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2007年08月12日
学校ってどうなってるの?16 学校の歴史
先回で中間まとめを行ないましたが・・・。
「学校」について更なる追求を続けて行きたいと思います。
で、今回は学校が歴史的にどのように造られてきたかを、とっても大まかですが、まとめてみたいと思います。
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学校とは教育を施すところなわけですから、その歴史といえば殆ど人類の有史以来ということにもなりかねないようにも思います。
歴史として認識されているのは紀元前7世紀のTakshashila University(パキスタン)、紀元前5世紀のナーランダー(インド)などのようですが、西洋の学問の起源は何と言っても古代ギリシャということになるでしょう。
一方日本で史実によるものは奈良時代(700年代)の大宝律令によるもののようですが、中国由来の経書、算術、発音(中国語)、書道だったそうです(当時の人事院にあたる式部省直轄の官僚養成期間である大学寮)。
その後の学校教育制度は長い間こうした官僚養成が中心であったようですが、氏族による大学別曹、仏教における教育、武士の教育など、庶民と異なる統合階級の育成の要素が強かったようです。
江戸時代になってやはり幕府直轄や藩校といった官僚養成を機関とは別に、寺子屋を含む私塾も盛んになり、学問から読み書きにいたる教育が一般の人々にも開かれていったようですが、その動機は、学ぶことへの興味と同時にそうすることでより生活の可能性が開ける=より上位の役割を担える=食うに困らない、豊かになる、という序列競争的なものも当然あっただろうと思います。士農工商の絶対身分の世の中であり、この四分された身分を越えることは許されないながらもその身分なのかでの位や稼ぎに響くことからとりわけ武士と商人においては教育への気運が高かったようです。
明治時代になり、列強による植民地化を恐れながら開国した明治政府は、教育制度を一気に国家制度にして、国民の戦力化を画策しました(富国強兵)。
明治4年に文部省が発足、最初の学制(学校制度)を明治5年に発布します。当時の就学率は男子40%、女子19%で、文明開化の気運の下、教育も西洋化の流れを汲んで言いましたが、学校に通える余裕はさほど無かったようです。「就学させる義務」を意味する義務教育もこの当時明確化されましたが、労働力として貴重な年少者は学校に行くより家業に精を出すことが普通のようでした(だからこそ大人たちへ就学させる義務を課すことも必要だったのでしょう)。就学率が9割に達するのは男子で明治33年、女子で明治35年でした。
戦前の学校教育は、次第に軍国主義的色彩を帯び、昭和になって皇国に身を修めることが学校教育にも取り入れられました。その後日本は第2次世界大戦に突入し学徒動員まで行なう総力戦となりましたが、結果敗北した日本はGHQの占領下におかれることとなりました。
GHQは、戦前の軍国主義的民族教育を刷新するため、学校教育法、教育基本法を相次ぎ制定し、教育行政部門を自治体首長から切り離して教育委員会とする一方、民主化運動を支援(戦前、戦中の民衆運動家=左よりの活動家を釈放)し、日本教職員組合=日教組の開設も許可するに至ります。その後日教組は共産主義勢力の伸長と合わせて力をつけ、文部省や各教育委員会、学校長と対立したまま現在に至っています。
明治5年の学制発布以来、初等、中等、高等教育に分けられた学校教育制度はさほど変更がなく、情緒的な観念論に終始した最近の教育基本法改正まで、大きな制度変更は行なわれてはいません。しかし、その教育の中身は戦前、戦後で大きく変わり、特に戦後はGHQの非軍国主義路線や米国式の物質文化主義に、共産勢力の権利闘争意識も加わって個人主義教育がはびこっていきました。
まとめると、「学校」とはこれまで部族や藩、国といった集団の統合課題として子どもたちを教育していこうとするもので、これが戦後一気に個人課題化していったこと、個人課題で「教育」などやるものだから好き勝手でばらばら、めちゃめちゃなものになっていったと言えると思います。
しかし、統合課題である教育は本当に必要なくなったのか?と言えばそうでは無いでしょう。集団課題、統合課題のための学校が、個人主義で崩壊してしまったことはこれからの教育を考える上で、とても重要な事実の認識であると思います。(さいゆー)
投稿者 saito : 2007年08月12日 TweetList
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