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2011年03月27日

新たな時代の教育制度の提言に向けてシリーズ-3~No.7 現在日本の教育制度制定のしくみ~

前回の記事のキーワードの一つ「臨時教育審議会」。ここで「ゆとり教育」を始めとする、その後の日本の教育政策が方向付けられました。しかし今や子供達の学力低下・学級崩壊等々、現代の教育崩壊状況は誰の目から見ても明らかですネ :cry: :cry:

何をやってもうまくいかない迷走状態の教育政策→教育行政。一体どういう風に決まっていくのか?今回はそのあたりを整理してみました。

近代(公)教育の大前提である「教育の中立性」。当然のように、それを大前提としたシステムになっているのですが…。調べてみると、有名無実とはこのことか、という結果に…。

まずは、キーワードの一つである「教育の中立性」から。

【教育の中立性】
(公)教育は、特定の政党や宗教、イデオロギーに支配されてはならない。これは、近代教育思想の柱の1つです。新教育基本法にも、「教育は、不当な支配に屈することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、…」(第16条)と記され、教育の中立性が法的に担保されています。
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法律で「中立性」が担保されている中、教育行政はどう運営されているのでしょう?
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まずは、中立性を前提にした教育政策→教育行政の概要を見てみましょう。

【日本の教育行政】
■国の教育行政
政策の策定→実施にあたっては、教育行政における課題を文科省より「審議会」に諮問→その答申を元に政策の具体化。文部科学省(以下、文科省)はその行政事務を行う。大きくは、こういう形で遂行されています。

審議会は、(公的)諮問機関の一形態ですが、
・国民各層の意見の反映
・専門知識の反映
・各種利害調整等
も含め、公正な立場で課題を審議→答申する機関とされ、教育の中立性を体現する政策意志決定スタイルと見て取れます。

■教育制度の制定・改訂等
代表的なパターンは、文科省が中央教育審議会(以下中教審)に諮問→中教審からの答申→その内容を受け文部科学省が政策の具体化→実施。
中教審は、下表に見られる構成となっていて、「部会」の傘下(表外)に更に「専門部会等」が組織されています。例えば「教育課程部会」の下には、小・中・校各教科毎の専門部会等が組織され、体制面から教育内容、施設設備から運用ソフト、教員養成も含め教育に係わる有りとあらゆる課題がここで討議され、答申がなされます。「中央教育審議会 表」
ちなみに、学習指導要領も大きな方向性が中央審議会で審議→答申され、その内容に基づき制定・改訂されていきます。

■教育内容の決定
大きな教育行政という視点では、中教審が主役となっていますが、その実施ツールとしての教科書は、「教科用図書検定調査審議会」が組織され、そこで各教科書の合否が審査→答申されます。
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と見てくると、教育行政の基本的な方向性は公正中立な審議を行う審議会より答申され、文科省はそれに対する行政事務執行機関として見て取れます。教育の中立性を実現するための教育行政システムですね…。

【実際はどうなのか?】
■審議会(公的諮問機関)
審議会は各行政機関が設置する諮問機関の一つ。諮問機関の設置は、国家行政法(昭和23年制定)によりその設置が法的に整備され、その目的は「行政の民主化」にあります。

諮問機関の委員は所轄行政機関の「長」が任命し、「学識ないし経験を有する者」を要件として任用される場合が多い。業界団体の代表者・企業の取締役・学識経験者・労働団体代表・市民団体代表・マスコミ関係者などで構成される事が多く、合議制で運営されます。

■私的諮問機関
この機関は、首相や大臣の諮問を受けて答申を出す機関。法令に基づいた機関ではないので、閣議決定や大臣の決裁で組織できます。「○○会議」とか「○○勉強会」という名称のものが多い。

有名なところでは、「教育改革国民会議」とか、最近では「検察の在り方検討会議」など。公的諮問機関に対し設置期間が短いものが多く、主に政策立案時期に設置されることが多い。逆に、公的諮問機関は、政策形成後期に諮問され、結論的な答申を行うケースが多い。

※諮問機関からの答申内容は法的な拘束力を持つわけではないが、委員の専門性や権威による社会的・政治的な影響は大きいとされ、実質的に政策立案が方向性付けられるケースが多い。

■中立で公正?
※中立で公正というならば
・委員の選定方法は、「長」や、「大臣」による任命。→これでいいの?
・諮問機関の運営は、各省庁の事務局。資料準備等会議運営のお膳立ては全て各省庁の事務局で行う。→資料準備・会議運営は事務局。これでいいの?
主催省庁、大臣の裁量で、何とでもなるシステムではないのか!

※諮問機関は、行政の隠れ蓑ではないか?
・既得権益を守る      ~委員の人選次第
・政策の正当性を担保する~委員の人選次第
人選次第で各省庁の思惑通りの結論を出すための機関として、機能させることができるのではないか!

※ちなみに教科書検定では、文科省の職員である教科書調査官により教科書に対する意見書が用意され、それに基づき委員会・審議会で審査されるようです。
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では、地方行政はどうなのか?

【地方の教育行政】
文科省の窓口は、教育委員会事務局。教育委員会は、地方行政組織から独立した組織として運営されています。教育委員会設置の目的は
・首長からの独立性 :行政委員会の一つとして独立した機関として運営される。
・合議制        :複数の委員による合議制。
・住民による意思決定:行政機関である教育委員会事務局を、(住民で構成される教育委員が)指揮監督し、専門家のみの判断によらない教育行政を実施。
とされています。教育行政の中立性という視点では、その実現に向けたシステムに見えます。

しかし…。
・教育委員は、地方公共団体の「長」が議会の同意を得て任命。
・教育長は、教育委員のうちから教育委員会が任命。

(教育委員会発足当時は、教育委員は「公選」であったが、それが政治闘争に利用されたため現在では「首長による任命制」に変わっています。)

どうも、国も地方も同じような行政システム。
【国も地方も同じ…】
・国 :各省庁-諮問機関、大臣-諮問機関~実務は、各省庁事務局
・地方:首長 -教育委員会          ~実務は、各自治体教育委員会事務局
そして、大臣・各省庁-首長/各省庁事務局-教育委員会事務局が繋がっている体制。

地方分権推進計画を背景とした地方自治法の改正により、それまでの国から地方への「機関委任事務制度」が廃止され、国の地方への(有無を言わさぬ)行政面での関与・監督は減りました。しかし、文科省は俗に「補助金官庁」と呼ばれ、文科省予算の70%超が補助金予算。それが、地方や直轄研究機関に分配されます。地方分権が叫ばれているおり、地方首長からいろいろな声が上がってはいますが、「金」を握っているのは結局は「国」。地方の独自性を発揮できるのは、限定的というのが現実だと思われます。

というところから考えると日本の教育行政は、「中立性」を標榜する体制となっていますが、その中身は「委員の人選」次第で、文科省と時の政権主導で何とでも舵が切る事ができるシステムです。「教育の中立性」というのはお題目にすぎないということですね。

【では、このままでいいのでしょうか?】
官僚や政治家の質の低下、無能化が叫ばれる中、このままでよいとはとても思えません。今回の大震災・原発事故に対する国民の意識に見られるように、国民の期待は「事実が知りたい」です。教育も同様で、「事実の教育」が国民の期待するところではないでしょうか。そのためには、「賛成多数」とか、「議長一任」なんていう会議では無理だと思います。
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教育の中立の前提である「政党や宗教・イデオロギーに支配されない」とは「事実の共有→共認」にあり、それにより「事実の教育」ができるのだと思います。そして、その主役はきっと「素人」で、「専門家」は邪魔者にしかなりません。それは、この間の教育行政の失敗や、原発事故対応をみても、はっきりしたのではないでしょうか。

投稿者 hajime : 2011年03月27日 List   

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コメント

教育にかぎらずなんでもかんでも政府(自分以外のだれか)に頼る考え方から抜け出せないうちは、あなたの人生のすべての課題と、また共通する日本国民全員の課題が解決に至ることはありません。

私が保証します。

投稿者 armedlovepower : 2011年3月29日 20:43

armedlovepowerさん

貴重なご意見、ありがとうございます。
ますます無能化する官僚や政治家・専門家と呼ばれる方達に、これからの日本を任せておく訳にはいかないと感じています。

教育に限らず、今何が必要なのか?どうしたらよいのか?皆が感じ・考え、それが社会に反映されていく。そんな社会になっていけば…と思っています。

投稿者 hajime : 2011年3月30日 19:42

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