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2021年06月17日

わが子の就活を台無しにする親たち

企業にとっても採用する当人の人材育成の前にその親をどうするか?が課題になっているようです。

子供の進路を心配する親の問題行動は今や社会問題!?

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO85708820V10C15A4000000/ より引用します。

 

「親が就活に口出ししてきます。過保護じゃないでしょうか」――。就活探偵団にこんな悲鳴が舞い込んできた。我が子の就活に「何か力になりたい」と思う親は多いだろう。しかし、最近は思いが強すぎるのか、過干渉となって子の就活をぶち壊す親、さらには子の自由を奪ってしまう「毒親」のようなケースすらあるという。親が絡んだ就活の最新事情を取材した。

 

◆父親がエントリーシート書いて全滅

「子離れしてくださいね」――。都内上位大キャリアセンターは親向け就活セミナーで真剣に訴えている。子離れできない親が優秀な学生の就活を台無しにしてしまうケースを見過ごせなくなってきたからだ。

ある成績優秀な女子学生が大手企業の総合職に内定をとった。親は当然、喜んでくれると思って報告すると予想もしない言葉を母親から投げつけられた。

「お前は私を捨てるつもりなのか!」

総合職なので転勤は避けられない。母親はそれが許せなかったのだ。いままで育ててやったのに母親の面倒を見るつもりがないのか、と。その学生は母親に逆らえず、就活を再開、転勤がなく母親の元から通勤できることだけが取り柄の、行きたくもない企業に入社したという。

別の男子学生は父親が就活に全面介入してきた。父親が選んだ大企業しか受けることを許されず、「企業のことならなんでも知っている」と豪語する父親が就活生に代わってエントリーシート(ES)を書いたが、すべて落とされた。

「私たちが想像するより、最近の学生は親の意向に沿おうとします。親の期待に応えなければと、涙ぐましい努力をする」(キャリセン担当者)。首都圏の中堅私大のキャリセン担当者も同意する。「今の学生は優しいんです。親からあれこれいわれても反発できない」。親に反発できない素直な学生は時に行き場がなくなり、途方に暮れる。

 

◆親が反対してうつ病に

就活支援団体担当者も親の反対で就職がダメになった学生を何人も見てきた。「15年卒学生で娯楽施設系の企業に内定をとった学生がいましたが、親が入社に大反対。その子は鬱になってしまい、夏以降、引きこもってしまった。今の学生は自分の就活と『親を安心させたい』という気持ちとの板挟みになってしまうことが多い」

都内の有名女子大にも毎年、親との関係に悩んだ学生が相談に訪れる。「恵まれたバブル期に就活した今の親は、自分の知らない業種や企業に子が入ることを受け入れられないことが多い。昨年も親に反対された学生がキャリセンに相談に訪れ、話し出すと泣き出してしまった」

なぜ、親はこれほど就活に口出しするようになったのか。3月上旬に開かれた「マイナビEXPO」の保護者向け勉強会に参加した親を捕まえて聞いてみた。

 

「もう内定が出ているという話をきいて、うちの子は遅れているのではと心配になって、勉強会にきてみました」(土木系専攻就活生の母親)

「息子が行きたいと思っている業界が将来も安定しているか不安です。本来親が口出しすべきではないかと思いますが、不安で来ました。自分はバブル時に就活したので、現状を理解したいと思い、やってきました」(男子学生の母親)

「親として就活にどう接したらいいのかを知りたくて参加しました。自分のころの就活は楽でしたけど、今は落ちるのが当たり前で大変ですね。親子で心が折れないよう頑張ります」(男子学生の母親)

「少しでも娘を助けたいと思って参加しました。自分の時の就活と全然違うので、まずは現状を把握しようかと」(女子学生の母親)

 

◆動機は純粋だが……

およそ10人の親に聞いてみたが、共通するのは「自分の時と就活とあまりに違うので心配になって来た」。動機は純粋だ。情報収集して自分の時代と今の就活の違いを理解し、何か意見を求められればアドバイスする。この程度にとどまれば、むしろ力添えとなり、決して不幸な事態にはならないだろう。

例えば、都内上位大の就活生は「自己分析を母親に手伝ってもらっていますが、さすがに僕のことをよく知っていて助かっています」。就活で最も大事な作業のひとつ、自己分析に親をうまく使っている。

しかし、子が求めもしないのに親が心配のあまり動き出すと厄介なことになりがち。大学のキャリセンにはそんな親たちが引っ切り無しに訪れる。

「学生の模擬面接についてくる親が実に多い。ほとんどが『男子学生+母親』の組み合わせ。母親が我慢できなくなって面接にダメだしし始め、職員の前で喧嘩を始めることも珍しくありません」(都内中堅上位大)

 

◆企業が最も怖がる「親の反対」

「『うちの子は就活しているんでしょうか』と電話をかけてきた親がいました。子と同居しているというのでまずはお子さんと話し合ってくださいとお願いしたら、『そんなことができたらこんな電話しませんよ』と逆ギレ。最後は泣き出してしまった」(首都圏中位大)

企業もこんな過干渉な親たちに振り回されている。

「就活に関与する親は確実に増えています。ウェブテストを親が替え玉で受けて点数を稼ぐというケースは珍しくないようだ」(大手電機採用担当)。これではウェブテストの点数は全くあてにならないだろう。

「子どもがバットをつくる仕事をしたがっているのだが、どこの学校に行かせればいいのかと電話してくる親がいた。特にないです、と答えるほかなかった」(スポーツ用品会社)。

しかし、これぐらいならまだマシ。採用担当にとって、より深刻なのは、親の反対で内定辞退されるケース。

「親の許可が出たのでいきます、反対されたのでやめます、と親の意向に振り回されるケースが増えている」(大手損保)。就職人気ランキング上位の外資系メーカーですら「親から承諾をもらったことを確認したうえで内定を出すようにしている」という。「親の確認」を略した「オヤカク」は採用担当者の間では常識となりつつある。

就活の基本は企業と新卒学生の相互理解。親の干渉で内定辞退に結びついてしまうのは本筋からはずれるが、企業はそうも言っていられない。ネットを通じた婚活事業を展開するIBJは近年、15人程度を採用しているが、内定辞退がほとんど出ないという。決め手のひとつが「親対策」である。

 

◆親対策で内定辞退減らす

「うちでは内定を出す段階で、自分の言葉でこの会社に入ろうと決めた理由を両親に説明してくださいと念押ししています。自分の意思でこの会社に決めたという気持ちが強くなるからです」(社長室)

それでも、今の親世代は「婚活サービス」といわれてもピンとこない場合が少なくないだろうし、「よくわからない業界はやめろ」などと入社に反対する親もいる。

「基本的に入社するかどうかは本人が決める問題ですが、もし親御さんが反対しているなら、説得を手助けすることは大事だと考えています。親御さんが不安なら会社に来てもらって構わない、いくらでも説明すると学生たちには伝えています。入社式には親御さんも同席してもらうこともあります。毎年2~3組はいらっしゃいます。そこで弊社の研修体制などを説明したら、ある父親は『わたしの会社より充実している』と安心して帰っていきました。しっかりしている会社、子を預けても大丈夫と安心してもらうようにしています」

ここまで親に気を使う必要があるのか、とも思うが、親子関係が変質し、採用戦線で親がかく乱要因になっている以上、親を味方につけるのが得策という現実的な判断のようだ。

 

◆調査結果

就活への親の関与はますます強まっている。親子は一定の距離を。

 

 

投稿者 hoiku : 2021年06月17日 List   

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