑化対策をせっせとやってきました。そのかいあって、自然公園の総面積は23区でいちばんです。区内の木の数も45年前は120万本(区民1人当たり2.5本)でしたが、今は600万本(区民1人当たり9.2本)まで増えました。
子どもと高齢者を支える意味

――区の今後の課題については、どのようにお考えですか。

子どもの数は多いのですが、その伸びが止まってしまいました。9年ほど前から、子どもの人口と高齢者の人口が逆転し、30歳代だった区民の平均年齢が40歳に突入してしまっています。

少子・高齢化の時代を迎え、今後はその対策が課題であることは間違いないでしょう。区民が力を発揮していただけるのか、自発的な取り組みを続けてくださるのかなどがポイントで、そのためには区としても「仕掛け」を続けないといけません。

少子・高齢化対策を解決する力は、高齢者も持っています。江戸川区は健康の問題をそうとう早くから手掛けてきました。シルバーセンター(高齢者の雇用支援事業)を全国に先駆けて立ち上げたことをはじめ、「くすのきカルチャー教室」「くすのきクラブ」の活動、「リズム運動」など、さまざまな取り組みを実施してきました。その成果として、お年寄り1人が負担する医療費は23区で最も低い。介護保険第1号被保険者認定率は、現在14%ぐらい。高い地域だと、20%ぐらいあるのではないでしょうか。江戸川区は元気なお年寄りが多い、ということです。

「なぜ、子どもと高齢者向けの取り組みだけなのか」という、(批判的な)区民の声もあります。ただ、私はこう言うのです。子育てと高齢者にしっかりと向き合えば、真ん中の人=働く世帯の方が(子どもと高齢者の問題で悩まずに)安心して働けることにつながるのですよ、と。

支える世代、支えられる世代、それぞれが持っている力を発揮し、それがまとまるとそうとうな力になります。地域社会を支えるのは制度やシステムよりも、住民の力なのです。

 

投稿者 hoiku : 2016年12月20日 List   

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://web.kansya.jp.net/blog/2016/12/5303.html/trackback

コメントしてください

*