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2012年03月10日

安心基盤を作っていくには?医療制度はどうなる!?-2~TPP参加で「医療」はこうなる!

プロローグでもお送りしたように現在、野田政権が、国内の意見調整もされないまま、TPP(環太平洋戦略的連携協定)参加を表明し、すでに事前協議に入っている段階です。TPP参加が実現されれば、安心基盤の1つである医療分野にも規制緩和の波が押し寄せてくるのではないかと懸念されています。

今後、日本の『医療』はどうなっていくのでしょうか?

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今回の記事は、社団法人日本医師会のTPP参加に関する見解を元に作成されています。→リンク

■TPPとは?
TPP(Trans-Pacific Partnership, 環太平洋連携協定)は、高い水準の自由化を目指す多国間の包括的経済連携のことです。簡単にいうと、貿易をしやすいように各国の関税やその他の障壁を取っ払い市場を開放しましょうという協定です。

■TPP交渉分野
TPP交渉分野TPP交渉では24の作業部会が設置されています。分野として整理すると21分野。このうち、物品市場アクセスに関して、政府は、「医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある」としています。つまり医療分野(医薬品、それに絡んで医療保険)の規制を緩和させられる可能性があるということです。

■なぜ日本の公的医療保険(国民皆保険)がTPPの対象になると懸念されるのか?
米国からの医療の市場化要望を見てみると、日本に対して医療の市場化をしつこく要求し続けてきたことがわかります。

①これまでの米国からの市場化要求

2001年10月(小泉内閣)米国「年次改革要望書」
・日本の医療に市場原理を導入することを要求

2010年3月(鳩山内閣)米国「外国貿易障壁報告書」
・日本の医療サービス市場を外国企業へ開放することを要求

2011年2月(菅内閣)「日米経済調和対話」米国側関心事項
・新薬創出加算を恒久化し、加算率の上限を廃止
・最も成功した製品の価値を損なわないように市場拡大再算定ルールを廃止
・外国平均価格調整ルールの改定

2011年9月(野田内閣)米通商代表部「医薬品へのアクセス拡大のためのTPP貿易目標」
・透明性、手続きの公平性、不要な規制障壁の最小化などを要求

→この流れに加え、TPP参加が実現すればアメリカが日本の医療分野へ進出が一気に容易になります。

②現政権下における医療の営利産業化の動き
また医療の営利産業化にむけた国内の改革を見てみると医療の営利産業化の動きはすでに始まっており、体制化が整えられてきています。

2010年6月政府「新成長戦略」閣議決定
・医療・介護・健康関連産業を日本の成長牽引産業として明確に位置づけた

2011年1月「医療滞在ビザ」創設

2011年4月政府「規制・制度改革に係る方針」閣議決定
・医療法人と他の法人の役職員を兼務して問題ないと考えられる範囲の明確化

2011年6月総合特区法成立
・特別養護老人ホームに営利企業が参入

2011年7月政府「規制・制度改革に関する第二次報告書」
・公的医療保険の適用範囲の再定義・国際医療交流

③医療も対象にした米韓FTAの実現
また隣国の韓国では、アメリカとのFTAが実現されています。2011年10月に米国議会で可決され、11月に韓国で批准されましたが、医薬品、医療機器の償還価格にまで踏み込んだ内容になっています。このことからしても米韓FTAと同様のことがTPPで行われる可能性は十分にあるといえるでしょう。

■TPPは根本的に何が問題か?-ISDS条項とラチェット規定-
【ISDS条項(投資に関する紛争解決手続き)】 
投資家投資受入れ国との間で紛争が起こった場合に、投資家が当該案件を国際仲裁に付託できる手続き。
TPP協定交渉参加国に進出している他国企業が、投資受入国側の突然の政策変更や資産の収用などによる不当な待遇を受ける事態が発生した場合、この手続きを通じて、問題の解決を図ることができる。
○国内法の改正が必要となったり、あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性は否定できない。

しかも、TPPなどの条約は憲法の定めにより国内法よりも優位となってしまいます。

→最悪の場合、日本の公的医療保険制度が参入障壁であるとして訴えられ、健康保険法の改正を求められることになりかねない。

つまり、投資家>国家 という力関係になる可能性があり、市場拡大に邪魔な国家の規制を排除することができるようになってしまうのです。

【ラチェット規定】
TPPに参加してから規制改革を後戻りさせることは認められない。
これは、いったん規制緩和を認めてしまうと、再び規制をかけることは不可能になるということを意味しています。

■なぜ外国資本を含む企業などが医療に参入することが問題か?

■医療への株式会社参入の問題点
① 医療の質の低下
保険診療において、コスト圧縮と医療の質を両立させることは、非常に困難である。収入増やコスト圧縮を追求するあまり、乱診乱療、粗診粗療が行なわれかねず、安全性が低下
する懸念がある。

② 不採算部門等からの撤退
利益を追求するため、不採算な患者や部門、地域から撤退することはもちろん、医療機関経営自体から撤退することもある。

③ 公的医療保険範囲の縮小
コスト圧縮にも限界がある。そこで、株式会社は政策的に医療費が抑制されない自由診療の増収を図ろうとし、公的医療保険の給付範囲の縮小、自由診療市場の拡大を後押しする。

④ 患者の選別
本業が保険、金融業などの株式会社の場合、患者情報を顧客情報として活用できる。医療、民間保険、金融といった資本の輪が完成すれば、患者(顧客)の選別、囲い込みは容易である。そして、いつでも、どこでも、同じ医療を受けられる権利は失われる。

⑤ 患者負担の増大 株式会社が医療に参入した地域では、競争原理上、他の医療法人の株式会社化が進んでいく。株式会社がそろって利益を追求すれば、医療費が高騰する。保険料や患者負担も増大し、低所得者が医療から締め出される。

■なぜ医療機関は営利を追求してはならないのか?
公的医療保険の日本では、医療法人の利益は、地域の医療をよりよくするため、再投資(設備や人材に投資すること)に回されます。一方株式会社は、再投資のための原資に加えて、株主に配当するための利益が必要であります。しかし、公的医療保険下の診療報酬では大きな利益を確保できません。株式会社は、配当を確保した上で、医療法人と同じように再投資をしようとして、無理なコスト削減などを行なうおそれがあります。

■混合診療解禁とは?
混合診療とは、公的医療保険(国民皆保険)で認められている診療(保険診療)と、認められていない診療(保険外診療)を同時に受けることです。

たとえば、保険診療と国内未承認薬の処方(保険外)を同時に受けると・・・診療は不可分一体なので、混合診療で問題が発生した場合に、公的医療保険の信頼性も損なわれます。そのため現在では、「保険診療の全額自費+保険外の全額自費」を負担することになっています。混合診療解禁とは、これを「保険診療の一部負担(若人なら3割)+保険外の全額自費」にしようという考えです。

■混合診療と患者負担
混合診療が全面解禁されれば、新しい治療や医薬品を公的医療保険に組み入れるインセンティブが働かなくなるため、公的医療保険から給付される医療の範囲は、時間とともに縮小していくでしょう。

■混合診療を「全面」解禁するとどうなる?→ 国民皆保険の崩壊
混合診療の全面解禁は、どんな場合でも「保険診療の一部負担+保険外の全額自費」にしようということ。しかし結局のところ、保険外の全額自費を支払えるのは、高所得者に限られます。

先進医療や新薬は、その部分の全額自費で受けられるようになりますが、全額自費部分を支払えるのは高所得者のみ

先進医療や新薬が全額自費で受けられるようになると、国は、公的医療保険に組み込もうとしなくなります。

※公的医療保険の医療が少なくなると、国の医療支出も減るので、とくに財務省などは混合診療の全面解禁を後押しするはず。

そして将来ー
公的医療保険(国民皆保険)で受けることができる医療などは少しだけ!になってしまうという事態にもなりかねません。

■規制制度改革やTPPの流れがこのままいくとどうなる?
第一の懸念は、公的医療保険(国民皆保険)がTPPの対象になること。
第二の懸念は、TPPをきっかけに、医療の市場化を容認する考えが広がること。

つまり、TPP参加による規制制度改革によって、国民皆保険の対象となる医療範囲が狭まり、所得に応じた医療しか受けられなくなる医療格差が生まれてしまうのです!

次回は、さらに視点を広げ『データに見る世界の医療制度』から医療の実態を見ていきます。
どうぞ、お楽しみに!

投稿者 d0020627 : 2012年03月10日 List   

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