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2013年01月31日
これからの充足のカタチ(6)~高齢者も、子どもも、地域も元気になっていく新たな充足の場「ばあちゃんち」~
前回の『これからの充足のカタチ(5)』では、高齢者福祉施設と児童福祉施設を一体で運営することによって、かつての村社会で当たり前のように存在していた老人と子ども達の交流を再生した事例【ひかりの里】を紹介しました。
高齢者と乳幼児の双方にとって、核家族にはなかった充足のカタチを作り出し、それが互いの活力となり、人類の本質である“共認充足”を生み出す仕組みをうまく作り出していました。
現在、日本は少子高齢化という新たな時代を迎えようとしています。これからの充足のカタチを考えていく上でも、高齢者の充足と、核家族化した子育て環境での充足は、社会的な問題として考えていかないといけない大きなテーマだと思います。
今回の、『これからの充足のカタチ(7)』では、高齢者の役割づくり、子どもの育成方法、地域活性化、社会に役立つ仕事づくりなど、今後の社会を考える上で重要な課題に対し、ひとつの可能性を示した事例を紹介したいと思います。
それでは、本編に行く前に応援の方、よろしくお願いします。☆
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■1人暮らしの高齢者宅が地域交流サロンに!
「空き家活用ではなく、実際にその家で暮らしているばあちゃんがおられるんですよ」
保育園園長の村上千幸さんに案内されて、熊本市植木町岩野地区へ。農村部に開かれた住宅街の小径を一本入ったところに、田んぼと畑、広い庭と納屋のある「ばあちゃんち」が現れた。
植木町は熊本市中心部へ勤める人びとのベッドタウンでもある。「ばあちゃんち」は、新興の住宅地で孤立しがちな子育て世代を支援しようと保育園や老人クラブ、民生委員、食生活改善グループなど約40人が連携する「山東子育て応援団」の活動から生まれた。
その一員でもある村上さんは言う。「本当の子育ては、地域の人と人とのつながりのなかでこそできるのではないでしょうか。介護支援、子育て支援を切り離して考えるのではなく、さまざまな年代の人たちが頼り頼られる関係をつくる。そのためにともに汗を流し、同じ釜のめしを食べる実践の場が必要でした。子育て力を育てるためには親の生活力が育たなければなりません。ままごとではなく『ほんまごと』ができる場所がほしかったのです」
「ばあちゃんち」は、築100年以上を経た熊本地方の典型的な民家で、納屋や井戸などを備え、家の間取りは「田の字形」をしており、襖をはずせば広い座敷になるのが特徴です。玄関を一歩入ると、土の土間がひろがり、左手には昔懐かしい縁側があります。
「子育て応援団」が、活動の拠点を探していたところ、応援団のメンバーから、先述の太田隈さん宅を紹介されました。
そこは、農地もあって、家も広いということでしたが、実際に住んでいるお宅を利用させていただくのは、難しいのではないかと当初考えておりました。
そんな中で、おばあちゃんにご相談させていただいたところ、ひとりで暮らしているのは淋しいし、健康上の理由で入退院を繰り返していたこともあり、「私は子どもが好きだけん、来てくれることは嬉しい」という言葉で、太田隈さんの家を貸していただくこととなり、地域交流サロン「ばあちゃんち」をオープンすることができました。
「ばあちゃんち」は、広く地域に開放されており、高齢者、子どもが、いつでも集まります。親たちが子育てについて、高齢者にアドバイスをもらったり、高齢者は、親が仕事に行っている間、子どもの面倒を見て、子どもとおしゃべりしたり、そうしたことを通して地域の伝統を伝えます。
太田隈さんは「ばあちゃんち」が開設されてからは体調も回復し、子どもや親に畑の世話の仕方、くわの扱い方、漬け物の漬け方などを教えてくれる知恵袋として、活き活きと活動に参加しています。
(写真:真ん中で座っているのが、太田隈さん)
■生活の知恵を伝える「地域の台所」
「ばあちゃんち」は子育ての悩みを解消する憩いのスペースとしての機能だけではなく、生活の知恵を伝える「地域の台所」、地域に生きるための暮らしの作法を伝承する場というコンセプトがあります。「ばあちゃんち」には約5,000㎡の畑があり、大豆や小麦をはじめ多くの農産物を生産しています。今年の収穫量は大豆が約150kg、小麦が約200kgにものぼります。
作物は、管理を地元の専業農家の方に協力・指導いただきながら、「ばあちゃんち」に訪れる親子やお年寄りによって育てられているのです。子どもたちは草を刈り、土をこね、何もない状態から、日々の世話を経て、食べるものを作るという体験をしていくのです。
子どもたちが収穫した大豆は地域の人と一緒に、昔ながらの方法で納豆、豆腐、みそ、きな粉に加工します。小麦は小麦粉にし、手打ちうどん、団子、てんぷらになる。干し柿・梅干・こんにゃくなどを作り、かまどでご飯を炊き、炭火で魚を焼きます。
子どもたちは、五感に訴える体験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得していくのです。「地域の台所」というのは、様々な活動体験を通して、地域の食と文化を継承していく場所をイメージしています。
地域の食と文化を継承しているのは、子どもたちだけではありません。親もまた、体験の中で学んでいるのです。「ばあちゃんち」では、「暮らしの伝承塾」や「父ちゃんの出番塾」等で、親が生活していく知恵を養えるような取り組みも行っているのです。
それぞれの講義は地域の熟練者たちが担当し、生活する技術を身につけることで、親の生きる自信を回復させたいという考えがあるます。「ばあちゃんち」は子どもだけでなく、親も育てているのです。
■地域の共同性を育む場
かつて地域全体にあった近所のおじさんやおばさんが気軽に子どもに声を掛ける雰囲気が「ばあちゃんち」にはごく自然に生まれています。少子化や核家族化が進んだ現在では、子育てが親子関係に終始してしまうことが少なくありません。子育てを親子だけで抱え込むのでなく、地域全体で支える、地域に開かれた大きな家にしたいとの思いがここにあります。
「ばあちゃんち」が地域の人々とのコミュニケーションの場となり、孤立しがちな子育て期の親子にとって、大事な時間を提供しているのです。
毎月第2水曜日に高齢者向けの行事「いきいきサロン」を開催することで、親子連れだけでなく、高齢者も気軽に立ち寄ることができるようにしています。子育てのロールモデルが身近にいることは親にとって心強く、子育て経験者から直に教わることで、親の育児不安が解消されていきます。世代を超えた人とのつながりができ、温かい人間関係を築けるサロンになっているのです。
■生産(農産物の販売)によって、活動費を生み出す
「ばあちゃんち」は様々な生活の体験活動をとおして親子が共に育つことができる場となっており、暮らしの体験の共有により地域の共同性が培われていきます。生産された農産物や加工品は、毎月第3土曜日に開催される「くまちゃん市」(バザー)などで販売され、その余剰金を「ばあちゃんち」の運営費に当てています。
子育て支援サービスの提供を受けている親子が、農産物や加工品の生産というサービスによって「ばあちゃんち」の活動経費を生み出している形になっており、できるだけ行政に頼らない活動が行われているのです。
(暮らしの作法を伝承する 地域交流サロン「ばあちゃんち」(子育て支援事例)より)
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上記、地域交流サロン「ばあちゃんち」には、少子高齢化社会のなかで、高齢者の役割づくりと子育て環境の新たな可能性、そして「これからの充足のカタチ」があると思います。
ポイントをまとめると、
★現代の意識潮流は「所有する」から「共有する」ことによる共認充足へと変わりつつあります。自宅でさえ、1人でさびしく住むよりは広く地域に開放し、高齢者、子どもが、いつでも集い交流できる場にした方が、本人にとっても充足できます。
★高齢者は、親が仕事に行っている間、子どもと一緒に農業という生産活動を通して、子どもとおしゃべりを楽しみ、子どもの面倒を見ながら地域の伝統を伝えています。
このことが、「高齢者の役割欠乏に応える」ことにもなります。
★隣にある畑で育てた野菜を基に、伝統食や家事を子どもたちに伝えたり、バザーなどで販売し、その売上を交流サロンの活動費にあてています。みんなで生産活動を行うことで、「自分たちの場は自分たちで作る」行政に頼らない運営を可能にしているのです。
これはまさにこれからの充足のカタチであり、高齢者も、子どもも、地域も元気になっていく新たな充足の場(仕組み)づくりとなっているのです。
最後に、“ばあちゃん” こと 太田隈フジエさんのことばを紹介します。
「こんな古家でもみなさんに役立ててもらえる。
ご先祖様が残してくださったおかげです」
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次回、これからの充足のカタチ(8)では、みんなの居場所となり、必要とされることを、みんなで実現していく『うちの実家』を紹介したいと思います。
お楽しみに♪
投稿者 yidaki : 2013年01月31日 TweetList
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コメント
投稿者 マリ
私の住んでいるところにも高齢者福祉施設と保育園を一体で運営している会社があります。
市の認可外なので保育料が高いのですが魅力的です。
出来れば入れたいのですが定員がいっぱいとのことで入所は難しそうで残念です。