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2010年03月13日

「婚姻論」の史的価値

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写真:イロコイ族(ウィキペディアより)

 社会が閉塞し、社会構造の最基底にある男女の規範や婚姻形態も、これまでの有り様は行き詰まって様々な問題が噴出しています。そして近年では性が衰弱の一途を辿っています。これからの社会に突破口を開く為には、改めて男女役割規範を再構築していく事が重要な課題になってきています。その為当ブログでも、
婚姻史シリーズ(1)~(30)
現行の『婚姻制度』~その中身と成り立ち 継続中
など時代を遡って男女規範や婚姻形態の構造を捕らえなおす追求が進められています。

婚姻史を紐解く上では、これまでに人類学者を始めとする様々な人が追求した既存の資料や論文があります。しかし、そうした資料も調査を行なった時代や研究の方法、研究者の価値観によって様々な解釈がなされ、一つ一つを鵜呑みにするわけにはいかないようです。

今日は、るいネットの最近の秀作から、「婚姻論の歴史」について語られている投稿と、婚姻史を学ぶ上で参考になるサイトをご紹介します。

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以下 るいネット 『 「婚姻論」の史的価値』 からの引用です。

(前略)
以前、「婚姻の歴史」ではなく「婚姻‘論’の歴史」を調べたことがあります。文化人類学とか社会人類学の範疇に入るのですが、フィールドワークに基づく実証主義を重んじているため、現在では、完全に行き詰っているという印象を受けまいた。(∵市場化によって、未開部族の多くが破壊されているため。)
従って、「婚姻の歴史」を調べるには、古い調査資料ほど(市場化による集団破壊がないため)、信憑性が高いということになります。

参考までに、以前調べた「婚姻‘論’の歴史」を掲載しておきます。
******************************
『知られざる人類婚姻史と共同体社会(家族・婚姻に関する人類学の系譜)』
■19C後半:社会進化主義
Morgan.jpgJohann_Jacob_Bachofen.jpg1859年に発表されたダーウィンの『種の起源』の影響を受けて、19Cの後半は、人類の社会形態についても、原初の時代から19Cの当時に至るまで連続的な発展段階を経て進化してきたと考えられていました。この考えを社会進化主義といいます。
※J・J・バッハオーフェンの『母権論』(1861)、L・H・モルガンの『古代社会』(1977)がこの流れにあります。
モルガンは、アメリカ・インディアンの親族名称が欧米のものとは異なっていることに着目し、親族名称が過去の時代の家族の発展段階を表していると考えて、人類社会の進化モデルに取り組みます。その結果、人類社会は原始乱婚の時代から血族婚家族、母系の半血族婚家族(いずれも集団婚)を経て、私有財産制の発展に伴って父系制に転換し、最後に一夫一婦制からなる核家族に到ったという立場をとりました。

写真左:J・J・バッハオーフェン(ウィキペディアより) 右:L・H・モルガン(ウィキペディアより) 

参考:家族・婚姻に関する人類学の系譜2(モルガン社会進化主義)

■20C初頭:機能主義
180px-Alfred_Radcliffe-Brown.jpg%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%8E%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD.jpg                                                 20Cに入ると近代科学の実証主義の影響から、モルガン社会進化主義(資料の信憑性や実証性)に対して痛烈な批判が加えられ、特に親族名称は学術的根拠足りうるかという点が批判対象となります。その結果、未開部族に対するフィールドワークが重要視され、歴史構造を普遍化することよりも、現存する未開部族の文化や社会がどのように機能しているのかを理解すること(=機能主義)が中心テーマとなっていきます。
※B・K・マリノフスキー『西大西洋の遠洋航海者』(1922)や、ラドクリフ・ブラウン『アマンダ島民』(1922)などの説が、機能主義と呼ばれています。
フィールドワークの結果からは、多夫多妻婚の事例が存在せず、実質的に社会進化主義(人類史における集団婚の存在)が否定されていきます。そして、一対の夫婦とその子供からなる家族が人類史の古い時代に登場し、未開部族においても普遍的に存在しているという見方が支配的になっていきます。(一夫多妻婚や一妻多夫婚などの事例も、一夫一婦婚の複合的な形態であると見なされました。)
写真左:B・K・マリノフスキー(人名力さんより) 右:ラドクリフ・ブラウン(ウィキペディアより)

参考:家族・婚姻に関する人類学の系譜3

■20C中盤:統計的解析、構造主義
23206014.gifmurdock.jpg                                         20Cの中盤になると、従前の機能主義の立場を踏襲しつつ、フィールドワークによって収集された民族データを基に、統計化や構造化の試みが行われます。
G・P・マードックの『社会構造(核家族の社会人類学)』(1949)では、民族データの統計的解析が行われると共に、(統計的な裏付け?の下)親族構造の基本単位として、核家族の存在がより強調されていきます。
他方、レヴィ・ストロースの『親族の基本構造』(1949)では、核家族の普遍性に疑問が投げかけられ、単体の家族の「機能」よりも、社会全体の中で家族同士の結び付きがどのような「構造」になっているかが着目されていきます。その上で、父系社会における「嫁入り」=「女性の交換」という社会統合の視点が導入されます。

写真左:G・P・マードック(人ミネソタ州立大学より) 右:レヴィ・ストロース(Mitleidの家さんより)

■20C後半:人類学の混迷→霊長類学の台頭
                                           20C後半になると、核家族とは異なる反証事例(インドのナーヤル人の母系社会など)が報告されたことによって、人類学の分野で家族の普遍性への確信や関心が薄れていきます。更に市場経済の拡大によって調査対象となる未開部族の社会が破壊され、実証主義→フィールドワークに依拠する追求が事実上不可能になっていきます。
文化・社会人類学で核家族論が混迷期を向かえた頃、霊長類社会と人類社会を比較研究することで家族の問題に言及しようとする動きが登場し、フィールドワークの対象が霊長類(サル)に向けられていきます。こうして、家族論のテーマは霊長類学に移行し、欧米に先駆けて霊長類研究を開拓してきた日本が、現在最先端の位置にいます。

 既存の資料や論文は新しいものになる程、観察対象が市場経済の発達以降の人種間交流や環境変化で本来の姿を残していないというのは、なるほどそうだと実感しました。その意味では、現代の霊長類研究のフイールドワークも同様の注意が必要なのだと思います。

実証主義においては、上記の様な古くからの集団の破壊の他、地域環境による個別性に偏った分析であったり、近・現代的な婚姻様式や家族形態を前提とした価値観に基づき、偏った分析がなされている点にも危惧を覚えます。

婚姻史を遡る上でも、偏った捉え方に陥らない為には、既成の価値観や特殊事例を基にして部分抽出した構造によらず、人類史の大半を占める始原人類や、そこに到るまでのサルの時代まで含めた普遍的な構造を捉える必要があるという事なのだと思いました。

■人類婚姻史を学ぶ上でお勧めのサイト
るいネット
生物史まで遡る人類の原基構造の解明から、現代的な問題まで、あらゆるジャンルのテーマを多くの人が協働で追求し、日々新たな認識が紡ぎ出されています。

知られざる人類婚姻史と共同体社会未開部族の婚姻様式などから、人類500万年に亙る共同体社会の原基構造に迫るブログです。

『婚姻論』付 世界の各部族の婚姻形態
るいネットにある便利データサイト内ニあるデータです。【婚姻史】『婚姻論』の付録資料。世界中の未開部族の婚姻形態の事例がまとめてあります。

投稿者 willow : 2010年03月13日 List   

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コメント

婚姻史の勉強をしたことが無かったので、とても勉強になりました!

>霊長類研究を開拓してきた日本が、現在最先端の位置にいます。
そうなんですね♪

るいネットの「『婚姻論』付 世界の各部族の婚姻形態」は、とっても面白い資料です!!歴史を勉強する中で、家族=結婚について焦点を当てても、新しい発見がたくさんあるなぁと、思いました!

投稿者 mame : 2010年3月13日 20:59

とても面白いです。

時代によって、見方が違うんですね。
「婚姻」に関しては、その時代の価値観に影響されやすいのは、なぜなのでしょう?

時代が進むにつれて、その傾向が強くなっているようにも思えます。

今は、夫婦一人づつが当たり前となっていますが、それ自体もあやしい?ってこと?

投稿者 miisuu : 2010年3月13日 21:35

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