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2015年12月18日

言葉にならない“ことば”を感じるオノマトペ②

言葉にならない“ことば”を感じるオノマトペ①の続きです。

秘めたる力をひきだす”オノマトペ“」朝日大学准教授 藤野良孝 より引用。

では、どんな場面でどんなオノマトペを使うと効果的なのでしょうか?スポーツ、暮らし、ビジネスのシチュエーションを想定し、それぞれに適したオノマトペを紹介します。

ゴルフでオノマトペを使った実験を行ったことがあります。
バックスイング時に「スーッ」、ダウンスイングから打ったボールを見送るまでの間に「ガァァァー」と叫んだときと・叫ばなかったときで飛距離を比べた結果、個人差はありますが、叫んだ時の方が全員のヤード、距離が伸びました。

秘訣は2つあります。
1つは、大声を出すことの効果です。私達は体を動かす際、脳の色々な部分が複雑に動いています。その司令塔となるのが大脳です。大脳は体のどこをどのように動かすのか計画し、筋肉に指令を出しています。しかし、大脳の働きは、同時に「絶対勝つぞ」「失敗したらどうしよう」などの邪念ももたらします。それが運動の指令に混ざることで、筋肉の力み、姿勢のズレにつながってしまうのです。

しかし、大声を出すと、大脳のものを考える部分「前頭前野」の働きが著しく低下します。すると邪念が吹き飛び、本来の力を発揮できるようになるのです。更に、大きな発声を行うことで、普段、人体が筋肉にかけている神経の限界をはずし、より大きな力を発揮させることができます。これはシャウト効果とよばれ、ハンマー投げの室伏広治選手他、様々なスポーツ選手にも広く知られている技法です。

2つ目の理由は、効果的な音韻の組み合わせです。スポーツで使うオノマトペは、どんな音でもよいわけではありません。運動の属性にあった音選びが大事です。「S」の音はスピードを喚起し、濁音はパワーをのりやすくします。そして「ガ―――」と長音でタイミングと力の持続時間を維持させます。この音のリズムが身体のリズムと調和することで、大きな力が発揮できるのです。

ビンの蓋が固くて開かないとき「もっと力が入れば開くのに」と思ったことはありませんか。そんなときには「グゥーッ」の発声がおすすめです。力を出す時に「グゥーッ」と声を出すと、無言のときよりも力がアップすることが握力実験で分かりました。ポイントは「ゥーッ」と母音を伸ばすことです。母音の「ウ」は、腹筋に力が入り、体幹が安定するので効果的な力の発揮が期待できます。

2年前に亡くなったスティーブジョブズ氏は、「オノマトペの魔術師」とも呼ばれていました。彼は、プレゼンで、製品に注目してほしいときや製品の素晴らしさを強調したいときに、オノマトペをよく使用していました。
例えば、強調したいポイントを伝える前に「ブン!」「ボン!」という濁音と撥音を組み合わせたオノマトペを発して、人の注意を引きつけ、興味をそそっていたのです。「B」の濁音には力強さがありスケールの大きさを感じさせます。これで、聞き手は期待感が高まり、商品が一層輝きを増して見えたのだと思います。

スポーツ選手、エグゼクティブ、タレントなど第一線で活躍している方、一芸に秀でた方は、多くの場合、自己の立ち振る舞いや働きにおいてオノマトペを上手に使っているのです。

オノマトペは、たった1語で物事の本質をついたり、潜在的な力を引き出すなど魔法のような力を秘めています。このシンプルな音の響きが作り出す世界は、論理や公式などでは決して捉えることができません。むしろ体が記憶していることを感じるのがオノマトペの世界といえるでしょう。それはニンゲンが持っている本能のようなものです。

そして、コトバの根源とも言えるオノマトペは、言語の垣根を越えたコミュニケーションアプローチとして、世界中で活用される日が来るかもしれません。今後も、様々な分野で有効活用され広がりをみせると思います。

引用おわり。

私は固いふたを開けたり重いものを持ち上げる時、「ぬうぅぅぅーっicon_mad.gif」と声を出していましたが、意外と理にかなっていたのですね。
>母音の「ウ」は、腹筋に力が入り、体幹が安定するので効果的な力の発揮が期待できます。

新しいオノマトペがツイッターなどで流行するたびに、マスコミや偉い人は“幼稚で曖昧な言葉”と呆れて軽視しているようですが、論理的なはっきりとした言葉と、一言でお互いの潜在思念を呼び覚ますことば(オノマトペなど)をどちらも吟味して組み合わせてゆくことで、言葉にならないことばもより豊かに表現でき、相手とわかり合うための言語能力が高まりそうだと思いました。

投稿者 hoiku : 2015年12月18日 List   

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