生物史から学ぶお産と子育て4~~ |
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2008年06月21日
生物史から学ぶお産と子育て5~生物界における父親の役割は?~
家庭における父親の役割って何でしょう?かつては一家の大黒柱といわれた父親ですが、現代の家庭においては正直存在感をなくしてしまっているお父さんは多いんじゃないでしょうか?
今回は「生物史から学ぶお産と子育てシリーズ」の第5弾として、そもそも生物界(特に哺乳類)の父親の集団(家庭)における役割って何?というあたりの話をしたいと思います!
(ジャコウウシの円陣 写真はこのサイトから借りました:リンク)
では手始めに事例を2つ紹介します。引用元はおなじみ「るいネット」
・草食動物
北極圏に棲む草食動物のジャコウウシは、捕食者であるオオカミに対して、雄が外側に円陣を組み、雌・子供をオオカミから守ります。(上の写真を参照)。
・肉食動物
ライオンは基本的に敵なしですが、群れで肉を掠め取りに来るハイエナは、最も厄介な敵です。このハイエナの攻撃に対し、雌ライオンでは追い払えず、雄ライオンが登場して決着させる。
こうやって見てみるとわかるように、オスの主な役割は外敵から、家族(集団)を守るということが大きな役割です。
ではそもそも、なぜこんな役割分化が起こったのでしょう?
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その理由のひとつは地球環境の急速な寒冷化です。今から約1億2000万年前に地球上で急激な寒冷化が起こりました。哺乳類はこの寒冷化への適応として胎内保育という体の中である程度子供を大きくするという方法を創り出したのです。
しかし、その適応方式は哺乳類に新たな課題をもたらしました。
哺乳類は、この寒冷化への適応による胎盤の完成と「胎内保育」「産後保護」により、自然淘汰圧力との関係が180°変わります。子に対する自然淘汰圧力は極端に下がり、逆に、外敵圧力は、子ではなくその親達に直接かかってきます。
哺乳類が種を残すために新たに直面した課題は、
・胎内保育期間中の雌は戦力外、強い雄が外敵から守らなくてはならない。
・子が生まれた後、独り立ち出来るまでの産後保護(子育て)の期間、安全な縄張りを確保しなければならない。これを満足できる雄の能力と新しい集団形態が必要となります。
そこで雌は、強者選択本能をより強化し、より強い雄に収束します。雄は、雌の強者選択本能に応え、種を残すために性闘争と縄張り闘争を激化させます。
より強い雄を獲得した雌達は、その雄の安全な縄張りの中で、胎内保育、出産、産後保護(子育て)を行います。このように哺乳類の雄雌は、役割を明確にすることにより進化してきました。そして、性闘争・縄張り闘争に勝ち抜いた強い雄が広い縄張りを守り、その縄張りの中で母系集団の雌達が子供を育てる、哺乳類の代表的な内雌外雄の集団形態が出来上がります。
つまり、胎内保育によりメスの生殖負担がどんどんと大きくなり、その分オスは外敵に対する闘争の役割を主要に担ったのです。
これを現代の家庭に置き換えて考えると、やはり父親の役割は、安心して子育てができる縄張りの確保!そしてそのための闘争!というのが大きな役割ということになります。
そしてそれは生物学的にも矛盾しないのです!
投稿者 daichi : 2008年06月21日 TweetList
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