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【知能進化を紐解く】シナプスの刈り込みによる知能進化

前回の記事では、3歳くらいに起こる「なんで期」について扱いました。目の前のモノゴトに「なんで?」とオンパレードの子どもたち。母親としては対応に困ってしまう行動ですが、好奇心旺盛なこども達にとって重要な知能進化の一部だったのです。人類としての必然的な進化を知れば、子育て自体をもっと楽しめるようになりそうですね。

さて、今回の記事では、歳を追うごとに半年~1年で、目まぐるしく行動が変化するこども達の脳について。彼ら・彼女らの脳内では、どんな変化が起こっているのでしょうか。少し深めていきたいと思います。

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■脳の健全な発達は、「シナプス」の「刈り込み」にあり!?
「えっ?シナプス?何それ?」という声にまずは、お答えします。

シナプスは、脳内の神経細胞(放射状に伸びるニューロン)同士をつなぐ接合部を指します。神経細胞を繋ぐ役割なので、接合部が多いほど神経細胞が活発に作動するイメージです。

(もっと、詳しく知りたい方は、こちら「脳」の真実をどれだけ知っていますか | 蘊蓄の箪笥 100章 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net) [2]。)

【知能進化を紐解く】脳の発達には順番がある。イヤイヤ期こそが知能進化の最初のターニングポイント!? [3]の記事でも紹介したように、生後8か月でシナプスの密度は最大になり、ほとんど全ての神経細胞が接続されている状態となります。この「シナプス」の状態・繋ぎ方が、脳の進化、即ち、知能進化に深く関係しているようです。ただし、シナプスの量が最大になれば良いということではなさそうです。

早期教育が注目されるにつれ、脳科学の専門的知識のない一般の人々でさえも、シナプスや臨界期などの用語を知るようになっているようだが、脳の健全な発達はゼロの状態からシナプスを増やし、シナプスの結合を強めていくことであると誤解されているようである。つまり、乳幼児の能力をゼロとすると、歳を重ねるごとに、能力が10になり100になり、1000になるように増加すること」がすなわち「発達」であると誤解しているようである。しかし、事実は逆で、脳の健全な発達の鍵は、シナプスの「増加」ではなく、実は「減少」にある。乳幼児は、いろいろな才能を生得的に備えており(つまり、乳幼児の能力はゼロではない)、それらをむしろ「不要」として捨てることにより発達している。
早期教育の落とし穴~認知神経科学的見地より~(信州大学 有路憲一)より引用しました。

どうやら、知能進化には、シナプスの「刈り込み」という過程が重要そうです。

>人類の赤ちゃんは、まわりに全てを委ね、まわりを全て受け入れる状態で、生まれてきます。こんな生物、他にはいません。【知能進化を紐解く】~まずは、子どもが大好きなスキンシップから~ [4]

全を受容する状態のこの時の赤ちゃんには、捉える対象の優劣や差はありません。万物が発するエネルギーを等しく受容するため、何か・誰かの対象物を特定することはできません。

3~4歳から始まるシナプスの「刈り込み」の過程で、脳内に最大限に充満したシナプスに変化が起こります。どもが置かれた外圧(自然環境や生活環境、家庭環境)に合わせて、必要性が高いところには、シナプスが太くなり、不要なところのシナプスは、薄く・細くなっていくという仕組みだと考えられます。

全面受容の状態(シナプス密度最大)の0歳の時から、4歳くらいまでの過程において、あらゆる対象物に対して「何?」「何で?」を発するこども達。たくさんの「何?」「何で?」を経て、自然対象物から摂理を見出したり、母親以外の人にも備わる温かみ・肯定感(共認充足)を見出したりしていきます。そして、それは、対象の本質に迫っていく過程です。

脳内のシナプスの刈り込みは、体全体から感じる情報を全て吸収し、その中から本質を抽出する過程なのかもしれません。
(これは、人類が獲得してきた観念機能の形成過程にも繋がってきそうです。)

まだまだ、未明な領域ですが、ここから、さらに脳進化の仕組みに迫っていきます。次回の記事もお楽しみに!

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