学校ってどうなってるの?78~「反復」はなぜ有効か?連関と反復について~ |
メイン
2008年10月10日
学校ってどうなってるの?79反復と発信と記憶~脳への入力と出力~
学校ってどうなってるの?69~「学力低下をどうする?!」第三弾!
で、展開された「学力低下をどうする?!」を元に、反復と発信と記憶~入力と出力~はどのようになっているのか?を探って見たいと思います。
るいネットにはこんな事例がありました。
>ある中学生の女の子は、成績が抜群な割には塾に通ったり、夜遅くまで勉強したりという風には見えなかったそうです。で、どうして成績が良いのか聞いてみたところ、「毎日、お母さんに教えているだけ」だとのこと。その子のお母さんは小学校しか出られず、中学校の勉強への憧れがあった。そして、それを知ったその子が学校で学んだことをお母さんに教えることをはじめたというわけです。それが、学校での勉強を身につける集中力やそれを整理して発信するという過程での理解力につながっていた。学んだことをすぐに発信する、あるいは何のために発信するのかを明確になった場合の理解力は飛躍的に上がるのだと思います。
「まず「やってみる」ということ(入力より出力) 」(田中素さん)
> 声を出す(音読する)という行為そのものが、共認・共感を得る為の重要な機能であって、同化する力をはたらかせる要因となる。
人間の脳は「出力依存型」である、という説があります。出力からのフィードバックによって神経回路のつながりが強化され、記憶や論理の獲得がされていくそうです。
> 脳は学習によって情報を処理するプログラムを獲得し神経回路に構築するのですが、新しい入力情報は、すでに獲得した神経回路を活性化するための検索情報として使われ、出力が行われると学習効果が生じプログラムの書き換えが起こります。この様に学習は、入力と出力を関係づけたもので出力依存であり、出力がなければ学習しません。
> 脳が出力を出すかどうかの判断は、入力情報の粗い意味とそれに基づく価値評価によって、即座に行われます。すなわち、入力情報は視床でその粗い意味・概念が調べられ、それが扁桃体に送られ、脳にとって良いかどうかの評価がなされ、良いという評価を得られると脳活性が高まりこの結果この情報の認知情報処理中の大脳新皮質での学習効果が上がるので出力することになるのです。
読む、聞く、見る、というのは主に入力系の活動だと言えます。例えばテレビを見るだけでも一応は物を覚えられますが、その力は非常に弱く、むしろ思考を停止するためにテレビを見たりすることもあります。書かれた物を目で追うだけ、という行為もそれに近いということだと思います。
これに対して、話す、書く、行動するという出力系の行為が、学習効果が圧倒的に高いということになります。子どもが言葉を覚える時も、「誰かに何かを伝える」ことの必要性と可能性をまず潜在思念で判断(上記の価値評価)し、まず真似(出力)を始めて、それから次第に学習を進めていくのだと考えられます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私たち人類の人類たる由縁は、心と知能をもつと一般的に言われています。この心とは、具体的に言えば、現実や対象へ同化する能力(共認機能といっています。)であり、知能とは、対象と同化し、把握するために、必要な状況把握と外圧に適応するための仮説と答えを導く為の能力です。(観念機能といっています。)
もっとも私たちがもっとも生きてゆく上で重要な【同化能力】・・・
何かに『同化する』ということは、出力して初めて同化できたかどうかが分かるという構造があります。
例えば、何かのまねをする場合、身振り、手振り、言葉、表情などを繰り返し発信・出力して【同一・同様】と判断されることで、同化が完了します。
私たちの進化の過程で、この同化能力を特化して、人類は生き延びて来ました。脳の回路も記憶の回路も記憶の方法も記憶の定着場所や方法も、この同化が完了したことをもって、完成するという仮説を提起します。
よって、同化が完了するには、入力だけでは、脳の記憶回路(海馬や前頭連合野など)に定着するに足りず、出力を行うことで、完結し充足した結果、脳回路に長期に定着するという構造になっているのではないか?と思われます。
また、別に、PTSDのような短期ショックが強く記憶に残る症状があるようです。海馬の萎縮が原因のようですが、出力を伴わないでも、強力な外圧が入力した場合、強く記憶に定着する場合があるようです。これは動物的本能(機器逃避本能)への作用のように思われます。共認機能・観念機能より、より根源的な本能機能の変質によるものと思われます。
一般的に、学習という面では、同化能力が重要で、共認・観念の位相では、入力と出力が同じであったということをもって、同化した=充足したことが、記憶の定着の鍵を握っているように思います。
現在の学校教育や家庭での育児は、この同化という過程をすっ飛ばし、観念ばかり教えるから、「覚えても意味ないじゃない?」「使えないなぁ・・・」という感触を誰もが持つこととなるのです。
学習とか、勉強の先には、相手や対象があって、それらに同化して適応する=その期待に応望することを教えないとその目的を見失っていきます。そのためには、期待に応えられた=出力して発信してみたら、同化できたことの大切さと充足感を与えることが、大人の役目かも知れません。
クリックしてね。 😀 😀 😀
投稿者 2310 : 2008年10月10日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://web.kansya.jp.net/blog/2008/10/642.html/trackback
コメント
投稿者 永井哲志
心は脳からどのようにして生まれるのか?
―脳の神経幹細胞と植物の生長点細胞との対比による理論から考える―
南大谷クリニック 研究紀要 2013 著者 永井哲志
目次
1.はしがき
2.なぜ動物と植物を対比したのか?
3.心とは? ―― これまでの脳科学によるアプローチ
3.1 心はどこにあるのか?
3.2 心理学による心の解明
3.3 脳科学による心の解明
3.4 脳科学の問題点
4.脳と桜の成長
4.1 神経幹細胞の存在による新理論
4.2 脳の神経幹細胞と桜の生長点細胞
5.心はどのように生まれるのか?
5.1 -脳の発生過程からの推測-
5.2 形態と機能
5.3 時間の役割
5.4 自己意識
5.5 直観
6.心の発達過程
7.あとがき