人類婚姻制度 史的総括 その1 |
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2010年04月06日
こんな子育てがしたい♪~ミラーニューロンと共認機能
写真はこちらからお借りしました
「こんな子育てがしたい♪」シリーズの第4回目です。
前回は、乳幼児期の「共鳴動作」について紹介しましたが、今回は、そうした作用を生起させると思われる脳回路~「ミラーニューロン」についてご紹介したいと思います。
冒頭の写真は、この「ミラーニューロン」の作用により、人間の大人の表情を注視し、同じように真似て舌を出すマカクザルの赤ちゃんです(可愛い~ :love: )
いつもクリックありがとうございます。
(前略)
> 不全課題を抱えて依存収束した弱オスたちは、依存し合う中から、「どうする?」⇒「どうにかならないか?」と可能性を相手に求め、互いに相手に期待収束してゆく。こうして、依存収束⇒期待収束し、互いに相手を注視し続ける内に、遂に相手も同じく依存し期待している事を発見し(探り当て)、互いに相手の課題=期待を自己と同一視して理解し合うに至った。(実現論:第1部ニ)
これが共認機能のはじまりなのですが、相手も同じように依存し期待しているのが分かる、というのは、それ以前の認識機能とは飛躍的な発達があるのではないかと思います。
このとき脳回路にどんな変化が起こったのか?それを可能にした脳回路はどんなものか?良く分からないところなのですが、
> 近年発見されたことですが、人間は他人の行動を自分の行動のように感じ、他人と同じ状態に自分を置くことで、他人の行動を理解できる。
> そのとき反応する場所が脳内にあり、この場所をミラーニューロンと名付けた。を読むと、共認機能の獲得には、ミラーニューロンが関係しているのではないかと思えます。
ミラーニューロンの働きにより、相手を見つめることで、相手が感じる・行動することにより起こる脳の反応が、自分の脳にも同様に起こることで、相手を理解することができる。これならば、観念機能によらなくても「相手も同じく自分に依存し、期待しているんだ」と分かり、お互いに共認できるのではないかと思います。
(後略)
画像はこちらからお借りしました
この「ミラーニューロン」は、イタリア・パルマ大のリゾラッティ教授により、1996年、偶然に発見されたとのことです。
10月23日の日経新聞に「アタマを探る7」という記事がありました。一部引用します。
>身ぶり手ぶりから相手の意図をくみ取ろうとするとき、脳の中ではどんな仕組みが働いているのだろうか。そのなぞを解くカギとして、10年ほど前に見つかった「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞が改めて注目されている。<
>イタリア・パルマ大のリゾラッティ教授らは、サルが手で餌をつかみ取るときの脳内の神経活動を調べていた。そのとき反応する神経細胞が、他のサルが餌を取る様子を見るだけでも同様に反応することを発見した。他人の動作を自分の頭の中に写し出す鏡のような反応を示すことから、ミラーニューロンと名付けられた。(中略)国立身障者リハビリセンターの西谷信之感覚認知障害研究室長らが、人にもミラーニューロンのような部位があることを明らかにした。<
>棒の先を自分でつまんだときと、他人がつまむのを見るだけのときの脳内の活動部位を調べた。いずれも言葉をしゃべるときに関係する前頭葉の運動性言語野(ブローカー野)の領域が反応した。解剖学的にサルのミラーニューロンがあった部位に近い。他人がつまむのを見てすぐに自分もつまんだときは、その反応が一層強くなっていた。<
写真はこちらからお借りしました
>赤ちゃんは親の身ぶり手ぶりから様々な動作を学び、自分の意思を表現できるようになる。今回の結果は、言語に関係する部位で他人の行動をあたかも自分の行動のように感じ取っていることを示した。<
この記事は、「相手と自分を同一視する機能が共認機能の原点であること(実現論1_4_05) 」
の有力な傍証です。心の奥底=潜在思念の次元では相手と自分は同一だと認識していることを、ミラーニューロンの機能は示しています。潜在思念(共認回路)では同一なのに、顕在意識では自分と他者を分け隔てて認識するのは、自我を始めとする近代観念が原因だと考えられます。近代人は潜在思念と顕在意識が分裂しているとも言えます。両者を統合する観念(=社会統合版でも議論されている、誰にも共通する普遍認識)が、潜在思念と顕在意識をつなぐために必要なのだと思います。
この、サルと人類に見られる「ミラーニューロン」の働きについて、概ね以下の2点を上げることができると思います。
①動作を合わせることで、相手の心の動きを理解する・・・同化・同一視機能
②同時に、相手の身振り手振り、あるいは言葉に同化することで学習する機能(「学ぶは真似ぶ」)
子育てに引き付けて考えると、赤ちゃんは生まれた時は真っ白な存在であり、お母さんをはじめ、周りの人達から豊かなに愛情を受け、また、幼児期以降は友達との遊び体験の中で周りと協調してゆくための規範意識が形成され、更に世界を広げていく中で「私」という人格が形成されると同時に、様々な知恵を獲得していくんですね。
また、このミラーニューロンによる「同一視」をペースに「共感回路」や「共認回路」が形成されていく・・・人類が集団や社会を形成することで外圧に適応してゆく存在であることも示していると思います。
つまり、共通して言えるのは、「自我ではなく共認が原点」ということであり、「自我の確立」に重きを置く教育論や、集団や社会、あるいは規範を軽視し、ことさら「個人」や「自由」を美化する風潮がいかに自然の摂理・人類の摂理に反したものであるかがわかります。
・・・現代の悩みの多くは、こうした「個人主義」や「自分主義」の影響で相手や周りのみんなとの共感充足、共認充足が得られなくなってしまったことから来るのではないでしょうか?
(参考: 「3/28なんでや劇場レポート(1) 闘争能力の基盤は、みんな発の充足性と肯定視」 )
従って、子育てにおいては、こうした赤ちゃんの頃は誰もがもっている同一視や同化機能をいかに殺さず育んでいくか?が重要になってくると思いします。
(具体的にどう育てる?についてはシリーズ後半でご紹介しますのでお楽しみに )
次回は、このミラーニューロンが、なぜ言語野にあるのか?あたりについて追求してみたいと思います。
【参考投稿】
・共鳴動作には充足・非充足の機能も備わっている
・自我ではなく、共認こそ原点である
・ミラーニューロンが共感回路か?~「生物史から、自然の摂理を読み解く」
最近の研究
・最近の研究;他者と自己の区別をしない神経細胞=ミラーニューロン
投稿者 kota : 2010年04月06日 TweetList
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