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2012年12月20日

これからの充足のカタチ(2)~小さな街の電気屋が生き残っている理由

最近、とある街の小さな電気屋さんが数年前からコンスタントに売上げを伸ばし続け、社会的にも大きく注目されています。この電気屋さん、どうやら昔ながらの街の電気屋さんのようです。

東京都町田市に「でんかのヤマグチ」という家電製品の店がある。町田といえば、ヤマダ電機、ヨドバシカメラなどの家電量販店が軒を連ね、個人経営の電気店にとっては、厳しい立地条件である。しかも、でんかのヤマグチは駅からバスで15分もの距離。さらに、店舗の床面積は大手量販店よりも狭く、品ぞろえはパナソニック製の冷蔵庫やテレビといったモノが中心。価格は商品によるが、量販店よりもおおむね2~4割程度高く設定している。何ひとつ、繁盛しそうな条件は見当たらない。リンク
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シャープやパナソニックなど日本を代表するメーカーが巨額赤字を計上し大企業の多くが苦境に立たされる中、なぜ街の小さな電気屋さんが成果を出し続けられるのか?

今回はその謎に迫りながら「これからの充足のカタチ」について考えていきましょう。

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「打倒ヨドバシ、ヤマダ!小さな街の電気屋さんが勝つ方法とは?でんかのヤマグチ-ルビコンの決断」(リンク)より引用します。

1996年3月。
東京・町田市ある電気店『でんかのヤマグチ』
社長の山口 勉(やまぐち つとむ・当時56歳)と妻で経理担当の雅江。昭和45年の開店以来、訪問販売に力を入れ、町の電気屋さんとして愛されてきました。
その当時の売上高 約16億円、従業員45人、とバブル崩壊後の消費低迷を何とかしのいでいた。しかし都心部で急速にシェアを伸ばしてきたヨドバシカメラ、ヤマダ電機などの家電量販店は、郊外の住宅地に大型店を展開。

人口が35万人を突破し、ベッドタウンとして発展した町田市にも家電量販店が相次いで進出。町田を舞台に家電戦争が勃発していたのです。圧倒的な安さ、大変な衝撃が『でんかのヤマグチ』に襲いかかり、社長の山口は思わずその苛立(いらだ)ちをメーカーの担当者にぶつける。
「うちわね、今まで誇りを持って売ってきたんだよ!
あんた達メーカーさんの言う、卸値(おろしね)で仕入れてきたんだ。
同じ卸値で(量販店の)この値段で売れるわけないじゃないか!」
なぜ量販店は価格を安く出来るのでしょうか?

その秘密は仕入れにありました。量販店はメーカーから1,000台、2,000台と大量に仕入れているため大幅な値引きを受けています。そして返品しない、在庫を大量にかかえる、というメーカーからすれば非常に助かることをしてくれるので、ある程度まとまった現金がキャッシュバックされているのです。それらを商品の価格に還元=割り引きをすることで安く売っても利益を得ることが出来るのです。
公正取引委員会の調べによると、家電の仕入れ価格が量販店を100とした場合、街の電気店は103~115。(2008年12月)小さな会社が安さで勝負すると圧倒的に不利です。
さて、山口社長には打つ手があるのでしょうか?

1996年6月。
『でんかのヤマグチ』の売り上げが、前の年に比べて明らかに落ちていた。売り上げが30%も落ちてしまうと、社員の給料が支払えなくなってしまう。そして結果的に1996年度の売上高はマイナス2億円の14億円。量販店の進出で売り上げが減り、赤字が続き、資金繰りに苦しんでいた山口。さらに赤字が続けば銀行からの融資も受けられなくなる。山口はどうしていいかわからなかった。
そして山口は決断します。
社員を集め、今後の『でんかのヤマグチ』は粗利率を以前の25%から35%増やすことを宣言。戸惑う社員たち…

粗利とは、単なる商品売買であれば売価と仕入原価の差額のこと。
粗利率の計算式は 粗利率(%)=売上総利益 ÷ 売上高 × 100

当然、量販店が安売りしているのになぜ『でんかのヤマグチ』で高いものを売るのか?という社員の声もありますが、山口は言います。
「量販店と同じことをやってもダメなんだ。それもみんなもわかっているよな。量販店には出来ないサービスということだ。困っているお客さんがいたら、すぐに飛んでいく。高い値段で買ってもらっても、納得してもらうようなサービスをするんだよ。これからのノルマは売り上げではなく、利益を第一とする。」

『でんかのヤマグチ』前代未聞の挑戦が始まった。社員たちは懸命に営業に回った。しかし高いものがすぐ簡単に売れるはずがなかった。

売上げを伸ばすために量販店と差別化を図り細かなサービスを提供したのですが、これだけではうまくいかなかったようです。

そんなある日、社員の一人が10件回るつもりが2件しか回れなかったこと報告します。実は病院に連れていったり、スーパーでの買い物を手伝ったりと、おばあちゃんの御用聞きになったことでテレビを買っていただいた話しを山口は耳にします。
そして山口が考えた作戦とは、

・お客様が喜ぶことは何でもやる
・3万4000世帯の顧客を1万2000世帯に絞る
 (その代わり3倍のサービスを目指す)
・顧客の情報をデータ化し、社員全員が閲覧できるようにする。
 (家族構成、購入履歴、趣味など)
・地域ごとに担当者を決めて、すぐに訪問できるように体制を整理。
・購入時期や金額などで顧客をグループ分けし、訪問する回数を決定。

山口は社員に伝えます。

「我々が目指すのは究極の御用聞きだよ!」

社員たちは本業以外のことを何でもやった。留守の間の犬のエサやりや散歩、スーパーへの買い物、部屋の模様替えなど、ありとあらゆる作業をやった。しかし、ちゃっかり顧客の家の家電情報も収集してたのです。

それから7年後、目標だった粗利率35%を達成。13期連続の黒字をはじき出し、今も快進撃を続けています。

そんな山口とお客さんとの結びつきを象徴するエピソードがあります。
お客さんの一人が亡くなられて行ったお通夜でのこと。亡くなられたご主人の妻が山口への遺言を受けていたのです。
「山口さんは何でもやってくれるから、困ったら山口さんに頼めって。頼れるのは遠い親戚よりも、近い山口だから、と。これからもよろしくお願いいたします」
泣きながら話す奥さんに山口は言います。
「何かあったらいつでも電話してください。やまぐちはすぐ、飛んで行きますから。」
山口社長の想いが実った瞬間でした。

でんかのやまぐちが成果を出し続けているポイントは「我々が目指すのは究極の御用聞きだよ!」の言葉に集約されています。つまり、社員一人一人の意識の主軸
「売上げ第一で商品を売る」から「お客さんの期待に応える、お客さんと充足を共有する」
ことに変化したからです。

お客さんは今まで以上にでんかのやまぐちに期待し信頼するようになり、でんかのやまぐちの社員自身もその大きな期待に応えていくことで充足を積み重ねていく。この相乗効果が相互の充足を高めていき、市場原理にも左右されない強い信認関係を生み出していったのでしょう。

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私権に代わり充足が最大の活力源となった現代においては、このように共認充足を土台にした信認関係の構築が、仕事においても成果を生み出すベースになるのでしょう。
改めて考えると今回の紹介はたまたま電気屋さんの事例でしたが、私たちの日々の仕事でも同じことが言えるのではないでしょうか。
市場第一、売上げ第一という価値観から脱却し「これからの充足のカタチ」を模索することで新しい可能性が見えてくる

改めてそう感じました。

次回は、最近話題の「シェアリング」から「これからの充足のカタチ」を探っていくことにします。

投稿者 isgitmhr : 2012年12月20日 List   

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