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2019年10月03日
子供の仕事は遊びである42 ~前頭葉そわそわ
前頭葉そわそわ、って何か面白い表現ですよね。でも、あんまりいい意味ではありません。今回は人間が人間たる脳の最前線、前頭葉発達の話です。やっぱり集中力は遊びで育まれるようですよ。
保育のお仕事レポート さんから
前頭葉が発達して集中力アップ
日本体育大学体育学部教授の野井真吾先生によると、授業に集中するのが難しい「前頭葉そわそわ」型注意散漫の子どもが増えているそうです。
近年、授業中にじっとしていられず歩き回ったり、集中力が持続しなかったり、いつもそわそわキョロキョロして落ち着きがない子どもたちが急激に増えていることが問題になっています。
大脳の中にある前頭葉の発達が、この結果に大きく関わっています。
前頭葉の働きが最も未熟で、集中することが苦手な「前頭葉そわそわ型」は、1969年には小学校入学時に2割程度でしたが、1990年代後半には5~6割になり、2008年では7割にものぼっています。
上記のページでは、実践データをもとに「前頭葉を発達させるのには身体を使った遊びや外遊びが有効だ」ということが説明されています。
集中力不足、小学校の授業についていけないなどの問題の多くは、保育園や幼稚園のうちに身体を使った遊びや外遊びをたくさんしておくと、ある程度防げる可能性がある、ということですね。
姿勢の悪い子どもに多い「そわそわ型」 外遊びをしないのも原因?
姿勢が悪くなっている原因として、我々がまず考えたのが背筋力の低下でした。重力に逆らってよい姿勢を保つには、体重と同じくらいの背筋力が必要だからです。今の子どもたちは昔より体重は増えているのにもかかわらず、背筋力は年々下がり続けています。しかし、運動部の子どもたちにも姿勢が悪い子が多く、背筋力だけが原因ではありませんでした。
そこで注目したのは、学習する時に重要な働きをする大脳の前頭葉機能です。前頭葉の活動を調べると、物事に集中するのに必要な<興奮>も、気持ちを抑えるのに必要な<抑制>も十分に育っていない、「そわそわ型」の子どもが増えています。人間は誰もが最初は「そわそわ型」です。従来は小学校入学のころまでに徐々に脱していくのが一般的でした。しかし、近年では9歳を過ぎても、「そわそわ型」を脱することができない子どもが増えています。前頭葉の発達が未熟なことが、姿勢の悪化だけでなく、学級崩壊や小1プロブレムの背景にあるようです。
もう一つの要因として注目しているのが、セロトニン神経の弱化です。セロトニン神経は、よい姿勢を保つための抗重力筋(背筋など)に緊張を与える役目があります。セロトニンは、日中に太陽光を浴びることで増加し、これをもとに夜には眠りを誘うメラトニンというホルモンが生成されます。しかし、外遊びをしないなど子どもたちが太陽光を浴びる機会が減り、セロトニンが増えず、メラトニンの分泌も抑えられ、体内リズムが乱れています。太陽光を十分に浴びないために、よい姿勢を保つ重要な神経が機能しないばかりか、睡眠にも影響を及ぼしているのです。
●子どものキレやすさは、前頭葉の発達不全が一因
子どもが疲れやすい体質になってしまう要因のひとつに、まず、生活習慣の乱れによる自律神経の機能不全があります。ゲームに熱中したりすることが原因で、日中に太陽光を浴びる量が少なくなる、夜に画面などから光を浴びる時間が長くなるといった状態になり、その結果、自律神経に関与するセロトニンというホルモンが不足し、疲れやすい体質につながってしまうのです(前記事参照)。
そしてもうひとつ、疲れやすい体質を作る要因は、意欲や創造、実行などに関わる「大脳前頭葉」の発達の遅れにあるのではないかと野井先生は語ります。
「子どもの大脳前頭葉にはいくつか特徴の型があるのですが、もっとも未発達なタイプが『不活発(そわそわ)型』で、成熟してくると『活発型』に変化していくと考えられています。『不活発(そわそわ)型』は、いつもそわそわしていて集中が持続しにくいのが特徴で、50年前の調査では6~7歳で1割程度だったのが、現在は5~6割に見られます」(同)
大脳の活動は、集中するために必要な「興奮」と、気持ちを抑えるために必要な「抑制」の過程で成り立っており、この2つの過程がバランスよく備わっていくことで大人の思考・行動に近づくと考えられているそうです。「不活発(そわそわ)型」は、「興奮」も「抑制」も強くない状態であり、本来は、ここから「抑制」よりも「興奮」が強い「興奮型」を経て、どちらも強く、そしてスムーズに切り替えができる「活発型」になっていくとのこと。
昔に比べ、今の6~7歳は脳の「興奮」も「抑制」も弱いままの子が増えているということですね。
●「伝承遊び」で前頭葉を刺激しよう!
では、子どもの大脳前頭葉の発達を促すためには、どうすればよいのでしょうか。野井先生は、まず「興奮」できることが大切だと言います。
「子どもが『興奮』できるようにするには、『ワクワク・ドキドキ』できる体験が大切。感情を発散させて、思い切りはしゃぐ機会をできるだけ作ってあげてください。『抑制』についてはたくさんの『興奮』過程を経ていくと、自然に育っていくものだと考えられています」(同)
習い事などで毎日忙しく、友だちと遊ぶ時間や空間がない現代の子どもには、ワクワク・ドキドキする機会がないのが問題なのだそう。具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。
「年齢によっても違ってきます。幼児期なら、くすぐりごっこなどのじゃれつき遊びや、抱っこ、肩車などが効果的ですが、小学生なら、何と言っても鬼ごっこやかくれんぼなど、昔から親しまれている伝承遊びが一番です。伝承遊びのいいところは、遊んでいる子どもが自分たちで独自のルールを決められること。『誰かにやらされている』のではなく、子どもが主体的に遊ぶことがポイントです」(同)
そのためには、大人が遊びに介入するのではなく、できるだけ子ども同士で遊ぶ機会や環境を作ることが重要だと先生は言います。「子どもの集団の優れているところは、例えば鬼ごっこで遊んでいるときに、年齢の小さい子が入ってきたとき、渋々ながらも自分たちでルールを作り直して、みんながワクワク・ドキドキできるように遊ぶんです」(同)。子どもだけで遊んでいるからこそ、何がベストか自分たちで考えて工夫できるのですね。
●スポーツはワクワク・ドキドキしきれない!?
伝承遊び以外で、おすすめの遊びはありますか?
「子どもが自由な発想で夢中になれる遊び、例えば、廃材を使った秘密基地づくりなどもいいですね。ここに部屋を作るために、何をどう組み合わせればいいだろう…なんて、いろいろ考えるのが前頭葉への刺激になるんです」(同)
子どもが夢中になれるといえば、スポーツなどもいいのでしょうか。
「スポーツは大人の作ったルールに則ってするものです。例えば、サッカーの場合、ゴールをしようとした瞬間にオフサイドなどの反則があると、ゲームは中断されますよね。子どもが自分たちでルールを変えることもできない。これでは子どもはワクワク・ドキドキしきれないんです」(同)
子どもが大勢いないとワクワク・ドキドキできないの? と思われるかもしれませんが、「とにかく子どもが熱中できる体験をたくさんさせてあげられれば、人数を気にしなくても大丈夫です」とのこと。遊び空間や時間の減少など、いろいろな問題はありますが、保護者一人ひとりが子どもにとって何が大切かを考えて、少しでもワクワク・ドキドキできる環境を作ってあげたいですね。
前頭葉の発達って、人間としての強みなんでしょうね。本能的なところはもっと後ろや深いところの脳。それは人間が進化してきた環境、野山で発達するということでしょうか。
投稿者 hoiku : 2019年10月03日 TweetList
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