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2007年08月28日

学校ってどうなってるの?20~教師志願理由2~

【教師志望動機と高校・大学生活~教員採用試験合格者の場合~】藤原正光(ふじはらまさみつ)文教大学教育学部心理学部教授の著作からの引用です。『学校ってどうなっているの?18~教師志願理由1~』の続きバージョンで『学校ってどうなっているの?20~教師志願理由2~』です。

前回とぅゃさんから、 【教育の問題の本質は、家庭の聖域の問題に切り込んで分析が必要】 というコメントがありましたが、それは、次回分析するとして、もう少し、教師の志願理由を分析させてくださいね。

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◆今回の問題意識としては、
1】教師志願動機は、具体的なアンケート調査に基づくとどうなっている?
2】彼らの学生生活は?どうだったの?どんな生活を送っていたのか?
3】いつ頃、教職を進路として決定したの?
などです。

◆結果は、
1】教師志願動機は具体的な調査に基づくとどうなっている?
・教師である親や恩師や友だちに「勧められた」という対人関係要因よりも、子どもが好きであり、教師は重要な職業である、恩師の生き方に感動し、教師への憧れが生まれ、自分の性格は教師向きである、といった内的要因(向性)に強く影響。
・子どもとの活動に充実感を感じるなどの深い内的要因、生きがいや自己実現、価値観といった側面からさらに研究する必要がある。とのこと。

2】彼らの学生生活は?どうだったの?どんな生活を送っていたのか?
・教員採用内定者の約7割が進学高校の出身者。
・高校時代の成績は約7割が中位から下位であった。しかし、クラブ活動には熱心に取り組む。
・大学時代には約9割がアルバイトを経験。
・成績は優秀。
・約8割の学生がクラブ活動に熱心に取り組む。

3】いつ頃、教職を進路として決定したの?
・半数以上の女性は小学校段階で決定し、その後、徐々に減少。
・男性の進路決定時期には、小学校時代と高校時代に2つの山がある。

ということらしいです。さてここから読み解きましょう。その前に
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さて、この結果は、正しいかどうか別として考えてみよう。

 まず、小学校時代に教師との何らかの大きな充足体験があり、【先生になりたい!】と志し、中学・高校と進学するが、高校受験を終えて、何とか進学したものの、成績は、無難かそれ以下で、クラブ活動に精を出した。また、恩師などに充足体験より、その志願する理由の内的要因を分析しはじめ(ここは後付なのかもしれないが)進路を明確に教職とし、教育学部に入学し、教職課程をとり、本格的に勉強を始め、教育実習・教員試験に取り組み、教職になるという経緯なのかと思わる。

 教職を目指した理由としては、外的要因よりも内的要因に委ねられ、
【子どもが好き】
【教師は重要な職業】
【恩師の生き方に感動し、教師への憧れが生まれる】
【自分の性格は教師向きである】
に強く影響されているようす。

教授の分析では、【子どもとの活動に充実感を感じるなどの深い内的要因、生きがいや自己実現、価値観】の再検証が必要と述べられているが、再調査するまでもなく【外部対象の欠落と自己判断の思い込み】が見受けられる。

なぜだろう?

H9~H15年の教員採用内定者344名を対象とした調査は、比較的新しい教師像を示し、1970年以降の貧困の消滅以後の志願理由であり、かつての私権社会における学校の目的とは明らかにずれている。いい企業に入るため、いい生活を送るために学校があった時代とは異なり、その私権社会が崩壊した後の収束不全時代の後付の志願理由(=先が見えないのでとりあえず目先の目的)に照準を合わせる傾向が背後に見られます。逆に言えば、そのような志願理由しかいまは思い浮かばないといったことろでしょうか?

しかし、この目先の対象を志願理由とする(目先の秩序収束する)教師が増えれば増えるほど、見えなくなってくるのが学校という教育機関。自己実現や自己決定に委ねられ、ますます疲弊してゆく構造あり・・・・

【社会の役に立つ仕事ができる後継者を育成する】という視点は欠落しているのでは?。

また、勉強のできる人は、教師にならないでも、民間企業に入れば、飯をくっていける。私権闘争を逃避している可能性もないだろうか?現実逃避の可能性は?社会秩序よりも子供の成長?そして、体制にからめ取られてそれでもいいと思ってしまう部分はあるのではないだろうか?

上記の範囲では、教師の志願理由は、かなり目先的にならざるを得ない構造があり、観念的・内向的・思い込みが強く、自己中とは思っていないだろうが、回りからみたら自己中の世間知らずな存在にみえているのかも知れない。

どうだろうか?

詳細は、【教師志望動機と高校・大学生活~教員採用試験合格者の場合~】藤原正光著作を参照いただきたい。要約版は、下記です。

●調査の目的●
近年、小学校教員の採用枠は首都圏を中心にやや拡大傾向にあるが、中学校や高等学校教員採用枠は依然として厳しい状況にある。しかしながら、多くの学生が、将来,教員職を選択したい希望を持っている。本稿では、大学卒業時に教員採用試験に合格した者を対象に、教師志望動機の構造や形成過程を調べるとともに、彼らの高校時代と大学時代の生活を学業成績およびクラブ・部活動との関係から検討することを主な目的としている。

●調査結果の要約●
1分析結果
Ⅰ】教師志望動機
教員採用試験内定者の教師志望動機は、教師である親や恩師や友だちに「勧められた」という対人関係要因よりも、子どもが好きであり、教師は重要な職業である、恩師の生き方に感動し、教師への憧れが生まれ、自分の性格は教師向きである、といった内的要因(向性)に強く影響されている。また、子どもとの活動に充実感を感じるなどの深い内的要因、生きがいや自己実現、価値観といった側面からさらに研究する必要がある。

Ⅱ】教員採用内定者の高校と大学時代の生活
1.高校時代の生活
教員採用内定者の高校時代の生活は、進学高校の出身者が約7割であり,高校3年次の成績は中位以下の者が約7割であり、クラブ活動には7割以上の生徒が熱心に取り組んでいた様子が伺える。

2.大学時代の生活
アルバイト経験は大学3年時で89%であったものが4年時では59%に激減している。大学時代の成績は8割以上のものがAAやAを21科目以上取得しており、学習にまじめに取り組んでいる。また、クラブ活動への所属は約8割であり、65%の学生が熱心に取り組んでいる。

3.高校と大学時代の成績とクラブ活動の比較
学業成績については、高校時代はあまり芳しい成績ではなかったが、大学に入ってからよく勉強して成績が向上している。また、クラブ活動は、高校時代と同じように大学でも熱心に活動しおり、大学ではクラブ活動も勉強も一生懸命であり両立している。

4.教職進路決定時期
半数以上の女性は小学校段階で決定し、その後、徐々に減少しているのに対し、男性の進路決定時期には、小学校時代と高校時代に2つの山が見られる。

2総合分析
平成9年度から平成15年度にかけて現役教員採用内定者344名を対象に、教師志望動機、高校時代と大学時代の学生生活、教職選択の決定時期について、年度ごと別々にアンケート調査を実施した。

◆教師志望動機には、「子どもが好き」、「恩師の生き方」、「教師への憧れ」、「性格が教師向き」、「子どもとの活動の充実感」などが強く影響していた。

◆因子分析の結果、
・因子1(外的要因:対人関係)として「教師である親や親戚の人の生き方」、「教師である親や親戚の人からの勧め」、「友だちの勧め」、「恩師や知人からの勧め」が抽出され、
・因子2(内的因子:向性)として上述した強く影響していた動機が抽出され、
・因子3(深い内的因子:充実感)として「子どもとの活動の充実感」が抽出された。

◆クラスター分析と判別分析の結果、教師志望動機には因子2が大きく影響していることが確認された。また、深い内的因子(充実感)は、自己実現や価値観の側面からさらに検討すべきであると思える。

◆教員採用内定者の約7割が進学高校の出身者であった。

◆高校時代の成績は約7割が中位から下位であった。しかし、クラブ活動には熱心に取り組んでいた。

◆大学時代には約9割がアルバイトを経験していたが、成績は優秀であり、約8割の学生がクラブ活動に熱心に取り組んでいた。

◆高校と大学の成績には負の相関が、クラブ活動には正の相関が、大学の成績とクラブ活動には正の相関が認められた。

◆教職を決定した時期は、小学校時代までが46%であり、かなり早い進路決定であった。女性は56%がこの時期までに決定していた。男性にもほぼ同様な傾向が見られるが、高校時代に決定する者もかなりいたい。

投稿者 2310 : 2007年08月28日 List   

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