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2016年03月29日
会社組織で村を復活 岡山県津山市「合同会社あば村」の取り組み②
あば村の続きです。高齢者の活躍としては特筆されていませんが、どう考えても、主力は年配者。お父さんは外で現金を稼いで、高齢者は地域のために働き、地域でお金が廻る。良いですねえ~
会社組織で村を復活 岡山県津山市「合同会社あば村」の取り組み②
合同会社とは
「合同会社」という法人の形態について簡単に説明します。日本の合同会社は、出資額を限度とする間接有限責任を負う社員(出資者)だけで構成される会社のことです。
株式会社と似ていますが、株式会社では代表取締役などが業務執行・代表機関となるのに対して、合同会社では出資者全員が代表です(ただし業務執行社員を決めることができます)。また、株式会社では出資の割合に基づいて行われる利益の配分も、合同会社では任意で決めることができます。つまり株式会社に比べて、合同会社は組合的な要素を持っているのです。
広がる「あば村」の取り組み
「あば村」はガソリンスタンドの経営に加えて、2014年9月にはスーパーの商品を戸別配達するサービスを開始しました。事前に独居や2人暮らしの高齢者宅に商品パンフレットを配り、電話などで注文を取りまとめて発注します。そして、あば村の事務所に送られてくる商品をスタッフが手分けして届ける仕組みです。価格は店頭と同じですが、代金の1~2割を手数料として別に受け取ります。サービス開始当初の売り上げは月10万円前後でしたが、2014年12月には20万円を超えるなど、需要は増えています。
「あば村」では、間伐材や未利用材をチップ化し、あば温泉の燃料として使う「木の駅プロジェクト」の運営も行っています。阿波地区は、地域の94%を山林が占めています。しかし、木材価格の下落もあって、間伐材が放置されたり、間伐そのものが行われなかったりするなど、山が荒廃していました。そこで、間伐材を破砕処理して、地元で消費する取り組みが始められたのです。現在は、地区外にも集荷地を拡大し、一般家庭向けの薪に加工して販売することも計画中です。
「あば村」という会社を通じての活動のほかにも、阿波地区ではさまざまな取り組みが行なわれています。2008年に発足したエコビレッジ阿波推進協議会が環境にやさしい村づくりのために行なっている「アヒル米」づくりも、その1つです。これは田んぼにアヒルを放して、雑草や害虫などを食べてもらい、糞はそのまま肥料になるという、有機無農薬の米作りの取り組みです。
「あば村」の取り組みの意義
日本は現在人口が減少しつつあり、多くの自治体や地域がなりゆきに任せていては消滅する可能性があることは、JFSのニュースレターでもご紹介している通りです。住民出資で会社を興す阿波地区の取り組みは、地域の自治と存続のための新しいモデルを示してくれています。
地域の産業を地元住民の手で担うということは、地域外にお金が漏れずに、地域内で循環することを意味します。地域創生の文脈でも「経済の循環が大切だ」とよく言われますが、こうした点からも、阿波地域の取り組みは重要です。
たとえば、ガソリンスタンドを東京に本社がある会社が運営する場合、売上の一部は本社に吸い上げられます。ガソリンスタンドのメンテナンスを行う会社や、会計なども、地元以外で賄われる可能性が高いでしょう。
その点、住民出資の事業の場合、地元に残る売り上げの割合は高くなります。つまり地域からお金が漏れにくい仕組みなのです。メンテナンスや会計などの仕事を地域内の企業で賄うことができれば、さらに地域内でお金が循環していくことになります。また「木の駅プロジェクト」では、今までエネルギー購入のために払っていたお金の一部が地域内に残り、地域の中で使われることになります。これも経済循環を考える上でも、重要な取り組みです。
投稿者 hoiku : 2016年03月29日 TweetList
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