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2014年12月29日
新たな保育の可能性13~商店街が子育て事業を立ち上げた~
新たな保育の可能性を探っている本シリーズですが、今回は子育て事業を立ち上げた商店街の事例を紹介します。
長野県佐久市にある岩村田商店街という商店街ですが、なんと、商店街立高校(通信制高校のサポート校)を運営しているようです。
では、もう少し詳しくみていきましょう。
1.商店街立高校 誕生までの経緯
長野県佐久市岩村田は中山道22番目の宿場町として古くから栄えた商業の街です。商圏としては周辺に30,000人を抱える中心市街地です。平成10年長野五輪開催に伴うインフラ整備(新幹線の開通など)に伴い、ジャスコなどのスーパーが進出。岩村田商店街は大打撃を受け、衰退の一途をたどっていました。
ここで立ち上がったのが危機感を持った商店街の青年会です。振興組合を結成し大型イベントを実施します。
「日本一長~い草もちを作ろう大作戦!」
「日本一長~いりんごのロールケーキを作っちゃおう大作戦!」
集客力も高まりテレビ局でも放映されました。しかし、42店舗中15が空き店舗という状態で、商店街自体の活性化には繋がりませんでした。
そんな中、改めて商店街の意義を見つめ直し、辿り着いたのが、
「商店街があるから町がある」→「町があるから商店街がある」
という思考の大転換です。これを受け、岩村田商店街は以下の理念を固めます。
◆地域密着顧客創造型商店街
◆ともに働く、暮らす、生きる商店街の構築
この理念にもとづき、岩村田商店街は一気に改革に着手します。
まずは、空き店舗対策。 地域コミュニティの拠点として、土蔵づくりの建物を改装したコミュニティスペース「おいでなん処」を設置しました。。また、収益事業としてコミュニティビジネス「本町おかず市場」を開業し、インキュベーター育成の場 「本町手仕事村」を設置しました。2.5坪15000円の月額家賃で起業家を募集し 軌道に乗れば他の空き店舗へ移転させるという仕組を構築し、5店舗の空き店舗を解消しました。
次に考えたのが
「商店街として地域貢献できることは何か?」
です。そこで出た答えが「子育て支援」と「教育」でした。
2.商店街の柱を「子育て支援」に
岩村田商店街の改革は更に進みます。
平成18年度
・「お助け村」(子育て世帯を対象とした商店街会員制度)を開村
年間13~15の子育て小イベント(20名から400名)を実施。
全国初の商店街直営学習塾の誕生です。
その理念は「商店街という地域資源を活かして子供を自立へ」。
商店街という生活に密着した環境の中だからこそ、地域のみんなで見守る子育てが実現でき、生きていく力、生活していく力を育むことができるのです。
その後も「子育て支援」を柱とした改革は進みます。
平成22年3月
・託児所の開設
「子育てお助け村」 子育て相談を年配の保育士に
平成22年7月
・「佐久っ子ワオンカード」事業開始、あえてイオンとの提携
「地域電子マネー」構想
・若手育成研修事業 本町商人塾・岩村田商人塾・起業家育成塾開講
・頑張れ商店街川柳事業
平成23年3月
・高校生チャレンジショップ開設(高校との商学連携)
若い世代を商店街に巻き揉むことに成功
・地域ブランド創生事業「三月九日 青春食堂」
3.現在の岩村田商店街
調べるとこの岩村田商店街は、全国でも有数の活性化に成功した商店街です。現在では空き店舗の数が61店舗中2店舗まで減少しているとのことです。
また、「商店街で子供や若者を育てていく」という方針のもと、現在では、佐久市内の3つの高校の生徒が商店街で様々な活動を行っており、商店街の空き店舗を利用した「高校生チャレンジショップ」での販売実習や、定期的な農作物の販売などが行われ大きな成果をあげています。
4.新しい保育の可能性
岩村田商店街の成功事例は、現代社会における地域共同体型保育の可能性を示唆しています。
生産活動と消費活動が分断された都会生活の中で「商店街」は生産活動と消費活動の繋ぎ役です。その場から得られるものは学校で学ぶ机上の勉強以外のものもあり、本来、子供のうちに身につける「生きる力、生活する力」「社会に出て自立できるための力」を育むことができているのでしょう。
運営主体がしっかりと次代を見据えた理念を固め、方針化し、そして実行する。岩村田商店街の事例を通じ、社会の構造や人々の意識潮流をしっかり掴むことが出来れば、新しい保育の可能性もどんどん広がってくる感じました。
投稿者 cocoro : 2014年12月29日 TweetList
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