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2009年02月28日

婚姻史シリーズ(19) ~父系制への扉を開いた近代的土地所有権~

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※日本最古の地券画像はこちらからお借りしました

庶民にまで父系制の婚姻が広がり始めたのは明治以降ですが、その扉を開くきっかけとなったものとして、近代的な土地所有権が日本に導入されたことがあげられます。

明治になり、西欧列強に伍してゆくために政府は様々な近代的法制度を導入してゆきました。
「富国強兵」、「殖産興業」といった言葉を学校の授業で習った記憶がありますが、西欧列強とうまく付き合いながら追いつくための目標・スローガンとして掲げられたものでした。

近代的土地所有権が導入されたのもその政策の一環として位置づけることができます。…

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●日本における農地の所有者を明確にしたものとして、秀吉が行った太閤検地があります。年貢を徴収するために田畑の面積を測り、それぞれの土地の所有者を特定しました。

●その後、江戸幕府によって、1643年に田畑永代売買禁止令が定められました。
江戸時代の農村では、村に対して年貢が課せられ、その年貢は村内で分担されていました。
そのため、農地をちゃんと耕作して収穫を上げることは村内全員の役割であり、互いに期待するものでした。農地の耕作をする役割は各戸に割り当てられており、うまく耕作できない家は放っておかれずに村内から人が割り当てられることもありました。
江戸末期になると貨幣経済が広がり、農民の中には農地を質にいれて生計費を得るということもあったようですが、質に入れながら耕作を続け、借りた金を返せば質から引き出せるといった仕組みだったようです。

江戸時代までの農地所有とは、耕作する権限があるといった意味合いであり、現代的な意味の所有権の所在ははっきりしません。
年貢を納める先の領主がいましたが、藩主であっても幕府によって移動させられたり改易されることがあるし、その幕府も天皇から役割を与えられている存在。そして、天皇であっても農地を勝手にできないという事情でした。要するに現代的な意味の所有権は無かったわけです。

●さて、明治維新を経て、政府は様々な制度を一気に導入しました。
明治初期から中期にかけて、制定された法律や制度の中で、土地所有権に関係のあるものとして以下のようなものがあげられます。(赤文字のもの)

・1868(明治元年)…大政奉還
・1869(明治2年)…版籍奉還、身分制度撤廃(四民平等)
・1871(明治4年)…廃藩置県、田畑の耕作物の制限撤廃
・1872(明治5年)…戸籍法施行、田畑の永代売買禁止の撤廃、「地券」の発行
・1873(明治6年)…徴兵令
・1874(明治7年)…地租改正布告
・1877(明治10年)…地租税率軽減(地価の3%→2.5%)
・1866(明治19年)…登記法
・1889(明治21年)…土地台帳規則
・1896(明治29年)…民法制定

●庶民の生活に直接的な影響を及ぼしたものとして、まず明治2年の身分制度の撤廃があります。
庶民にまで苗字が与えられ、それまで制限されていた、旧身分の違いを超えた婚姻や職業、住所、所有、交通などの自由が認められるようになりました。

●次に、明治4年に田畑の耕作物制限を撤廃、明治5年に田畑永代売買禁止令を撤廃し、農地の所有は「地券」によって裏付けるようにしました。

●そして、明治7年の地租改正によって地租(税)がお金で徴収されるようになりました。
政府は様々な政策を効率的に遂行するためにお金で税を徴収するようにし、納税者を明確にするために「地券」を発行して土地の所有者をはっきりさせました。

●租税の金納を強いられるようになった農民の中には、税負担を嫌がり土地を手放す者も多く、手放された土地を買い集めた大地主があちこちに生まれました。
日本社会で初めて、近代的な土地所有権を背景にした大地主が登場しました。

●以上のような事情を背景にして、土地所有の権利が私権として実効力を発揮するようになりました。
一方、政府は近代的中央集権国家を形成するために廃藩置県や戸籍法などを定め、上部の政治体制から末端のイエに至る統治体制を形成しようとしました。
明治5年の戸籍法では、戸主である男に家父長としての権利を与えました。

●単に勅令によって家父長権を認めると宣言しても現実は変わらないと思われます。
近代的土地所有権が導入され、それを背景にすることによって家父長権(男の権限)が実効性のあるものとなり、母系制から父系制への転換を促すきっかけになっていったとみなせます。 
 
by わっと

投稿者 wyama : 2009年02月28日 List   

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