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2012年02月21日
『安心基盤をつくっていくには?』:番外編 インドの伝統医学~アーユルヴェーダについて
坐を組んで瞑想する人 (インダス式紋章) 画像はこちらからお借りしました
今回は番外編として、代替医療として注目されているインドの伝統医学アーユルヴェーダの紹介です。ヨーガもここから来たものなのですよ
アーユルヴェーダは、現存する伝統医学の中では最古のものです。
その起源は、下記の4つのヴェーダ文献(バラモン教の経典)にあります。
・『リグ・ヴェーダ』 最初のヴェーダ文献 紀元前15世紀
・『サーマ・ヴェーダ」
・『ヤジャル・ヴェーダ』
・『アタルヴァ・ヴェーダ』
上記4つのヴェーダの中から、生命に関する知識を集大成したウパヴェーダ(副ヴェーダ)が『アーユルヴェーダ』で、その起源は今から3500年前に遡ります。
ウパヴェーダには、アーユルヴェーダ(生命の科学)以外にも、スターパティヴェーダ(建築学)、ガンダルヴァヴェーダ(芸術学)、ダヌルヴェーダ(兵法)などがあります。ヨーガもヴェーダを起源とする知識なんですよ。ヨーガの起源を示す遺跡物としては、ハラッパーの遺跡(インドとパキスタン)にあるヨーガのポーズをする彫像が有名ですね。これ以外にも多くの種類のヨーガの彫像がハラッパーやモヘンジョダロをはじめとする紀元前3000年頃の遺跡から出土されています。その後、アーユルヴェーダやヨーガは、チベット、ペルシャ、中国、タイ、インドネシアなどに伝えられ、それぞれの場所における伝統医学の確立に役立ちました。
では、アーユルヴェーダの中身を見ていきましょう。
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1.「アーユルヴェーダ」の意味
「アーユルヴェーダ」とは、「生命の科学」あるいは「寿命の科学」という意味を持つサンスクリット語。病気の治療のことばかりを問題にしているわけではなく、病気の治療と予防、さらには健康の維持増進や若返りなども目的とした生命の科学なのです。
2.アーユルヴェーダの考え方
①体と心の変化はどのように起こるか
ある現象の基礎には、あるエネルギーが働いており、それによって脈や呼吸、さらには心まで制御されている。これらのエネルギーは”ドーシャ”と総称されており、人体内の心や体の動きが1日の中で、季節によって、年齢によって変動すること、個人差があることなどは、このドーシャの作用するバランス状態によって起こるものだとアーユルヴェーダは考えます。
②体の3つのエネルギー
・風のエネルギー(ヴァータ)=運動のエネルギー
:体内における運搬、循環、細胞を分解する働きを制御
・火のエネルギー(ピッタ)=変換のエネルギー
:代謝、消化を制御
・水のエネルギー(カパ)=結合のエネルギー
:構造や体力を維持し、細胞を作る働きを担う
人体でたとえれば、カパはカルシウムとリン、たんぱく質をくっつけて構造を維持する水のエネルギーの役目をし、ピッタは胃の中に入ってきた食物を血や肉に変換します。3つのドーシャがバランスよく働けば健康で、アンバランスになると病気の過程が進行します。
③なぜ病気が起きるのか
アーユルヴェーダは、自分の体は自然の一部として自然界で起こっていることの相似的現象として捉えています。たとえば、体内で起きている種々の生化学的・生理学的反応を、木を燃やして飯盒炊飯をしている状況にたとえています。ヴァータは吹く風(風のエネルギー)、燃える火がピッタ(火のエネルギー)、載せている飯盒の中の米と水はカパ(水のエネルギー)です。3つのドーシャがバランスしている状態とは、ちょうど良い風(ヴァータ)が吹いて、ちょうど良い火(ピッタ)が起き、ちょうど良い量の米(カパ)を炊いている状況です。そうすると美味しいご飯が炊け、それを食べると栄養になるから元気で健康になります。一方、3つのドーシャがアンバランスになったとします。たとえば、風(ヴァータ)が強くなりすぎたら、炎がゆらゆら動いて、火が強く当たる場所と当たらないところができたりします。そして、まばらに炊けた米になります。これでは、まずくて食べても消化できない未消化物を作ることになります。火(ピッタ)が強すぎると焦げて、水(カパ)が多いと半煮えになります。このような状況で未消化物(アーマ)が作られます。このような未消化物は、アーユルヴェーダではアーマと呼びますが、粘着性が強く、体内の通路を閉塞させてしまうことで、種々の病気や老化を起こす素になっています。
④病気が起きる5つの要因
未消化物(アーマ)が蓄積する要因を次の5つとしています。
・体質(生まれつきの性質)
・時間(1日、季節、人生)
・日常生活(一挙手一投足、食事、行動、心)
・場所(環境条件)
・天体(太陽、月、他の惑星)
最後の天体がわかりにくいかもしれませんね。たとえば、心の病は太陽の多い南の島に移ると治るとか、満月のときに出産が多くなるとか言われますね。あれです。
⑤病気と健康の位置づけ
どこからが病気で、どこまでが健康なのか。これについては、アーユルヴェーダは他の医学と一線を画しています。
・西洋医学
病気でなければ健康と定義
・中国医学あるいは漢方医学
病気が発症する前の状態を未病として定義し、その前に手を打つことをすすめています
・アーユルヴェーダ
中国医学で未病としている状態をさらに4つに細分化して病気の過程を克明に観察し、
それを防ぐ手立てを持っていました。
このように見ると、病気に対する見方やかかわり方が変わってきますね 😯
アーユルヴェーダの医師はヴァイドヤと呼ばれ、心理学や気候学、占星術についての知識も持ち合わせています。現在インドでは、100校を越す医科大学と主要都市には大学院、アーユルヴェーダ関連研究施設が整備されており、インド国民の8割以上がアーユルヴェーダ医師(ヴァイドヤ)の医療を受けているそうです。ちょっと驚きですね。
投稿者 shushu : 2012年02月21日 TweetList
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コメント
投稿者 mol
はじめまして、
ジムでヨガのスタジオに出ていますが、そんなに古い歴史だがあるとは思いませんでした。
フィットネスで、取り入れられるようになってから、まだ歴史が浅いというようなことはインストラクターに聞いたことがありましたが。