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2015年02月12日

新たな介護の可能性21 ~介護負担を減らすためには~呆けと認知症の違い~

前回、「介護崩壊が始まる」で、日本の介護システムが危機に瀕していると書きました。

このまま介護システムが崩壊しては、要介護度の高い、生活全般で介護が必要になるお年寄りの行き場がなくなってしまいます。

しかし、昔、そんなお年よりが多かったのでしょうか?医療の発達によって、身体機能が落ちても長生きできる状況を差し引いても、昔の村落共同体で、多くの要介護者をフォローし続けていけたとも思えません。介護が必要で、厄介というイメージがあまり見当たりません。これは何に差があるのでしょうか?

そこでヒントになるのが三好春樹氏著の関係障害論です。1997年に書かれた、「医療」の簡易版としてしか扱われなかった「介護」を、全く異なる思想で独立させるきっかけとなった名著です。

関係障害

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レビューより

「ぼけ」や「寝たきり」の原因を、知能や身体の障害としてではなく、人間関係の障害として理論化された。「老い」への見方を変えれば障害は乗りこえられることを、豊富な事例に基づいて検証していく。老人介護の新たなるバイブルとして、老人論に革命的な理論をもたらした。

昔は「呆け」と呼んでいました。介護が立ち上がった時期は「痴呆症」です。最近になって「認知症」になりました。

つまり、そうゆうことです。高齢化すると、脳の活動にも多少のマイナスが出てきます。それは仕方ないこと。その呆けが非常に困ったことになるのか、単にボケただけなのかは、当人を取り囲む「関係」や状況によって決まります。

普通、攻撃や徘徊や問題行動を起こす認知症は、当人が安心していない状況が多いのです。よく言われるのが、お年寄りが病院に入院すると一気に認知症となること。ベッドに括り付けられて、管を付けられて管理されると、人間はおかしくなるのです。また、介護施設に入所しても認知症が急激に進行すること、さらに車椅子度が進むことが知られています。

beddo

病院は治療が役目です。だからお医者さんや看護婦さんの活動がメインであり、治療しやすい状況を作ります。一時的に入院して治してもらうのだから、それはそれで正しい。でも、高齢者の身体や脳の機能低下を健常者と同じように「病状」として固定すると、何か違うのです。これが、「身体障害では無い」と喝破した「関係障害論」です。

極力、お年寄りには重度な介護が必要にならないように、元気で居てもらいたい。そのためには、多少のボケはあっても明るく安心して生活してもらえることが大事なのです。ここにも、地域共同体再生の意味があります。

 

投稿者 hoiku : 2015年02月12日 List   

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