自殺率は社会状況によって大きく変化してきた |
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2006年10月11日
40、50代の活力再生は最重要課題
高度成長期以降、高齢者や若者の自殺率は目立って低下し、日本の自殺率水準は中位となった。
1955年と1995年の対外比較をすると以下である。
自殺率-10万人当たり自殺死亡数-
1955年 日本:25.2 米国10.2 仏15.9 独19.2
1995年 17.2 12.0 20.8 15.8
ところが、長引く経済不況や失業率の急増、日本型経営システムの制度疲労などに伴って、1998年以降、各年齢で自殺率が上昇し、特に中高年の自殺率が他の年齢層と比べて非常に高いという構造が日本の特徴となった。日本の年齢別自殺率は50歳代後半の71.1人をピークに山形となっており、高齢に伴う自殺率上昇の減少は70歳代後半からみとめられるのみである。 「年齢別自殺者の長期推移」社会実情データ図録より
自殺率の年齢構造が失業率の年齢構造とリンクしていることがよく言われますが、近年ではそうとも言えず、失業者はどんどん低下傾向にあるのに対して、自殺者数は横ばいの状態です。
全体に占める割合は40、50代の比率が圧倒的に多く、ほぼ50%を占めている。この傾向は、米国やフランス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ諸国が、60歳代未満ではほとんど自殺率は一定であるのと比較しても、極めて特異な年齢構造であることが分かります。
遺書があるもののうち40、50代の自殺が50%近くの原因・動機としてあげているのが、経済・生活問題であるが、その中身についてはあまり分析されていない。失業率と自殺率の相関関係から、職を失ったことによる生活苦での自殺が増えているというのが一般的な見方であるが、実際には、40、50代の年収比率はそれ以下の年代と比較してかなり高く、生活苦からだけでは説明がつかない。
モノ、金、地位に収束してきた世代だが、今最もリストラされているのもこの世代。
金はあっても、家庭での居場所がないとか、社会に対する役割充足が得られずに疎外感を感じずにはいられないという状況が、実態なのではないだろうか。私権に代わる新たな活力源が今まさに求められているのが、この40、50代の世代なのだと思う。
投稿者 postgre : 2006年10月11日 TweetList
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