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2007年02月06日

書籍紹介:現代家族の誕生-幻想系家族論の死

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の誕生―幻想系家族論の死
岩村暢子著/勁草書房/2005年6月

本日は、書籍の紹介です。

iwai

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かわいさん、クリリンさん、コメントありがとうございます。記事のつづきです。

★先日のエントリー 食事の仕方次第でキレる子どもが育ってしまう!?  にもありますが、『食と家庭』の視点から、子育ての問題、自己中や心の欠陥、学習意欲低下、体力低下、アレルギーetc様々な問題が浮かび上がってくるように思います。

⇒継続して追求要

●本書は、『変わる家族 変わる食卓』(勁草書房/2003年4月)を書いた岩村暢子氏による現代家族を知るための実証考察学の続編。前書では、1960年以後生まれの151世帯の主婦による一日3食の食事の記録により、家庭の食卓が崩壊しつつあることを明らかにしている。本書では、どうしてそのような崩壊が起こったのかを、前書に登場した主婦達の実母40人へのインタビュー『「親の顔が見てみたい!」調査』により検証したもの。

序章は「いま、ごく普通の家庭の日常の食卓は、想像を絶するほど凄まじく崩れ、激変している」という衝撃的な出だしからはじまるのだが・・・

ポイントは、現在の親たち(1960年以降生まれ)の母親世代の成育歴と価値観。
その世代の特徴として、

(1) 戦中・戦後の食糧難時代に成長期を過ごし、昔ながらの家庭の食を食べることなく育ったこと

(2) 戦前・戦後の価値観の転換や高度成長で次々に新しい電化製品や便利な加工食品が登場したこと、テレビや雑誌の情報などを通して、かつてのスタイルを拒否(否定)し、常に新しいスタイルに追いついていくべきと考え、それを実体験したこと

(3) 高度成長期の日本経済の恩恵を最も受けており、十分に子供に資金や時間をかけて育てていること、また自分たちのような苦労を子供達にはかけたくないという意識(→過保護)や自由放任主義志向(→個人・個性主義)も強かったこと

等々を挙げ、「現代主婦の食卓は、崩れるべくして崩れ、激変すべくして激変した」、それは「当然の結果だった」ことが論証されている。

また終章では「今日浮上しつつある深刻な家族問題や奇妙な社会現象のいくつかは、このような家族の歴史の上に、今ようやく顕在化し始めたことのように思えてならない」と結んでいるが、この点は私も全く同感。

食の崩壊のみならず、子育て崩壊、家庭の空洞化(「中身」の喪失→家庭幻想の死)の問題として捉えるべきであり、その意味で、昨年の教育再生会議で議論された「家族の日」云々といった『幻想系家族論』は全く意味を成さない=既に死んでいる、といってよいだろう。

●本書目次
序章 食の崩れの原因を求めて

第一章 結婚した娘をもつ母親たちの奇妙な発言
 1 自慢じゃないが娘は料理上手
 2 娘の料理は食べたことがない
 3 崩れた食でも娘には言わない
 4 娘に料理は教えなかった

第二章 元祖新人類の母親たち
 1 「食」の原点を喪失した女たち
 2 真似したくなかった昔ながらの食事
 3 「習う」ことなくさせられた「お手伝い」
 4 料理学校へ行き始めた女たち
 5 墨塗り教科書──「新教育」で育った女たち
 6 古いものを否定した女たち
 7 働き出した女たち
 8 遊び始めた女たち
 9 夢は「家つきカーつきババア抜き」

第三章 激変する台所と家庭の食
 1 卓袱台を捨てた主婦たち
 2 コンロから電子レンジまで、台所の激変
 3 便利な家電と家族の変化
 4 都市化と食のクロスオーバー
 5 日本の食が変わった時代
 6 「新しいもの」「違うもの」がご馳走
 7 インスタントと食の近代化
 8 「素材発想」から「メニュー発想」へ
 9 「素」がなければ作れない

第四章 「新専業主婦」の誕生
 1 電化を急進させた家庭
 2 テレビとマスコミ時代の始まり
 3 情報を消費する主婦たち
 4 出かけずにいられない主婦たち
 5 「新専業主婦」の誕生
 6 オーブンの購入と趣味化する家事

第五章 「お子様」時代の始まり
 1 「お子様」時代の始まり
 2 経験者の知恵より「育児情報」
 3 育児書と変わる育児
 4 ウチの娘も「習い事」
 5 「好き嫌い」のない子供たち
 6 「子供中心食」家庭の始まり
 7 年中行事より子供の誕生会

第六章 「伝えない」「教えない」母親たち
 1 子供の意思を尊重したい
 2 「個性尊重」だから無理させない
 3 人それぞれ、いろいろあっていい
 4 理由があれば、何でもアリ
 5 一応、一通り、とりあえず、人並み
 6 「普通」であれば受け入れる
 7 見た目よければ、それでよし
 8 時代、時代で変わるから
 9 「続ける」より「乗り換え」が大事
 10 「御節」という集団幻想

第七章 「してあげたい」「してあげる」母親たち
 1 「してもらう」手伝いから「させてあげる」手伝いへ
 2 「なんとかなる」から教えない
 3 伝えられない「お袋の味」
 4 「してあげたい」母親たち
 5 娘が「かわいそう」「大変」

第八章 「お楽しみ」繋がりの三世代
 1 文句を言わぬ男たち
 2 アクティブシニアミセスの誕生
 3 「お楽しみ」繋がりの三世代

終章 <現代家族>の誕生──そして必然的に食は崩れた

あとがきにかえて──幻想系家族論の死

投稿者 staff : 2007年02月06日 List   

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コメント

幻想系、ってあたり、いきなり核心に迫ってる感じですね。

なんだか最近の世の中に蔓延する価値観や観念の殆どは、幻想を正当化する為に創られたものでしかないように思えるので。

つづき、楽しみにしています。

投稿者 かわい : 2007年2月6日 13:15

私も、気になりますね「幻想系」ってとこ。
しかも「死」って事はその理論の終焉って事でしょう。
世相をどう切り込んでいるか?

私も、続きに期待!!

投稿者 クリリン : 2007年2月6日 22:48

目次が気になりすぎて、つい書店に走ってしまいました。感想は愕然としたが、納得できると言えば正しいでしょうか?

原因は凄く複雑で、しかし、とっても単純で・・・

事実を積み上げることで出てくる論理は理解しやすいものなのですが、それを食い止めることができたのか?また、根底から崩れた状態をどう積み上げなおすのか、その辺りまで追求してくれてたらなぁと思いました。

投稿者 たかな : 2007年2月13日 17:27

たかなさん、コメントありがとうございます。
もう全部読まれました?

こうした事実を目の当たりにすると・・・
家族を大切にとか、一緒に過ごす時間をとか、父親も子育てに参加とか言われても・・・そういう問題ではないことが分かります。
暗惨たる気分にもなりますが、根底的地平から考えるしかないのだと思います。

投稿者 iwai : 2007年2月14日 16:49

一気に全部読んでしまいました★

ひとまず事実を勉強してみようと思い、食の歴史(戦後のレトルト食品や外食産業の変遷)について、まとめてみましたよ~

まずは事実と向き合うところから始める。
根本的地平から考えるためにも、そこが必要では、と感じました。

投稿者 たかな : 2007年2月15日 23:03

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