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2014年09月11日

新たな介護の可能性9 事業化の検討:成功事例の『集め方』『広げ方』『つなげ方』


地域社会
画像はこちらからお借りしました

■はじめに
みなさん、こんにちは。

前回の記事では「都市部で高齢者が生きがいを持って生活できる社会を形成する」と題してお話をしました。地方の事例に続いて都市部。都市部で高齢者の役割を創出し、それを事業化し、成功している事例をご紹介したところです。

で、今日のお話は、その事例から「成功のポイントを学ぼう」というものです。その切り口として考えたのが『集め方』『広げ方』『つなげ方』です。

事業主一人では何も出来ません。したがって、協働者(働き手)や顧客を集める必要があります。そして、事業を拡大し、成立させる必要があります。事業を拡大させるには、協働者と顧客をつなげる必要があります。

都市部において、顧客と協働者の需要(期待)をマッチングして事業として成立させる。そのためには何が必要なのか?『集め方』『広げ方』『つなげ方』という視点をふまえて考えてみたいと思います。

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■事例分析

1) 『ベアーズ』
企業HPベアーズ
参考

◆事業内容
家事代行、ハウスクリーニング、キッズ・ベビーシッター、オフィス清掃、ホテルサービス、介護支援、その他様々

◆会社の理念=志
「女性の愛する心を応援し、家事代行という新しい産業を作る」

◆特徴
「プロ」として仕事に取り組む集団を形成している。⇒研修制度でプロの協働者(働き手)を育成
・協働者(働き手)には年齢の制限がない。結果として、高齢者にプロとして働く場を提供している。登録制。
・時給は概ね1000円。家事代行としては平均的な収入を保証している。自宅から通える範囲が仕事の場。

◆顧客の「集め方」・「広げ方」
・主たる担い手は、事業者。ホームページで、家事代行やハウスクリーニングのニーズを受付けるほか、企業営業から継続顧客の発掘を行っている模様。TVコマーシャルもあり。
・家事代行等の料金は、決して安くない(単発依頼で3時間12,000円程度)。しかし、それに見合う高い成果から口コミの広がりもあると思われる。

◆協働者(働き手)の「集め方」・「広げ方」
・主たる担い手は、事業者。顧客を集めるのと同時に「働く人募集」を行っている。
・年齢制限がないことと一定の収入が確保できることから、時間のある主婦層や高齢者の間で口コミで広がっている面も多分にありそう。

◆顧客と協働者の「つなげ方」
・主たる担い手は、事業者。顧客のニーズにマッチする協働者を現地に派遣する
・協働者は、ネットで自宅周辺の仕事情報を検索して申し込むことができる。
・成果が低いなど、何かあったときは、事業者が顧客に対してフォローする体制を組む。

2)『横浜ダンデライオン』
企業HPダンデライオン
参考

◆事業内容
子育て支援事業・・・詳しくは⇒リンク

◆会社の理念=志
「私たちは、ワーキングマザーとそのファミリーの幸せを応援します。」

◆特徴
・ワーキングマザー(顧客)に向けて、里親的に安心して子供を預けられる「おばあちゃんち」を提唱している。⇒リンク
・協働者(自分の家で預かり保育する当事者)に向けて、「グランマおばあちゃん」の社会的役割を呼びかけている。⇒リンク
・呼びかけの内容は、現在の社会的問題を正面から捉えて「志」を喚起するもの。
グランマおばあちゃんには年齢制限なし。したがって、高齢者に限らず若い世代も参加可能。
・グランマおばあちゃんには、教育免許が必要としているが、研修によってそれに代えられる。
事業者の呼びかけの共感者であることを条件にしている
・今のところ活動の場は、横浜周辺に限られる模様。
・設立して1年ほど。これからの活動に注目。

◆顧客の「集め方」・「広げ方」
・事業主が長年勤務した2つの幼稚園が、「おばあちゃんち」を推奨。
・事業者が、ホームページでの呼びかけ。
・横浜ビジネスグランプリなど、地方自治体の推奨事業としてアピール。
・テレビ神奈川で特集コーナー

◆協働者(働き手)の「集め方」・「広げ方」
・高齢者が主なターゲットであるためSNSなどでの人材募集や人つながりには期待していない。現在の主な手法は、チラシと口コミとなっている
・ホームページで顧客と協働者の両方の募集をかけている。
・おそらく、グランマおばあちゃん=預かり保育をする人材の確保が課題と思われる。

◆顧客と協働者の「つなげ方」
事業者が、幼稚園もしくは企業とつながってニーズを発掘。そのうえで協働者(預かり保育を行う当事者)とつなげるスキーム

3)『かい援隊本部』
企業HPかい援隊本部
参考

◆事業内容
人材派遣業、有料職業紹介事業

◆会社の理念=志
「社会貢献事業として介護分野の深刻な人手不足を解消するために、かい援隊本部は事業を開始しました。これからの社会の主役である孫・子の世代から、せめて重い介護の負担だけでも取り除きたいという想いからです。」 詳しくは⇒リンク

◆特徴
高齢者による高齢者介護を、人材派遣業として事業化している。
・社会貢献としての事業に対して「共感登録」という制度をとっている。
・共感登録は、介護の働き手の登録のみならず、知り合いの紹介やイベントへの協力、共感資本の出資からなる。
介護を行う高齢者が通える範囲(概ね1時間圏内)が派遣の範囲になる。

◆顧客の「集め方」・「広げ方」
・事業者が人材の派遣先(高齢者施設など)を探し、営業をしているものと思われる。
・自前でデイケアサービスセンターを立ち上げようとしている。
・人手不足の業界であるためか、介護をする当事者が高齢者であることを派遣の条件に組み込んでも成立する。

◆協働者(働き手)の「集め方」・「広げ方」
・代表のもと勤務先(大手生面保険会社)の人脈から紹介してもらう。口コミ、人つながり
・顧客(高齢者施設の運営者)と協働者を一同に集めて会社説明会を行う。
・メディアで取り上げられることで共感者増加。高齢者同士の口コミの広がりもあると思われる。
共感登録のシステムで裾野を広げる工夫をしている。共感登録については⇒リンクリンク(←PDF)

◆顧客と協働者の「つなげ方」
・人材派遣業としてマッチングする他、有料職業紹介事業として求職者と職場をつなげる取り組みを行っている。

4)『Asmama』
企業HPAsmama
参考

◆事業内容
インターネットメディア事業、リアルコミュニティ事業、情報発信事業

◆会社の理念=志
「ママとしてパパとしてイキイキ生きられる社会」を、「ママのようにパパのようになりたいと子どもたちが思える社会」を、自分たち自身で創っていくために具体的に行動する人間の集合体です。 詳しくは⇒リンク

◆特徴
子育てシェア(顔見知り同士で子どもの送迎や託児を頼り合うネットの仕組み)を主催している
・子育てシェアは、近所の知り合いに子守をしてもらう感覚。時間当たり500円程度の謝礼のみ。
・顔見知りになるための「親子交流イベント」を主催し、子育てシェアのネットワークを広げる。
・事業者は、上記イベントと子育てシェアのフォローを徹底して行っている。(ママサポーターと呼ばれる事業者側の人が担当する)
「子育て」を前面に出しているが、子育ての当事者を収益の対象としていない(イベント参加もほぼ無料)。
事業収益は、親子交流イベントなどに協賛する企業から得ている
事業者は、親子同士や協賛企業を集めるネットワークづくりと拡大、およびフォローに注力
・ネットワークづくりをビジネスにするという新しい発想の事業を高度にシステム化して統合している
・インターネットの比重が高いことから、高齢者は対象にしていないと思われる。

◆顧客の「集め方」・「広げ方」
・子育ての当事者は、イベントを通じて集まり、つながる。その後は、口コミ。
・収益の対象となる企業には、事業者が営業し協賛してもらう

◆協働者(働き手)の「集め方」・「広げ方」
・子育ての協働者は、普通の親同士が子守を行うものであるため、子育てのための特段の教育は不要。
・事業者側のママサポーターは、ネットで募集している。
・子育てシェアのサービスを受けた親の中からもママサポーターを採用していると思われる。
ネットと口コミが、集め方・広げ方の中心

◆顧客と協働者の「つなげ方」
・事業収益の対象となる顧客=協賛企業と子育てシェアの当事者=協働者の間には、直接的な接点はない。
・協賛企業の製品を購入することでつながる。

 

■成功のポイント・・・事例分析からわかったこと
ここまで4件の事例を同じ切り口で見てきました。事業の内容が違いますから、それぞれに「集め方」「広げ方」「つなげ方」は異なっています。が、一方で、4件に共通する成功ポイントも見え隠れします。以下、そのような成功ポイントを考えてみます。

●『志』に共感して「集まる」「広がる」「つながる」
まず、どの事業者も共通して、社会的な地平で事業を位置づけ、具体的な役割を打ち出しています。これ、すなわち事業者の 「志」 です。
かつては、家事代行などのサービス業でも、利便性やスピード感、そして料金の妥当性など、人と人のつながり以前の部分にサービスのウェイトがあったと思います。が、現在はそうではない。
横浜ダンデライオンの“おばあちゃんち”、Asmamaの“顔見知りによる子育てシェア”の事例など見ると「信頼」や「安心」が顧客の主たる期待であることは明白です。では、その信頼や安心の背後にあるものはなにか?

それが『志』でしょう。自らの役割を、社会的な地平と重ね合わせて「人の役に立ちたい」と思っている人がいる。そんな人からサービスを受けたい。顧客はそのように考えているわけです。もっと言えば、顧客自らが相手の志に共感したいと願っているようにさえ感じます。
いずれにせよ、何よりも、事業者に必要なのは『志』。協働者、顧客のいずれもが「集まる」「広がる」「つながる」ための要は、志に共感することです。

●「集め方」 と 「広げ方」
次なる共通事項として見えてきたのが 『口コミ』 です。もっとも根源的な「集め方」と「広げ方」は、『口コミ』であると考えてよさそうです。各事例とも、ネットやチラシなどによる呼びかけも並列しますが、最終的には「相手がどんな人か」 と 「中身はどうか」いう部分に集約されるようです。

口コミと聞くと、知り合いから「あれ、イイのよ~」などと聞いた内容が、口づてで広がっていく噂話的な拡散が連想されます。が、これが馬鹿に出来ません。なぜなら、口コミの根本にあるのは“イイ”という充足感を信頼できる相手に伝えて共に充足したい、という人間の本源に位置する想い(=動因)だからです。逆に言えば、信頼できない人には、充足の伝播=口コミをしたいなんて思いません。口コミとは、信頼のつながりであるわけです。

ここで、多くの人の評価が、社会的な地平にあるに集まりつつある現状を加味すると、問われるのは「中身」ということになりそうです。単なる噂話ではなく、信頼や安心をもとにした現実のサービスの中身、その結果得られる充足の中身、そして、充足した中身を支えるのが志をもつ人なのだ、と一筋につながらないと評価されない。逆に言うと、そこがつながれば、顧客が集まるだけでなく、協働者(働き手)も集まる。すなわち、口コミで広がっていくという成功のループが生まれるのだと思います。

●「つなげ方」
事業者の力量が試されるのが、この「つなげ方」です。4事例の事業者は全て、自ら「つなげる」部分を担っています
ここでいう「つなげる」とは、顧客のニーズをつかみ、協働者(働き手)の力量を把握したうえで、両者をつなげるということです。そうして初めて事業が動き出すのだ、と改めてわかりました。そうなると、事業者に必要なのは、“営業力”であり“マッチング力”ということになります。

加えて、ベアーズや かい援隊本部の事例からは、サービスを提供する協働者(働き手)の人材育成も主たる課題に並んでくることがわかります。Asmamaも子育てシェアをサポートするママサポーターという役割を事業者側に置いています。どんな事業も“サービスの中身=サービスを提供する人材”を育成し高度化することが、当然ながら課題になるということです。

自らは主たるサービスである家事代行や子守はしない。その代わりに、ネットワークの拡大と人材育成に注力する。これが4事例に共通する事業者の姿。これを見ると、事業者の役割とは、ネットワークビジネスの上位者に通ずる「つなげ方」なのではないかと思えてきました。

●「地域」という範囲
最後に、4つの事例に共通する事業範囲= 「地域」 について考えます。

ベアーズやAsmamaは、全国に事業展開しようとしていますが、事業の末端、すなわち家事代行や子育て支援といった仕事は、市町村程度の範囲=「地域」のつながりのなかで行っています。横浜ダンデライオンや かい援隊本部も同様。どちらかといえば、もっと地域密着型の事業のように思われます。

これは、協働者(働き手)の動ける範囲が住まい周辺に限られるという事情と考えられます。が、それをマイナスの条件と考えず、地域を拠点に、口コミで顧客も協働者も集めるよう事業編成していると捉えられます。地域を拠点に、人つながりを生み出しているといえるでしょう。

大手人材派遣会社は、大々的に広告を打って、顧客となる企業郡を発掘。大量に人を派遣して収益を上げるシステムを確立しています。一方、紹介した4事例は、これとは全く逆のやり方で事業展開しています。たとえるなら、サザエさん三河屋さん。大きな利益は上げられませんが、地域の信頼を得て、確実に事業を継続できるシステムを生み出そうとしています。

志をベースに、信頼と安心のネットワークを広げていく事業としては、対面関係=「地域」という範囲は無視できません。したがって、まず最初の可能性は、地域に求めるべきだろうと思えてきました。
今日のお話は以上です。
引き続き、高齢者の役割創出⇒事業化の可能性を探索していきます。

長々と失礼いたしました。

投稿者 hayabusa : 2014年09月11日 List   

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